「ムネオ疑惑」なんでも利権に＝筆坂秀世書記局長代行迫る
自民党の鈴木宗男衆院議員の疑惑は、外務省から国土交通省など他省庁へと横断的に広がる底なしの様相です。日本共産党の筆坂秀世書記局長代行は8日の参院予算委員会で、疑惑の発端となった国後（くなしり）島「友好の家」（ムネオ・ハウス）の入札偽装工作、歯舞（はぼまい）、色丹（しこたん）の土地買い占めのうごき、米海兵隊演習の関連事業を受注した企業からの政治献金問題などを追及。「鈴木議員は、自分がかかわったあらゆるものを利権にしている」と指摘し、小泉純一郎首相の責任で全容究明をおこなうよう要求しました。
＜競争入札にみせかける＞
「ムネオ・ハウス」の疑惑の核心は、鈴木議員の介入で同氏の後援企業が確実に落札できるように入札をゆがめたという点です。
この問題で外務省報告書（4日）は、「関与」は認めたものの、入札はあくまでも一般競争入札とし、受注した後援企業二社以外に入札資格を有する3社が入札説明会に参加していたと報告していました。
筆坂氏は、3社がそもそも入札資格がなかったことを解明し、後援企業しか入札できない仕掛けになっていたことをごまかす「偽装報告ではないか」と批判。川口順子外相は再調査を約束しました。
＜二島の土地買収の動き＞
歯舞諸島、色丹島で土地買い占めの動きがある――。筆坂氏は、不動産会社の具体的な動きや、「鈴木宗男さんが島の土地をほしがっている」と働きかけられた旧島民の証言を紹介しました。
筆坂氏は、鈴木議員が歯舞・色丹の「二島先行返還」論を唱えていることをしめし、土地買い占めの背景にこうした主張があるといわざるを得ないと指摘。小泉純一郎首相は「初めて知った。奇怪な行動だ」「事実なら好ましくない」と答えました。
＜米軍演習にからみ献金＞
筆坂氏は鈴木議員が北海道・矢臼別演習場でおこなわれた米海兵隊の実弾砲撃演習でも、関連業者から政治献金を受けていたことを明らかにしました。
演習の諸施設を受注した25業者からの献金総額は6年間で3800万円。なかでも受注金額が2億円前後にのぼる食堂厨房（ちゅうぼう）や隊舎は、「ムネオ・ハウス」を受注した後援企業が受注していたことも明らかになりました。
筆坂氏は、演習場移転に地元自治体が反対したにもかかわらず、鈴木議員が町長らを強引に説得し、米海兵隊の歓送迎会までおこなっていたことを指摘。「国会議員がこんな歓迎会をやった例があるか」とただすと、中谷元防衛庁長官も「他の地域ではない」と、その異例さを認めました。
＜ロシア支援 自民にも金＞
ロシア支援にまつわる不透明な事態は鈴木議員にとどまらず、自民党全体に及んでいることを筆坂氏は追及しました。
ロシア支援の発注元である支援委員会がロシアに七つの「日本センター」をつくっている問題を取り上げました。その所長はすべて民間企業の出身者で占められ、その企業に外務省幹部が天下りし、企業はロシア支援事業を受注。1990年からの11年間で21億円以上の政治献金がこれらの企業8社から自民党の資金管理団体「国民政治協会」に入っています。
筆坂氏は「自民党全体が見直すべき問題だ」と指摘しました。
（3月9日付「しんぶん赤旗」報道）
