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ムネオ・ハウスの入札は形だけ=入札の企業条件を2ランク下げる

2002年3月6日・「しんぶん赤旗」報道

 鈴木宗男・自民党衆院議員の入札介入が問題になっている国後島「友好の家」(ムネオ・ハウス)建設の舞台裏が、日本共産党の追及とそれを受けた外務省調査結果(四日発表)でますますはっきりしてきました。経過をみると、入札はまさに形だけ。入札公告公示までに、鈴木議員の介入と外務省側の対応で、同議員への献金企業二社JV(共同企業体)に契約がいくような巧妙なしかけがつくられていたのです。

<3つのポイント>

 契約企業がしぼられていったポイントは大きくいって3つあります。

 ひとつは、鈴木議員が、外務省欧亜局関係者と会い、工事の入札参加企業を「根室管内」に本社がある企業に限定するよう求めたこと(1999年5月27日)。

 これは、日本共産党が国会で示した外務省内部文書にしるされており、外務省調査でも確認されました。

 「根室管内」ではあまりに露骨なため、入札公告では、「気象条件が国後島に酷似する根室管内において、類似施設建設工事の施工実績を十分に有するもの」とぼかされました。しかし、関係者が読めば、意図は明白です。

 これにくわえ、企業をほぼ特定する条件が、入札参加企業の総合評点。これは、建設業法にもとづく経営事項審査で各企業の評価を点数であらわしたものです。

 外務省は、前出の鈴木議員との面談後、入札参加企業の総合評点を道開発局基準で「1200点以上」とする案をつくり、もう一度、鈴木議員に了承を求めにいきました。

 外務省内部文書には、前出の面談後、「来週早々にも説明に行く予定」としるされています。2回目の面談がいつ、どこで、どんな内容を話し合ったのかは、外務省調査でもふれていません。

 この面談の結果、大きく変わったことがありました。それが、総合評点。事務局案の1200点から900点に大幅にさげられました。

 これには事情がありました。

 工事を契約した渡辺建設工業の当時の総合評点は916点。犬飼工務店は906点。
 これでは、「1200点以上」という条件をパスできません。900点という巧妙なラインにまで引き下げて初めて、両社が入札参加できたのです。

 もともと、外務省側の案は、総合評点1200点以上のAランク企業でした。それが、Bランク(960点以上1199点以下)どころか、Cランクにまで下げられたことになります。

 なぜ、引き下げられたのか。外務省調査では、その経過は明らかにならなかった、としており、大きなナゾです。

<丸投げ先も加わり会合=巧妙なしかけで>

 他方、釧路市内の鈴木事務所では、この工事のコンサルタントである日本工営と日本工営から依頼された日揮(横浜市)、さらに、工事を受注した渡辺建設工業、犬飼工務店の四者が集まっていました(日本工営は四社が一堂に会したことは否定)。これが、裏舞台で進行した三つ目のポイントです。

 こうして、同年7月7日の入札で、参加したのは渡辺建設工業、犬飼工務店の共同企業体(JV)だけになりました。

 発注元の支援委員会は、もともと不要なはずの消費税分までつけて約4億1700万円で両社JVと随意契約しました。

 この経過でもうひとつはっきりわかるのは、外務省やコンサルタント側が一貫して、工事は難工事であり、Aランク程度の企業でないとむずかしい――と判断していたことです。

 実際、工事を契約したものの、渡辺・犬飼JVは、現場監督一人を出したぐらいで約7000万円を差し引いて、日揮に丸投げしました。日揮は、コマツハウス(東京)にさらに下請けさせました。

鈴木議員は「地元企業」優先というものの、無理押しと巧妙なしかけで受注できたのは結局、同議員への献金企業二社だけ。その下は、首都圏の大手企業でした。

 こうして、入札公告前にシナリオができていた経過と鈴木議員の介入はいっそうの解明が求められています。

ムネオハウス建設決定の経過のポイント(表)

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国会レポート

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