“北方返還は利益ない”と鈴木氏主張=外務省文書で判明
11日の衆院予算委員会での証人喚問で、日ロ領土問題に関し、自民党・鈴木宗男衆院議員が1995年に「島が返還されても国として何の利益にもならない。そうであれば、戦後50年もたって返還されないという事実をふまえ、我が国は領土返還要求を打ち切って、四島との経済交流を進めて行くべき」だなどと発言していたことを記録した外務省の内部文書が明らかになりました。上田清司氏(民主)が示したもの。
同文書は、95年6月13日に、当時の衆院沖縄北方特別委員長だった鈴木氏が、外務省の西田恒夫欧亜局参事官を呼び出し、「北方四島」でのプレハブ診療所建設をめぐって両者の間でおこなわれたやりとりを記したもの。「秘 無期限」の印が押されています。
この中で、西田参事官は、診療所建設について「タイミングは慎重に決める必要がある」などと説明。これに対し、鈴木氏は「河野(洋平)外相からも(診療所建設に)前向きな回答をもらっている」「本日の話では後退したとの印象を受ける」と外務省の対応を非難。「経済交流」を進めるよう主張し、「そもそも、北方領土問題というのは、国の面子(めんつ)から領土返還を主張しているに過ぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない」などとのべました。同文書には、鈴木氏が「相当に激しい口調」で話したことが記されています。
同日の喚問で鈴木氏は「戦後57年たって、未解決の最大の問題は領土問題だ。その問題に取り組んでいる私が、返ってこなくてもいいなんて話は一切ない」と弁解しました。この日示された外務省の内部文書は、「領土返還の政策的理念」にもとづく活動などという鈴木氏の弁明をくつがえすもの。
文書をつきつけられ、鈴木氏は「前段のやりとりがあるのではないか。(前段との)流れの中での話だ」とのべるのがやっとでした。
<鈴木氏発言は事実 外務省局長が認める>
外務省の斎藤泰雄欧州局長は11日午後の参院予算委員会で、自民党の鈴木宗男前衆院議運委員長が「北方四島」返還に関して、1995年に外務省幹部に対し「国のメンツから領土返還を主張しているにすぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない」と述べたことを記した同省の内部文書の存在を認め、内容についても「事実だ」と述べました。この文書は、上田清司氏(民主)が同日午前の衆院予算委員会の鈴木氏証人喚問の際に公表しました。
(3月12日付「しんぶん赤旗」より)