根室業者のムネオ・ハウス受注=“実力的に無理”
鈴木宗男自民党議員が入札方式を変えさせてまで国後島の「友好の家」(ムネオ・ハウス)建設工事を請け負わせた根室管内の業者は、外務省、コンサルタント会社、実際の工事施工企業のいずれからも「工事は実力的に困難」と判断されていたことが二十六日までに鮮明になってきました。実際にこの業者は契約をとっただけで、首都圏の企業に工事を「丸投げ」しており、鈴木議員が工事の困難さも無視してこの企業に受注させた異常さがうきぼりになっています。
この工事を約4億1700万円で受注したのは渡辺建設工業と犬飼工務店の共同企業体(JV)。しかし、実際に、工事をしたのは、同JVから下請けした日揮(横浜市)と、その下請けのコマツハウス(東京)でした。
日揮は26日、この工事について、見解を発表。このなかで、工事は、(1)港湾凍結や流氷などを予想し、短期間で完成させねばならない (2)資材をいっさい現地調達せず、廃材などもすべて持ちかえる (3)特殊な輸送船で運搬する――などを条件としていた、と指摘。この困難さのゆえに、工事コンサルタントの日本工営から参加を要請されたことを明らかにしました。
他方、日本共産党が国会で明らかにした外務省の内部文書によると、同省は当初「北海道に本社、支社または営業所を有する業者」を想定。支援委員会の内部文書では事務局希望案として「道内でAランクの五社及びBランクのうち、資本金一億円・従業員数百名以上の七社を対象とする」とし、これなら工事も「信頼できる」としていました。
ところが、1999年1月、当時官房副長官だった鈴木宗男議員が「地元企業を使うことが重要」と圧力。さらに5月には「信頼性のある会社に絞りたい」としていた外務省にたいし、「該当企業を北海道内ではなく、根室管内に限定してどうか」として、結局、Bランクの渡辺建設工業と犬飼工務店と契約させました。しかし、両社は実際には現場監督を一人出しただけで工事を丸投げしました。
日揮も日本工営も外務省も“実力的に困難”と判断していたのに、「根室管内の建設会社の参加」が押し付けられたわけで、こうした構造が工事価格を押し上げた可能性もあります。