鈴木氏乗用車の名義は大手食肉業者=差額分は事実上の政治献金
自民党を離党した鈴木宗男衆院議員の使用する高級乗用車が、大手食肉販売業者名義のもので、事実上の政治献金だった疑いが16日までに本紙の調べで明らかになりました。
問題の車は、鈴木氏が日常の活動に使い、15日の離党会見で自民党本部への行き帰りにも使っていたトヨタ「セルシオ」。国産では最高級車です。
1995年5月に登録された同車の所有者は、大阪府羽曳野市の食肉販売業「ハンナンマトラス」でした。駐車場所は、鈴木氏の事務所のある千代田区永田町の十全ビルの住所となっており、長期間にわたって「ムネオカー」として乗り回してきたことになります。
本紙の取材にたいし、鈴木事務所は、この車を「95年に購入し、下取り車の名義の関係でそのままハンナンマトラス(株)の名義になっている」「今後は誤解をまねかぬように対応したい」と説明。車は「当事務所の所有であり、収支報告書にも記載している」と釈明しています。
しかし、鈴木氏の資金管理団体「21世紀政策研究会」の政治資金収支報告で記載されているのは、「自動車1台」で取得価格は「120万円」。
セルシオは、当時のメーカー希望価格で650万円程度はする高級車種で、常識的にみて記載価格では購入不可能。差額分は、事実上の政治献金ということになります。
ハンナンマトラス社は日本でも有数の食肉販売業「ハンナングループ」の中核企業の一つで、同グループ総帥の浅田満氏が代表を務めています。
浅田氏は、全国同和食肉事業協同組合連合会の専務理事を務めていた当時、畜産振興事業団幹部への贈賄容疑で逮捕(1987年)された経歴があります。最近も大阪の松原食肉市場公社統廃合をめぐり大阪府が同氏の企業に有利な処理案を示して議会で追及されるなど、「大阪政界のフィクサー」「食肉業界のドン」ともよばれています。
北海道の同グループ系企業「十勝ハンナン」からも鈴木氏に政治献金(98年、99年ともに12万円)が支払われています。
マトラス社側は、本紙の取材にたいして、「ご指摘のセルシオは当社の帳簿に載ってないので、説明のしようがない」と回答しています。