国後発電所・入札公告前に下請と協議=三井物産の提携企業
鈴木宗男容疑者の関与が指摘され、不正入札事件が摘発された国後島ディーゼル発電施設で実際の工事を仕切っていたのは、大手総合商社「三井物産」と提携した「北海電気工事」(本社札幌市)であり、下請け会社に入札公告前から仕事を持ちかけていたことが本紙の調べでわかりました。
3島の発電施設工事入札は色丹(1999年2月)、択捉(同3月)、国後(00年3月)の順。いずれの入札も三井物産・北海電気工事・ダイハツディーゼルのグループが落札しました。
入札参加資格では、商社が提携すべき電気工事会社について「寒冷地における電気工事の施工実績を十分に有するもの」とされ、事実上、北海道で大手の北海電気工事以外の会社は参入しにくいしかけでした。実際の工事は、三井物産が北海電気工事に“丸投げ”し、三井物産は数人を派遣しただけでした。
本紙が入手した国後島発電施設工事の資料には、北海電気工事が中心になり、下請けとして東急建設などの建設会社や電気工事会社、船会社など7社が参加。北海電気工事の下請けだった会社の幹部は「3島の工事すべてを引きうけたが、最初の色丹島の工事を受注する際、北海電気工事の幹部から『1、2年目は我慢してくれ。3年目にいい思いをさせるから』といわれた。3つの島の工事の受注を前提にしたいい方だった」と証言しています。
東京地検特捜部は5日、北海電気工事東京支社や、コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」などを家宅捜索しており、今後の解明が注目されます。