「支援委」が巨額ためこみ=日本政府の拠出金で274億円
自民党の鈴木宗男議員の入札介入疑惑で事業の発注元になった「支援委員会」の財政に、巨額のプール金が存在する疑いが明らかになりました。同委員会の財政は、日本政府の拠出金でまかなわれており、国民の税金が不明朗な形でため込まれていることを示しています。
<来年度予算案で10億円余を計上>
「支援委員会」にたいする日本政府の拠出金は、2001年度までで591億524万円余。外務省ロシア支援室によれば、拠出金の使途は「人道支援」「技術支援」「北方四島支援」「運営費」の4つに大別されます。このうち2000年までに使った実績額は、人道支援で135億6000万円、技術支援94億7000万円、北方四島支援86億7000万円(別に1億1000万円程度が支援委員会発足前に支出されている)となっています。
「運営費」については、「積算をしていないので、すぐにお答えできない」(ロシア支援室)という状態です。拠出金と実績額の差額は、この「運営費」を合わせて274億円にのぼります。
国の予算の場合、剰余金は国庫に返納するか、繰り越しの承認を受けなければなりません。しかし、拠出金は外務省が支出した段階で国の予算執行は終わります。そのため会計検査院の検査も入らず、「年度を越えて使用してもいい」(ロシア支援室)資金となっています。外務省は「計画した事業で着手していないものもあり、使っていないお金がある」(同前)など、プール金の存在を認めています。
「支援委員会」財政をめぐっては、事業費決定の段階で納める必要のない消費税分が上乗せされていたり、支援委員会とは別組織のはずの外務省職員の出張旅費に使われるなど、不明朗さが指摘されています。巨額のプール金はこうした不明朗な資金運用の温床になっています。
拠出金は来年度予算案でも10億5241万円計上しており、その実態の解明は予算執行にかかわる問題として欠かせません。
支援委員会 1993年1月、旧ソ連諸国12カ国と日本が締結した協定に基づき設立された国際機関。旧ソ連への人道・技術支援が目的とされています。メンバーは、日本から外相が選定した外務省職員1人と駐ロシア大使、援助を受ける各国から選定された政府代表1人ずつ。事務局は日本に置かれています。現在、支援の大部分はロシア支援、「北方四島」支援が占めます。運営資金は、日本が最初に拠出した125億円のほか、毎年、外務省予算に計上される「国際機関等拠出金」からなっています。
<支援委員会への拠出金と使途>
◎拠出金(92〜2001年度)591億524万円
◎使途
- 人道支援------ 135億6000万円
- 技術支援------ 94億7000万円
- 北方四島支援-- 86億7000万円
- 運営費-------- ?
◎残額+運営費 274億524万円