アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

雇用・労働

2014年10月17日 第187回 臨時国会 内閣委員会 【796】 - 質問

人事院総裁に対し「人事院勧告」について質問

 2014年10月15日、佐々木憲昭議員は、内閣委員会で、人事院総裁に対し「人事院勧告」について質しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 今回、人事院は、職員の給与の引き上げとともに、給与制度の総合的見直しに関する報告と勧告を行っております。
 給与制度の総合的見直しでは、地域間給与配分の見直しと世代間給与配分の見直しが勧告されております。地域間の給与配分の見直しでは、俸給を一律2%カットした上で地域手当の見直しを行い、また、世代間の給与配分の見直しでは、特定の世代については最大4%の引き下げを行うものとなっております。
 まず、世代間給与配分の見直しの根拠についてお聞きをしたいと思います。
 報告では、50代後半層については、国家公務員給与が民間給与をなお4%程度上回っているとされております。比較の対象となった国家公務員給与は、国家公務員給与等実態調査と聞いておりますが、民間給与の方はどのような調査に基づいているのか、その数値も示していただきたいと思います。
○古屋政府参考人(人事院事務総局給与局長) お答えいたします。
 民間につきましては、厚生労働省の調査でございます賃金構造基本統計調査のデータに基づいているところでございます。50代後半層の民間の給与水準につきましては、51万円ということになっているところでございます。
○佐々木(憲)委員 国家公務員の方は幾らですか。
○古屋政府参考人 国家公務員給与等実態調査に基づく数値としては、53万6千円となっております。
○佐々木(憲)委員 人事院は、みずから行っている職種別民間給与実態調査というのがあると思うんですが、その数字があるはずでありまして、それを使わずに、今回、厚生労働省の賃金構造基本調査の数値と比較したわけであります。その理由は何でしょうか。
○古屋政府参考人 官民比較に際しましては、主な給与決定要素であります役職段階、勤務地域、学歴、年齢、これを同じくする者同士の対比をさせる、いわゆるラスパイレス方式によって官民較差を算出しているというところでございます。
 一方、今回の世代間配分に関しましては、昇進管理などの官民の人事管理の実態がそれぞれ異なる中でありましても、年齢別の民間賃金の傾向も踏まえていく必要があるということから、見直しを行うことを考えているものでございます。
 このような観点からは、官民の年齢層の一部のみを取り出してラスパイレス比較をするということは適当ではなく、年齢別の民間賃金の全体の傾向を把握できる賃金構造基本統計調査を用いることが適当であると考えたところでございます。
○佐々木(憲)委員 では、確認いたしますが、同じやり方で、民間の50代前半、その数値は幾らでありますか。それに対する国家公務員の数値はどうなっていますか。
○古屋政府参考人 お答えいたします。
 50代前半層の給与水準につきましては、民間が52万1千円でございまして、国家公務員については51万円でございます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、国家公務員51・0万円、民間52・1万円ということは、民間の方が二ポイント程度高いわけですね。
 50代後半が四ポイント高いからその分を引き下げるというなら、50代前半は民間より二ポイント低いわけでありますから、これはその分を引き上げないと、つまり、民間の方が高いわけで、その分を引き上げないとつじつまが合わない、こういうことになると思いますが、なぜそうしなかったのか。総裁、いかがですか。
○一宮政府特別補佐人(人事院総裁) 公務員給与について、適切な年齢別配分を実現するためには、全体として年齢別の民間賃金の傾向を踏まえることは必要ではありますが、昇進管理など官民の人事管理の違いがあることを踏まえますと、年齢層ごとに官民の給与水準を完全に一致させるということはできませんし、必ずしも適当とも考えられません。
 なお、今般の見直しにおきましては、俸給表の水準を平均2%引き下げ、その中で、50歳代後半層の職員が多く在職する高位号俸については、最大で4%程度の引き下げを行うということにしておりますけれども、その際、民間給与を上回っている状況にない40歳代や50歳代前半層の職員の給与水準に与える影響に留意して、平均引き下げ率を上回る改定を行う範囲を限定するなどの配慮をしたところです。
 また、40歳代や50歳代前半層の職員に対し、勤務成績に応じた昇給機会を確保するという観点から、必要な号俸の増設も行ったところでございます。
○佐々木(憲)委員 どうも説明が説明になっていないと思いますね。
 調査をして官民のそれぞれの数値を出したわけでありますから、それで50代後半がこうだということで、今度は50代前半の分は逆転しているわけですね。そっちの方はそのままにしておいて、下げる方だけやる。これはおかしいですね。
 それから、人事院は、給与の勧告を行うために、今回の勧告の説明資料にあるように、民間給与との比較方法、ラスパイレス比較、これは今までもやってきた精緻な方法でありますが、民間給与と公務員給与の比較をこれで行っているわけです。この方法で、50代後半の職員について、その役職段階、勤務地域、学歴に対応する民間給与との比較をなぜ行わなかったのか。行うことは私は可能だと思いますけれども、可能ではないんでしょうか。総裁、いかがですか。
○古屋政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど申し上げたとおり、世代間配分ということでの見直しということでございまして、それぞれの水準をラスパイレスで求めてその較差を埋めるということではございませんので、民間の賃金の傾向を踏まえていくという観点からこの資料を使わせていただいたところでございます。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いているのは、みずから収集した民間給与のデータ、これを使って公務員との比較を行う、その役職段階、勤務地域、学歴に対応することは当然可能だと思いますが、数字はあるわけですね。したがって、可能かどうかということを聞いているわけです。
