鈴木宗男議員推薦で首相私的懇談会に異例の選任=徳島の社会福祉法人理事長
鈴木宗男衆院議員(自民党離党)が、自分と特定のつながりを持つ社会福祉法人の理事長を首相の諮問機関メンバーに推薦したり、厚生労働省との交渉で後押しし、理事長関連企業から政治献金を受け取っていたことがわかりました。
<深い関係誇る>
鈴木議員と深い関係にあったのは、徳島県内を中心に老人福祉施設などを運営する社会福祉法人「健祥会」の中村博彦理事長(徳島県川島町)。
鈴木議員が中川一郎自民党衆院議員(故人)の秘書だったころからのつきあいで、中村氏の自著や「健祥会」の会報で、中村氏自身が鈴木議員との関係を明らかにしています。
自著『草の根闘魂』のなかで、中村氏は、1999年12月に、当時の小渕恵三首相(故人)が設置した私的懇談会「社会保障構造の在り方について考える有識者会議」の委員に選ばれたことを誇らしげに報告。「会議には医療からは坪井栄孝日本医師会会長、福祉からは私がメンバーに選任された」「やっと肩を並べることができたという感慨が去来した」などとしるしています。さらに懇談会に入れたことについて「自民党野中広務幹事長代理、鈴木宗男総務局長の進言に負うところが大きい」とのべています。
<役所が負けた>
中村氏は全国福祉施設協議会会長でしたが、経団連会長や日本医師会会長などが顔を並べる委員のなかにはいるのは異例のこと。厚生省(当時)にも「格が違う」という声がありましたが、「鈴木氏の圧力に役所が負けた」と関係者が証言したことも報道されています。
また、会報「健祥会だより」によると、鈴木議員と中村氏は、昨年3月から同年末までの10カ月足らずの間に13回も会ったことが記録されています。
7月の参院選挙前には、平成研(現橋本派)の事務所で鈴木、野中両議員や、松本英昭前自治事務次官らと会合を持ったり、鈴木議員の資金集めパーティーに参加したことも。
中村氏が厚労省と会合を持つさいも「鈴木宗男代議士を交えて厚生労働省首脳……と最終協議」などとしるし、親密な関係を誇示しています。
一方、中村氏が役員をつとめる2つの会社は、98年に計47万7000円を鈴木議員の資金管理団体に献金しています。また、同じく中村氏の関連会社は、収賄で起訴された円藤寿穂前徳島県知事の資金管理団体にも98年、99年の2年間で60万円を献金しています。
社会福祉法人のように、補助金を受ける団体は政治献金を禁じられていますが、前出の献金は関連会社を経由した迂回(うかい)献金の疑いがあると指摘されています。