鈴木宗男議員の「口利き」=道・市元幹部が証言
鈴木宗男衆院議員や、同議員公設秘書の宮野明被告=偽計業務妨害罪で起訴=が北海道の公共工事で、後援企業のための口利きをおこなっていたことが複数の道庁・市元幹部の証言でわかりました。同議員の政治団体には、公共工事にからむ口利き料が裏金として振りこまれていましたが、自治体への働きかけの一端が浮かんできました。
「鈴木議員からも宮野秘書からも(同議員の)支援企業名をあげて『よろしく頼む』といわれたことがある」と証言するのは、北海道十勝支庁元幹部です。依頼を受けたのは、90年から94年にかけてのこと。鈴木議員から市内の会合の席で、直接、依頼を受けました。「世話になっている業者だから」と、帯広市内に本社をおく企業名をあげ「よろしく頼む」といわれました。「事業の名前はいいませんでしたが、『あうんの呼吸』で、何を要求しているかわかりました」と元幹部は振り返ります。
宮野秘書からの依頼は5、6回ありました。
「宮野さんは自分の名刺の裏に企業名だけでなく、事業の目標予算額も書いて見せながら、『これで頼む』と依頼してきた」といいます。
帯広市の元幹部も7年前、同じような体験をしました。
「東京にいた鈴木議員が電話をかけてきて、市内の企業の名前をあげ、『例年、市が発注する仕事をとっているのに今年はとれていない。いったいどうなっているのか』と怒鳴ってきました」。後援企業を指名に入れろという圧力でした。元幹部は「仕事にたいする評判も悪く、指名に入れることはできない」と断ると、鈴木議員は「オレを誰だと思っているんだ」と激高。この業者は別の事業を受注しました。
鈴木議員の北海道・沖縄開発庁長官当時、大臣室から電話を受けた元釧路市幹部もいます。この元幹部は大臣室からの電話で、「世話になっている帯広の業者が今度釧路市に出張所を出すから近々会ってほしい」と依頼され、一度会いました。99年には、斎場火葬炉のメーカー選定をめぐって宮野秘書が特定業者名をあげ、「話を聞いてやってくれ」と要請してきたといいます。