2014年06月10日 第186回 通常国会 議院運営委員会 【788】 - 発言
田中氏ら規制委人事に反対、再稼働推進を批判
2014年6月10日、衆議院本会議で、原子力規制委員会の委員4人のうち、9月に任期切れを迎える2委員の後任に田中知・東大大学院教授と石渡明・東北大教授を起用する政府の国会同意人事案が、自民・公明与党の賛成多数で可決されました。日本共産党はいずれも反対。田中氏には全ての野党、石渡氏には民主、結い、生活、社民も反対しました。
本会議に先立つ議院運営委員会で、佐々木憲昭議員は今回の規制委員会の人事は「原発事業者・財界などの要求に従って原発再稼働・推進政策をすすめる安倍政権の姿勢を示したものだ」と厳しく批判しました。
田中氏は、日本原子力産業協会の理事を務め、東電記念財団から報酬を受けていました。原子力事業者と規制当局の癒着を排除するための規制委員の「欠格要件」にあたるにもかかわらず、政府は“理事は無報酬”“東電記念財団は東電からの運営資金提供はない”と説明。佐々木議員は「とうてい納得できない」と批判しました。
佐々木議員は、田中氏が2004年度から11年度の間に原子力事業者や関連団体から760万円超の寄付や報酬を受けていたことも指摘し、「福島原発事故の反省と教訓に立って規制行政を行おうとする人選ではない」と撤回を求めました。
原子力規制委員会の人事をめぐって、政府が提案した田中知氏について野党側が電力業界との癒着を指摘したうえで、ガイドラインの「欠格要件」に当てはまるので提案を「撤回」すべきだと求めてきました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
今回の原子力規制委員会の委員の人事について、政府の姿勢に重大な問題がありますので、見解を表明させていただきたいと思います。
政府が提案した候補者と、原子力規制委員会の発足に当たり当時の民主党・野田内閣のもとで定めたガイドラインの扱いであります。
ガイドラインは、原子力規制委員に就任できない欠格要件の考え方として、最近3年間に原子力事業者等及びその団体の役員、職員であった者、また、直近3年間に同一の原子力事業者等から個人として一定額以上の報酬等を受領していた者としておりました。
これは、原子力事業者と規制当局の癒着を排除しようという趣旨のもので、当時野党であった自民党も認めていたものであります。
ところが、今回の規制委員候補、田中知氏は、原子力産業協会の理事を務め、かつ東電記念財団から報酬を受領していたもので、このことは、本人自身の申告で明らかになっていたのであります。
したがって、この人事は撤回すべきであり、全ての野党がこのことを主張してまいりました。
この問題について、政府は、ガイドラインに照らしても欠格要件には該当しないとして、理事は無報酬だから問題はない、東電記念財団には東電からの運営資金提供はないと説明してまいりました。
しかし、ガイドラインには、無報酬除外の記述はありません。しかも、東電記念財団は、東電の資金で設立されたもので、土台から丸ごと東電そのものであります。政府の説明は到底納得できるものではありません。
その上、担当大臣である石原環境大臣は、ガイドラインは適用しないと言い、自民党政権としての人選基準も今後策定しないと答弁しているのであります。
先ほどロイターが伝えたところによりますと、田中知氏が規制委員会の専門審査会の委員にことし就任した際に、規制委員会が公表した情報によると、田中氏は、東京電力福島第一原発事故が起きた翌2011年度に、東電記念財団や原発メーカーの日立GEニュークリア・エナジーなどから160万円以上の報酬や寄附を受け取っております。
これらの金額のほか、東大本部の回答によると、田中教授には、原子力事業者などから、2004年度から10年度にかけて、合計600万円の寄附があった。このように指摘をされているわけであります。
このような事実がありながら、田中氏の人選をごり押ししようというのは、なりふり構わず原発再稼働の圧力を強める原発事業者、財界などの要求に従って原発再稼働・推進政策を進める安倍政権の姿勢を示したものであります。そうした政府の人選に同意することはできません。
福島原発事故の反省と教訓に立って規制行政を行おうとする人選ではないということを、強く指摘をしておきたいと思います。
以上です。