北方四島ムネオ疑惑=ディーゼル発電施設でも一部業者を入札排除
鈴木宗男衆院議員(自民党を離党)の介入が問題になっている北方四島支援事業の一つ、ディーゼル発電施設設置事業をめぐり、外務省関連の国際機関「支援委員会」が行った最初の入札の参加資格がわずか5日後に一転変更され、一部業者がそれ以降の入札から排除されていたことが12日までに関係者の話で分かりました。3つの島にある同施設はすべて三井物産グループが予定価格ギリギリで落札するなどさまざまな疑惑が指摘されており、関係者は「なぜ制約が設けられたのか見当がつかない」と話しています。
同事業の入札は、1999年2月に色丹(しこたん)、同年3月に択捉(えとろふ)、2000年3月に国後(くなしり)の各発電施設を対象に行われました。
関係者によると、99年2月5日の色丹島の入札には、大手総合商社の下請けとして北海道内の電気工事会社が参加しました。事前の説明会で支援委は参加資格に「過去3年間で20億円以上の配電工事の施工実績」を挙げましたが、同社は年間約3億円の実績しかなかったため支援委と協議。支援委は、発電施設に不可欠で技術的にも高度な送電線の工事実績を合算して20億円以上と条件を緩和し、同社の入札への参加を認めました。
同社が商社とともに応札した価格は、支援委が設定した最低価格を下回り、失格となりました。
この電気工事会社は、翌月の択捉島向け入札に参加するため、前回入札から5日後の2月10日に開かれた説明会に出席。しかし、支援委から「施工実績から送電線を除く」と突然、条件変更を伝えられ、一転して入札参加資格を失いました。「択捉、国後両島の入札は下りるほかなかった」(同社)といいます。
択捉島の発電施設の工事内容は、色丹島とほとんど変わらない上、規模は小さく、同社関係者は「こうした制約を新たに設けることは常識的に考えてあり得ない。専門家が見れば誰でもおかしいことが分かるはずだ」と話しています。
この事業をめぐっては、鈴木議員が発電所にかんする現地調査に参加するなど計画段階から関与していたことが明らかになっています。