2014年04月02日 第186回 通常国会 内閣委員会 【781】 - 質問
「健康・医療戦略」法案、一部の人しか利益享受できない危険性がある
2014年4月2日、佐々木憲昭議員は、内閣委員会で、政府から提案された2つの法案(「健康・医療戦略推進法案」「日本医療研究開発機構法案」)について、質問しました。
この法案は、医療分野の新たな研究開発体制つくり、それをもとに新しい産業活動を創出するために、健康・医療戦略推進本部を設置すること、医療分野の研究開発を促す環境整備と助成業務を行うため医療研究開発機構を設置することを目的とし、健康・医療戦略を「トップダウン」で進める体制づくりとなっています。
佐々木議員は、菅内閣官房長官に、現場の研究者や一般国民の声が反映される仕組みが整備されているかただしました。
情報公開の面、予算配分の面から、問題があることを指摘。
この法案は、経済同友会などの財界が要求する医薬品開発を、総理のトップダウンの指示で国の機関を動員して研究開発を推進する体制をつくるものです。それは、基礎研究の歪みをもたらし、医薬品開発の利益は業界へ、一部の人しか開発の利益を享受できないという危険性があると批判しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
提案された二つの法案は、医療分野の研究開発体制を新たに編成し新しい産業活動を創出するということで、健康・医療戦略推進本部を設置すること、また、医療分野の研究開発を促す環境整備と助成業務を行うために医療研究開発機構を設置する、これを目的としております。この仕組みは安倍総理の肝いりでつくられたもので、健康・医療戦略をトップダウンで進める体制づくり、このように言われているわけです。
法案では、健康・医療戦略推進本部がつくられて、健康・医療戦略参与からの政策助言、それから専門調査会から専門的、技術的助言を得ることになっております。さらに、タスクフォース、推進会議等々が置かれているわけです。
そこでお聞きしたいんですが、メンバーの選考基準、人数、これはどうなっているのか、また人選は誰が行うのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
○菅内閣官房長官 健康・医療戦略推進本部は、健康・医療戦略を策定することとされており、全省の施策との連携、調整が必要なために、内閣総理大臣を初め全ての国務大臣が出席をして行われることになっております。
今御質問の、健康・医療戦略参与及び専門調査会の委員は、内閣総理大臣が決定をすることになっております。
参与については、健康・医療に関する成長戦略について幅広い見地から本部へ助言ができる、産業界、医療関係、そうした機関の有識者の方にお願いをしているところであります。そしてまた、調査会の委員は、医療分野の研究開発に関する学識経験を有する者のうち、学術的、技術的観点から本部への助言ができる方に、それぞれ現在メンバーになっていただいております。
なお、定数については、まだ規定は設けておりません。
○佐々木(憲)委員 内閣の意向に基づいてトップダウンで推進する、こういう組織だと思うんですが、この法案の中に、現場の研究者の意見ですとかあるいは国民の声を反映する仕掛けというのはあるんでしょうか。
○菅国務大臣 まず、この健康・医療戦略の策定に当たっては、学識経験者を初め、国内各層から幅広く御意見を伺って、本部で決定する政策に生かすことが重要だというふうに私どもも考えております。そのため、引き続き、本部のもとに有識者で構成する組織を置いて、専門的、技術的助言を受けて、そして健康・医療戦略の策定というものを実施していきたいというふうに思います。
なお、本部が策定をする健康・医療戦略、医療分野研究開発推進計画といった計画は、事前に方向性を示すことによって、各省の関連施策の統一を総合的、整合的に図るという内閣の機能を補助するために、健康・医療戦略推進本部のような、内閣の事務を助ける機関が策定するものであるため、内閣のもとで決定をしていく、そういう形の構造にしています。
○佐々木(憲)委員 今お聞きする限りでは、直接、国民の意見あるいは現場研究者の声が反映できる、そういう仕掛けにはなっていないように思いました。
では、情報公開がどうなっているかという点です。法案の中に、会議録あるいは配付資料等の公表について、これはどのような規定になっているんでしょうか。
