アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

「北方四島支援」事業の異常な実態=入札参加は1〜3社

2002年2月24日・「しんぶん赤旗」報道

 国土交通省の一般競争入札なら平均10社程度はある入札参加企業が、鈴木宗男自民党議員の疑惑が指摘される「北方四島支援」事業ではほぼ1〜3社と極端に少なく、入札経過を示すために通常公開される「入札調書」さえもなかった――。一般競争入札の看板のもとで進んでいた支援事業でこんな異常な実態が明るみにでました。

 「北方四島支援」事業は、外務省の関係団体である「支援委員会」が入札・発注をおこないます。1993年度からおこなわれ、2000年度までで総額約81億円を支出。すべて税金でまかなわれています。

 このうち、本紙が調べた一般競争入札の8事業で、入札参加企業を示すと別表のとおりです。

 鈴木議員が入札に介入した国後島の「友好の家」(ムネオ・ハウス)と択捉島のプレハブ診療所は一社だけの入札。他のプレハブ診療所、自航式はしけ、ディーゼル発電施設などは2社から3社。8工事の平均入札参加業者数は2.1社という少なさです。

 国土交通省によると1999年度の直轄工事の一般競争入札の一回当たりの平均入札参加業者数は9.7社。これにくらべても「北方四島支援」事業の入札参加業者数は異常です。

 このように入札参加企業が少ない理由について、日本共産党の木島日出夫議員は衆院予算委員会で、(1)特別の参加条件が設定されている (2)入札の公告から説明会までの期間が極端に短く、説明会に参加しないと入札にも参加できない――と指摘しました。こうした条件設定に鈴木議員の介入があった疑惑がいま浮上しています。

 さらに入札実態を不透明にしているのが、「入札調書」がないこと。国や地方自治体などでは、入札の透明性を確保するため、入札執行要領などで、入札調書の作成を義務付け、閲覧できるようにしています。しかし、支援委員会事務局は「落札業者については外務省に報告しているものの入札調書などは作成していない」といいます。これでは、実態が隠されてしまいます。

 あるゼネコンの幹部は「一般的には入札参加業者が少ないほど業者間の“談合”がしやすい。それにしてもこれほど少ないのは、入札参加資格が異常に狭いか、ほぼ完全に本命業者が決まっているかのいずれかだ」と話しています。

おもな「北方4島支援」事業の入札状況(○は落札業者)

事業名 選定方法 入札参加業者(数)
「友好の家」 一般競争入札 渡辺建設工業・犬飼工務店JV(1共同企業体)
択捉島プレハブ診療所 一般競争入札 大和工商リース(1社)
色丹島プレハブ診療所 一般競争入札 大和工商リース、西条産業(2社)
自航式はしけ「友好丸」 一般競争入札 根室造船、楢崎崎造船(2社)
色丹島ディーゼル発電施設 一般競争入札 三井物産、兼松(2社)
自航式はしけ「希望丸」 一般競争入札 根室造船,楢崎造船,釧路重工(3社)
択捉島ディーゼル発電施設 一般競争入札 三井物産、住友商事、兼松(3社)
国後島ディーゼル発電施設 一般競争入札 三井物産、住友商事、兼松(3社)
Share (facebook)

このページの先頭にもどる

国会レポート

外務省・鈴木宗男議員疑惑へ