日ロ領土問題で鈴木議員がロシアと秘密会談=二重外交の証拠を志位委員長が公表
鈴木宗男衆院議員が対ロ領土交渉で「二島先行返還」論にたって二重交渉をおこない、現実に日本外交をゆがめていたことを示す、ロシュコフ・ロシア外務次官との会談記録が19日、明らかになりました。日本共産党の志位和夫委員長が同日、国会内の記者会見で公表し、「明白な二重外交、二元外交がやられていたことはきわめて重大だ」と強調しました。
会談記録は、鈴木議員が昨年3月、自民党総務局長としてロシュコフ外務次官と秘密裏に会談をおこなったことを記したもの。志位氏のもとに「(外務省の)佐藤優(前)主任分析官が保管する書類から入手した」として届けられました。
同会談は、ロシアのプーチン大統領が一昨年9月、日ロ両国間の合意のなかに、歯舞・色丹の「引き渡し」は「平和条約が締結された後」と明記している、1956年の「日ソ共同宣言」が含まれると確認、ロシア政府が同11月に「引き渡し」条項は「二島返還で領土問題を最終決着させる規定だ」との見解を正式に日本政府に伝えてきたもとで開かれました。
記録によると、会談では第一に、鈴木議員が、「日本には冷戦時代の言葉を使って領土問題の議論をする人」もいるが、「自分や東郷局長(欧州局長、当時)は弾力的な姿勢でロシアとの関係を考えていきたいという立場だ」などと説明。鈴木議員が、「四島一括返還」論にたつ日本政府首脳の発言を非難し、自分を「二島先行返還」論の「柔軟」な立場にたつ政治家だと売りこんで、これが日本政府の公式の立場だと説明しています。
第二に、「日ソ共同宣言」の有効性を、イルクーツクで開かれる森喜朗首相(当時)とプーチン大統領の日ロ首脳会談での共同宣言に「明記」させるよう繰り返し要求しています。
同会談の内容は、森・プーチン会談で「日ソ共同宣言」を「基本的な法的文書」とする「イルクーツク宣言」に盛りこまれる結果になりました。
志位氏は「『日ソ共同宣言』を『基本的な法的文書』と扱うことは、日本側にとっては、歯舞・色丹の主権回復を無条件にはかる道を閉ざす意味を持つ。同時に、ロシア側には、歯舞・色丹の返還を領土交渉の終着駅にしようとする思惑に有力な根拠を与えることになる」と指摘しました。
そのうえで「こういう形で日本外交がゆがめられ、国益が損なわれたことはきわめて重大だ。小泉首相にたいし関係者の調査をおこない、事実を全面的に明らかにすることを強く求めたい」とのべ、鈴木議員の証人喚問の必要性はますます切実なものになったと強調しました。
志位氏は、こうした問題が起こる根底に、歴代自民党政府の領土交渉の行き詰まりがあると指摘。そのうえで、日ロ領土問題での日本共産党の基本的立場について説明し、国際的に通用しうる明確な道理と根拠をもって交渉する必要があると強調しました。
(2002年3月20日「しんぶん赤旗」より)