アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

北方ディーゼル発電所・競争入札といえない=競争相手を排除し三井物産へ・関係業者が証言

2002年5月19日・「しんぶん赤旗」報道

 鈴木宗男衆院議員の疑惑のひとつである色丹、択捉、国後三島へのディーゼル発電施設入札は、突然の入札資格変更で競争相手が排除されるなど異常事態続出のなかで三井物産が3つすべてを落札していたことが関係者の証言などでうきぼりになってきました。入札に参加した企業関係者は「競争入札とはいえない異常な実態だった」と本紙に語っています。

 この事業は、疑惑の焦点となっている「北方支援事業」のなかでも契約総額が41億円をこす最大規模のもの。発注者は外務省関連の支援委員会で、入札の結果は別表のようにすべて三井物産グループが落札しました。

 入札は、それぞれのグループに一定の要件をそなえた電気工事会社とディーゼル機関製造会社をふくんでいることが条件でした。同じ企業が2つのグループに名をつらねるなどの異常な組み合わせもあるなかで、「実際に真剣に競争したのは三井物産と伊藤忠のグループだけだった」と関係者は証言します。

 この2グループが最初に競争した色丹島の入札では、伊藤忠商事が約10億円と一番低い金額を提示。しかし、支援委員会が設定した最低価格を下回ったという理由で、失格しました。

 伊藤忠の関係者は、「価格は積算して出した額で、利益が出ないようなダンピングではない」と話しており、支援委員会の価格設定の高さに疑問を示しています。

 第2ラウンドは択捉島の施設でした。色丹島の入札の5日後におこなわれた入札説明会に出席した伊藤忠グループは、支援委員会が入札参加資格を突然、変更し、入札に参加できなくなりました。

 変更されたのは「過去3年間で平均10億円以上の配電工事の施工実績をもつ」という条件でした。伊藤忠の下請けに入った「北弘電社」は、この実績が約3億円。色丹島の入札では、送電線の実績も加算したため、参加できましたが、択捉島の入札では一転、施工実績から送電線が除外されてしまい、参加資格を失いました。

 伊藤忠グループのある関係者はこう証言します。

 「送電線をふくめない配電工事の実績という条件が出てきて、参加できなくなった。この条件にかなう北海道の電気工事会社と組んでいるのは三井物産グループしかない。専門家がみれば、この時点で事実上、競争入札でなくなったとわかる。もともと、ディーゼル発電で配電工事の高い実績を条件にする必要はなかった」

 一連の入札をめぐっては、国会でも、(1)入札公告と入札説明会の間が2、3日と極端に短く、説明会に参加しないと入札できないなど異常な条件だった、(2)コンサルタント会社の調査で「発電所新設は必要ない」と報告された国後島で、鈴木議員の現地調査のあと一転新設が決定した――などの疑惑が指摘されており、一連の経過の解明が今後重要になっています。

三島のディーゼル発電施設入札の応札状況

企業名
色丹島
(1999.2.5入札)
択捉島
(1999.3.16入札)
国後島
(2000.3.31入札)
三井物産・北海電気工事・ダイハツ
○13億8031
○5億6948
○19億9227
伊藤忠商事・北弘電社・丸紅
9億9648
(不参加)
(不参加)
住友商事・ユアテック・新潟鉄工所
(不参加)
6億7820
21億7900
兼松・ユアテック・ダイハツ
15億8000
6億8100
22億0430
(単位万円=以下切りすて=、○印が契約企業)

Share (facebook)

このページの先頭にもどる

国会レポート

外務省・鈴木宗男議員疑惑へ