○中垣政府参考人(内閣官房内閣審議官) 御指摘の健康・医療戦略推進本部、あるいは参与会合、あるいは専門調査会の議事要旨、配付資料につきましては、原則公表することといたしております。今後も、この方針にのっとりまして、引き続き、公表を原則として対応してまいりたいと考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 では、この健康・医療戦略を推進する上で一番の肝になるのは、応用から実用化につなげる有望な基礎研究を選択して、重点的にてこ入れをするということだと思うんです。この作業を直接行うのはどの部門になるでしょうか。
○菱山政府参考人(内閣官房内閣審議官) 先生の御指摘は、研究開発をどこの部門が選択するかということだと思いますが、それにつきましては、新しく設置する独立行政法人の日本医療研究開発機構で、具体的なテーマについては、どの先生、どの研究者に研究をやっていただくかというのは、そこの独立行政法人で決定するということでございます。
○佐々木(憲)委員 この推進本部のもとに健康・医療戦略推進会議というのがあって、そのもとに創薬支援ネットワーク協議会というのがありますね。ここが実際に基礎作業といいますか現実的な作業を行うということになると思うんですが、そうではありませんか。
○中垣政府参考人 御指摘の創薬支援ネットワークにつきましては、従来、この委員会でも議論がございましたけれども、いわゆるシーズがなかなか製品につながっていかないというような御指摘もございますので、そこで、特に製薬会社のOBの方とかが入って、いわゆる目きき機能を発揮して、どうやってアカデミアのものを企業につなげていくかというためのことをやっております機関でございます。
○佐々木(憲)委員 ここには、今おっしゃったように、産業界の関係者も直接入って行うということになっております。その場合の、ここの会議録とか配付資料等の公表、これはどうなっておりますか。
○中垣政府参考人 創薬支援ネットワーク協議会については、企業の関係者が入っておったかどうかというのは……(佐々木(憲)委員「入っていますよ」と呼ぶ)済みません、ちょっと。
ただ、創薬協議会につきましては、基本的には、今、議長は私どもの室長が行っておりまして、あと関係各省、そういった機関、それから基盤研、産総研、理研の代表者、そういった方が入っております。
○柴山委員長 質問は、議事録が作成されるかどうかという質問なんですが。
○中垣政府参考人 失礼いたしました。
議事要旨の方をつくっておると承知しております。(佐々木(憲)委員「公開しているんですか」と呼ぶ)
○柴山委員長 佐々木君、質問を続行してください。
○佐々木(憲)委員 では、質問をもうちょっとちゃんとしましょう。もう一回言いましょう。
私が聞いたのは、創薬支援ネットワーク協議会というのがありますね。これは、この推進本部のもとにつくられているわけです。その中に、今おっしゃったような医薬基盤研究所とかいろいろな研究機関、それから各省庁の担当の方々、さらに日本製薬工業協会の会長も入っていますね。したがって、関連業界からも参加をしているということははっきりしている。これは、政府のホームページを見れば出ているわけです。
さらにその上で、その議事録の公開の問題ですけれども、これは、「創薬支援ネットワーク協議会の開催について」ということで、行われた協議の中で、こういうふうに書いているんですよ。「協議会は、原則として非公開とする。」ということになっているんじゃありませんか。
○中垣政府参考人 失礼いたしました。
構成員につきましては、製薬工業協会の会長は入っております。仰せのとおりでございます。
議事録については、今ちょっと確認しております。申しわけございません。
○佐々木(憲)委員 この配付された資料を見ますと、「創薬支援ネットワーク協議会の開催について」ということで、健康・医療戦略推進会議の決定、私は案の段階のものを持っていますけれども、その中に、四番目に「協議会は、原則として非公開とする。」こういうふうになっているわけです。
したがって、原則公開のようなことを言われましたけれども、これはこのまま当然決定されているはずなんですけれども、非公開というのが原則じゃないんですか。
○中垣政府参考人 冒頭申し上げましたように、健康・医療戦略参与会合それから専門調査会につきましては、原則公開しておるというところでございます。(佐々木(憲)委員「いや、ここの話」と呼ぶ)
それにつきましては、公開を原則しておりません。これにつきましては、たしか、まだ具体的に、例えば新しいシーズとか、要するにいろいろ公表されていないものについての御議論もあり得るかということもございますので、非公開としているのではないかと。
○佐々木(憲)委員 大体、公開するところと非公開にするところを分けて、非公開の部分で何をやっているかといえば、どの基礎研究にてこ入れをするかということを業界の代表も入って議論をしている。したがって、肝心の研究対象をなぜ選ぶか、それからどのような議論があったか、これが国民に見えないわけですよ。
巨額の予算を配分するその基礎になることをやるわけですから、密室で行われて国民に見えない、これはおかしいので、官房長官、当然これはほかと同じように公開すべきではないですか。
○菅国務大臣 今、政府委員から申し上げましたけれども、政策的助言の参与の会合と専門的、技術的助言の専門調査会というのは公開、そして、今、創薬支援ネットワークというのは基本的に非公開という話をいたしました。
これは、例えば特許に関する問題だとか、そうした問題があるときというのは、やはりここは公開はできないというふうに思います。そういうことがあって、今、原則非公開にしているんだろうというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 これは非常に理解できない答弁です。これが非公開になりますと、実際に選択された結果、その措置が妥当かどうか、あるいは国民や国会がそれを検証するということができなくなるわけです。国会がチェックもできない。これはちょっと、余りにも秘密主義じゃないかなと思います。
今、科学技術政策を進める政府側の検討の場となっているのは、総合科学技術会議であります。その中に、科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合というのがあるんです。
総合科学技術会議のホームページを見ますと、平成21年度から現在までの議題と配付資料、議事概要というのが掲載してあります。
お手元に配付してありますのは平成25年度分であります。昨年の4月からことし3月まで、安倍内閣になってからのものですが、ごらんになってわかりますように、ほとんど非公開なんですよ。一ページのところから見ましても、「主な議題」となって、議題の名前はついていますけれども、「(非公開)」「(非公開)」「(非公開)」「(非公開)」、全部非公開。二枚目も三枚目も四枚目も五枚目も、ほとんど非公開なんですよ。これは余りにも非公開が多過ぎるのではないか。
具体的に聞きたいんですけれども、少しさかのぼりますけれども、今この資料には入っておりませんが、平成22年3月4日の議事概要を見ますと、「平成21年度科学技術の振興に関する年次報告」骨子案というのがあるんですね。これは非公表となっているんですが、もう4年前のものであります。今なお非公開にしている、その理由は何でしょうか。
○倉持政府参考人(内閣府政策統括官) 御説明申し上げます。
今委員御指摘の科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合でございますけれども、これは、総合科学技術会議のもとの本会議あるいは専門調査会とはちょっと異なりまして、科学技術政策担当大臣、担当副大臣あるいは担当の大臣政務官と総合科学技術会議の有識者議員、これは現在のところ、常勤の方が二名、非常勤の方が五名、それに日本学術会議の会長がいらっしゃいます。そういった方が忌憚なく意見交換を行うための、いわゆる打ち合わせの場として活用されているものでございます。
この会合は原則として公開で行われておりますけれども、例えば、審査、検討過程にある個別具体の研究プログラムであるとか個人名を扱う場合、あるいは非公開を前提に自由闊達な議論をする必要があるという場合などは、座長が出席者の同意を得た場合は非公開とすることができるというものでございます。
今具体的にお尋ねの平成22年3月4日の件でございますけれども、この会合につきましても、会議の冒頭に座長が議題に応じて非公開の可否について出席者の同意を得て決定する、そういったプロセスでございます。
委員御指摘の議題、まさに、白書といいますか年次報告についての議論が行われたと思いますけれども、議論を非公開とすることを前提に自由闊達な意見交換を行っていただいたものであるというふうに認識しております。
○佐々木(憲)委員 原則公開としていながらこれだけ非公開が多いということは、これは原則公開の意味がないわけですよ。忌憚なくと言いますけれども、当たり前ですよ、みんな忌憚なく議論するのは。それがほとんど公開されていますよ。経済財政諮問会議にしろほかの会議にしろ、相当忌憚のない意見を私は議事録で見ておりますけれども。そういうものを何で非公開にするのか。
例えば、平成22年2月4日の議事要旨は、「最先端研究開発支援プログラム(1千億円、30課題)について」というのがあるんですね、これも非公開。1千億円の原資は国民の税金ですからね。国民の税金を使うのに非公開だと。
それから、平成23年2月24日の議事概要を見ますと、「医療イノベーション会議」は非公表の理由も書いていないんですよ。
平成24年4月12日の議事概要に「労働契約法の改正について」というのがあるんですけれども、これは「有識者議員の率直な意見交換の場とするため非公開」と書いてある。率直な意見交換を行うとなぜ非公開になるのか、理由がよくわからない。これは、若い研究者の任期つき労働契約の導入を議論したから非公開にしたということなんでしょうか。
○倉持政府参考人 委員お尋ねの平成22年2月4日の件でございますけれども、ここでは、御指摘のように、最先端研究開発支援プログラム、いわゆるFIRSTと申しますけれども、これの研究費をその前に決められた30課題にどのように配分するかについての議論が行われていると承知しております。
30課題の配分額の検討に当たりましては、各課題の研究内容について専門的な立場から精査、審査を行っておりまして、その過程においては、各課題の研究開発内容の詳細であるとか知的財産に係る内容、個人情報等も含むため、非公開としたものでございます。
なお、その30課題の配分額につきましては、同年3月9日に開催されました89回の総合科学技術会議の本会議において決定され、それは議事要旨とともに公開されているところでございます。
それから、最近、非公開が多いという御指摘がございました。
それにつきましては、今、特に総合科学技術会議の本会議で非常に闊達な御議論をいただくために、有識者の間で少し意見をまとめて、ペーパーを用意して御議論いただくというスタイルで本会議の運営をしておりまして、その準備として委員の間での御議論をしていただいているということがございまして、ちょっと最近、非公開の部分がふえている事情にございます。
○佐々木(憲)委員 有識者会議はペーパーで出すのは当たり前で、そのペーパーもほかの会議ではみんな公開されていますよね。そんなのは理由になりませんよ、公開しない理由に。
去年、戦略特区の議論をこの内閣委員会でさせていただきましたが、その際に、新藤大臣や八田座長がワーキンググループに提出したレジュメが非公開になっているという問題を私が取り上げたところ、その後、公開になりました。その公開された資料を見ますと、非公開にすべきようなものではない。何ということはないものを非公開にしているんですよ。これは何の支障もないんです、公開しても。
しかも、4年も前のものをいつまでも非公開というのは、余りにも異様だと思います。
こういうものはみんな、正しいかどうかは、やはり、こういうやり方について、公開を原則とするというなら、もっと公開をふやさないと。
菅官房長官、今、一連の議論をお聞きいただいて、公開を原則というのならできるだけ公開する、何年もたっているものは公開するということをやったらどうですか。
○菅国務大臣 今政府委員から答弁がありましたけれども、準備段階ということであります。
ただ、全体の会合で決定したものについては全て公開をしておりますので、そこの決定の際の、全体会議の中の決定ということで私はいいのではないかなというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 非常にかたい答弁でありまして、こんなのは、できるだけ柔軟にするというのが基本的な答弁であるべきだと私は思いますよ。
だって、こういうものを非公開にして、最終的に決まったことだけはお知らせしますというのでは、どういう議論があってそうなったのかという経緯がよくわからない。我々も議員として国会で議論する場合も、経緯がわからないと議論にもならないということになってしまいますから、これはぜひ公開ということ。
もちろん、個人情報というのは、いろいろな支障がありますので、そういうのは伏せるというのはわかります。しかし、きちっと公開するというのを原則にしている以上、公開を原則にしていただきたいというふうに思います。
次に、予算配分の問題ですけれども、一般会計予算の科学技術振興費の4%相当分から捻出されるということで、科学技術イノベーション創造推進費500億円がつくられて、そのうち175億円を推進本部が調整費として配分する、こういう仕組みになっているわけであります。
配分の最終権限、これは総理大臣にあるという理解でよろしいですか。
○菅国務大臣 今委員からの質問の中で、この175億円でありますけれども、医療分野の研究開発に関し、各省をまたいで機動的そして効率的に予算配分をすることを目的とした調整費として活用することといたしておりまして、その配分については、研究現場の状況、ニーズを踏まえ、最終的には医療戦略推進本部で決定をいたしますので、これは総理大臣であります。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、科学技術イノベーション創造推進費の原資である科学技術振興費からの捻出割合、4%とされていましたけれども、例えば、これを6%にするとか7%とか、そういうことも今後は可能になると思います。
そうなりますと、この幅広いボトムアップの部分に配分されている科学研究費補助金、いわゆる科研費、この比重は相対的に低下するということになるんじゃありませんか。
○倉持政府参考人 科学技術イノベーション創造推進費のお尋ねでございます。
これは、今回、総合科学技術会議の方で、司令塔機能強化という観点から、特に、やはりイノベーションを創出していく上で、各府省を横断して基礎から実用に向けてそれを加速していくために、府省横断型のプログラムを推進するために予算を計上したということでございます。
その中で、26年度に当たりましては、それまで内閣府に予算を持っておりませんでしたので、各府省に協力を求めまして、過去の調整費の実績等を踏まえまして、科学技術振興費の4%相当分を御協力いただいて、今回、内閣府に計上したということでございます。
今後、どういうふうにこのプログラムをやっていくかということにつきましては、改めて総合科学技術会議の方で検討してまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 全体の予算がどんどん広がっていくというのであれば、全体として重点化しても、ほかの裾野のところも上がっていくというふうになると思いますけれども、どうも今の予算の組み方ということを考えますと、一定の枠がある中で重点化しますと、ほかの部分が裾野がどんどん低くなってしまって、特定分野だけが重点化されてしまう、こういう危険性があるのではないかという危惧は、学者、研究者の間でかなり広がっております。
例えば、昨年6月に、七つの学会が連名で緊急声明を出しているんです。それを見ますと、日本生化学会会長、日本分子生物学会理事長、日本免疫学会理事長、日本癌学会理事長、日本神経科学学会会長、日本細胞生物学会会長、日本ウイルス学会理事長と、そうそうたるメンバーがずらっと名前を並べて、こういうふうに言っています。
「多くの優れた科学技術は、知的好奇心にはじまる研究成果から生まれたものであり、長期的に次々と産業化にむすびつくイノベーションを生み出すためには、異分野融合研究をふくめた裾野が広い基礎研究体制を維持することが必須である。」「我々は、実用化を指向した一貫性・計画性のあるトップダウン型科学技術推進戦略のみが一人歩きすると、我が国の科学の発展は危機的状況を迎えかねないと危惧するものである。」
大変、こういう分野でトップクラスの方々が危惧の念をあらわしておられるわけであります。
こういう危険性に陥るということは考えられませんか。
○菅国務大臣 科学者、研究者、そうした皆さんの要望も踏まえた上で、ここはしっかり対応させていただいているということであります。
○佐々木(憲)委員 余り具体的な御答弁じゃないんですけれども。
昨年6月11日、これは27団体が参加している生物科学学会連合、これも緊急声明を出していまして、同様の見解を表明しております。
時間がありませんのでもう詳しくは御紹介できませんけれども、これはやはり、今議論をさせていただいて、業界関係者が直接この中に入って、そこで配分を決めていく、研究についてもそこが決めていく、こういうふうになっていきますと、特定の業界だけにシフトしていって、かなり広い裾野の研究が枯れてしまうのではないか。
それは、全体として言うと、長期的には産業の発展、医薬医療、そういう分野の発展にマイナスになるのではないか、こういう危険が当事者の研究者から指摘されているわけです。したがって、この点は非常に重要な指摘が広範にされている状況ですので、私どもは今後とも議論を深めてまいりたいというふうに思っております。
以上で終わります。