国後島パイプライン・鈴木議員激怒で建設中止=選定業者に不満
「北方支援事業」の国後島ディーゼル発電施設の不正入札への関与が浮上している鈴木宗男容疑者が、同発電施設のあとに計画されていた国後島燃料パイプラインの新設事業にも関与していたことが、本紙の調べで分かりました。同新設事業は、コンサルタント会社の提案が鈴木容疑者の意向に沿わなかったため、同容疑者の一声でストップ。支援事業にたいする鈴木容疑者の影響力の大きさをあらためて示すものです。
国後島燃料パイプラインは、沖合に停泊するタンカーから港の備蓄タンクに軽油を送りこむ際に使われるもの。既設パイプラインが老朽化したため新設が計画され、2001年度予算にも2億円をこえる額が計上されていました。
支援委員会では、2000年11月ごろ、パイプライン新設の調査などを担当するコンサルタント会社に日本オイルエンジニアリング(東京・中央区)を決定。同社は翌12月に報告書を作成しました。
報告書では、海底にパイプラインを埋める際の工法として、機械で穴を掘っていく工法の方が費用や海洋汚染を防ぐ点からも優れているとして提案しました。
報告書は同12月末ごろ、外務省ロシア支援室長が鈴木宗男容疑者に説明しましたが、「なんでこんなコンサルタントに決めたのか。これではダメだ」などと鈴木容疑者が激怒。その結果、国後島燃料パイプライン新設事業は事実上、中止になりました。
同新設事業にかかわっていた関係者は「報告書で提案している工法では、施工できる業者が新日鉄などの大手企業に限られる。鈴木議員の地元、北海道の業者は施工できないため鈴木容疑者が怒った」と説明しています。
外務省関係者は「予算までつき、コンサルタントによる調査までおこなった事業が突如、中止になるのは異例だ。支援事業にたいする鈴木容疑者の影響力の大きさを実感した」と話しています。