○古屋政府参考人 可能かどうかということでいえば、そういう意味では、新たにプログラムといいますかそういうものを全てもう一度設定して算出するということは、要素としては可能ではございます。
○佐々木(憲)委員 では、後でその数値を出していただきたいというふうに思います。
 次に、地域間給与配分の見直しでありますが、全体として、俸給表の水準を平均2%引き下げる一方で、地域手当は最高18%から20%に引き上げる、こういう方法で見直しを提起しております。
 この見直しによって、給与が上がる職員、変わらない職員、下がる職員、それぞれ何人か、また全体に占める割合は何%か、示していただきたいと思います。
○古屋政府参考人 お答えいたします。
 俸給月額、地域手当を合計して増減が生じる職員数というのについては算出しておりませんので、まず俸給月額について、行政職俸給表(一)でお答えいたしますと、俸給月額が引き下げとなる職員数は13万2006人で93・2%、俸給月額が変わらない職員は9568人で6・8%となっております。
 また、地域手当につきましては、現在支給されている職員で見直し後に支給されなくなる職員はおりません。他方、現在地域手当が支給されていない職員で新たに地域手当が支給されることとなる職員数は、行政職俸給表(一)の分でありますと3500人で2・5%となります。
○佐々木(憲)委員 この見直しの職員への影響についての試算は、当委員会に数字を出していただきたいと思います。
 今回の人事院勧告に対して、全国知事会、全国市長会、全国町村会は連名で意見書を出しているんですね。これは余りないわけであります。
 何を心配しているかというと、この勧告により、地方と都市部の公務員給与水準の格差拡大が生じるばかりでなく、特に地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等も多いことを踏まえると、結果として、官民を通じて地域間格差が拡大することになりかねない、これが全国知事会、全国市長会、町村会の意見なんです。
 確認をいたしますけれども、地域間の給与配分の見直しによって地域手当がつく市町村の数、その中で給与が下がる市町村の数、給与が変わらない市町村の数、上がる市町村の数、それぞれ幾つですか。
○丸山政府参考人(総務省自治行政局公務員部長) お答えいたします。
 地方公共団体につきまして、仮に国と同様の、給料表の平均2%の引き下げ及び地域手当の支給割合の見直しを行うものとして、単純に当てはめまして機械的にその影響を見込みますと、給料と地域手当を合わせた給与水準について、給与水準が上昇すると思われる団体は205団体、おおむね維持されると思われる団体は30団体、低下すると思われる団体は1507団体となります。
 ただし、国におきましては、俸給水準の引き下げに際しまして、激変緩和のため、3年間の経過措置、現給保障を講ずることとしており、同様の措置を地方公共団体においても実施した場合には、給与水準が直ちに下がることはないと考えております。
 また、地方公共団体における給料表や職員構成は一様でないことから、人事院勧告を基本とした取り組みを行った場合の実際の影響につきましては、仮定したような機械的な方法で正確に見込むことは困難と考えております。
○佐々木(憲)委員 今数字を確認しましたけれども、下がる自治体が圧倒的に多いんです。86・5%の自治体が下がる。これは計算が、もちろん一定の前提を置いた上でですよ、そうなるわけであります。
 公務員の方は、地域手当が支給される自治体は260と聞いておりまして、その中で、上がるのが122、維持が六、下がるのが132、こういうふうになっていると思いますが、これは確認しておきたいと思います。
○古屋政府参考人 見直し後の支給地域につきましては、260地域でございます。それから、今回、地域手当の支給地域として指定する地域のうち、俸給それから地域手当の合計ということですが、これは俸給水準を一律2%引き下げとして試算させていただきますと、水準が引き上がる地域が122地域、それから、おおむね維持される地域が六地域、引き下がる地域が132地域となります。
○佐々木(憲)委員 今回の見直しは、2005年の勧告で導入した、民間賃金が公務員給与より低いブロックに合わせて給与水準を下げた、これに続いて、さらに、より低い地域をわざわざ探して俸給水準を下げる、こういうことをやったために、今紹介されたような多くの地域、多くの自治体で水準が下がるわけであります。これをやりますと、地方公共団体が心配しているように、地域間の格差が拡大されることは明らかだと思うんですよね。
 これは総裁にお聞きしますけれども、今回のこれは、やはり格差を拡大する方向に作用すると私は思うんです。どのようにお思いですか。
○一宮政府特別補佐人 地域に勤務する国家公務員の給与につきましては、特に民間賃金の低い地域を中心に、公務員給与が高いのではないかという御指摘が依然として見られることに留意いたしまして、そうした地域における官民給与の実情を把握した結果、官民の給与差が確認されました。
 これを踏まえて、地域間の給与配分を適正化するため、全国共通に適用される俸給表の水準の引き下げを行うとともに、地域手当の見直しを行うなど、措置を講ずる必要があるというふうに判断いたしました。
 なお、特に地方に在勤する職員への影響に配慮いたしまして、俸給の引き下げに際しての激変緩和のための経過措置等を講ずることとしております。
○佐々木(憲)委員 私が質問したことにまともに答えないんですよね。書いたものを読むだけでは、これは全然だめですね。
 今回の結果を見れば明らかなように、上がるところと下がるところが生まれて、結果的に地域の格差が拡大する。特に過疎地域が下がっていくということになるわけですよ。今は地域創生だとかで格差の問題が大問題になっているのに、そういうことについて何の配慮もなしに、今回こういうことでやりましたから後の影響は知りません、こういうことでは困りますので、そこはしっかりやってもらわないと困る。このことを最後に申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる