2014年02月28日 第186回 通常国会 予算委員会<総括質疑> 【777】 - 質問
政党助成金と企業・団体献金の“二重取り”を批判
2014年2月28日、佐々木憲昭議員は予算委員会の総括質疑で、政党助成金と企業・団体献金の問題を取り上げました。
政党助成金は、毎年320億円の税金を政党に配分する仕組み。佐々木議員は、国民に消費税増税を押し付ける一方で税金を山分けすることは許されないとして政党助成金の廃止を求めました。日本共産党は、思想・信条の自由を侵すことになると受け取っていません。
佐々木議員は、政党とは政治理念・政策をかかげ国民の支持のもとで存在する自律的な組織であり、運営資金は国民個人の浄財でまかなうものだと主張。自民党がこの19年間で約2716億円(全体の交付額は5996億円)もの政党助成金を受け取り、依存率が64%に達している事実を示し、「党の財政を税金でまかなうことはあってはならない」と指摘しました。
20年前に「政治改革」を推進した側は企業・団体献金を禁止するかわりに政党助成金を導入するとしていました。ところが、自民党は政治資金団体や7000を超える党支部を通し、2012年に77億円もの企業・団体献金を受け取っています。
佐々木議員は、自民党が13年参院選前、ゼネコン業界団体に巨大公共事業を進めるなどとして献金要請していた問題にふれ、「カネで政治を売る最悪の利権政治、利益誘導」「政党助成金を受けたうえ企業・団体献金も受け取る『二重取り』」と批判しました。
安倍晋三総理大臣は「国民に民主主義のコスト(費用)を担ってもらう」などと政党助成金を正当化し、「企業から献金を受け取ることは法律上問題ない」と開き直りました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず初めに、総理に基本認識をお聞きしたいと思います。そもそも政党とは何かという点であります。
政党とは、政治理念、政策で一致する個々人が自発的意思で集まって結成する自立的な組織であると思います。その上で、党の政策、理念を掲げて国民に支持を訴え、国民の支持のもとで存立する、そういうものだと思うんですね。
したがって、政党の運営のための資金、政治資金というのは、国民に依存し、依拠し、国民の浄財で賄うというのが基本でございます。
国民の側から見ますと、政党を結成したり、加わったり、または支持する政党に政治資金をカンパする、これは結社の自由、政治参加の自由であり、主権者としての国民の権利だと思うんです。
総理はどのようにお考えですか。
○安倍内閣総理大臣 政党助成制度については……(佐々木(憲)委員「助成制度じゃない、政党とは何か」と呼ぶ)政党とは何かですか。
政党とは何かにつきましては、今、佐々木委員が冒頭御説明になったように、まさに、政治を行う上において、考え方、政策を同じにする人々が相集い、そして政策を実現していくための結社であろう、このように思います。
○佐々木(憲)委員 ことしは、政治改革四法が1994年に成立をしてちょうど20年になります。政治改革の中心は、当時、小選挙区制の導入と政党助成金制度の創設にありました。
政党助成金について言いますと、毎年約320億円の税金を政党に配分する、こういう仕組みになっております。
この政党助成金制度の導入をめぐりまして、そもそも政党が税金に依存していいのか、こういう議論が当時あったわけです。税金だから過度に依存しないように上限を決めようということで、細川総理と河野自民党総裁の合意で、上限は4割にしようという合意がありました。
しかし、法制化するときに、三分の二ということに後退をさせまして、95年12月には、この歯どめも削除して、政党が幾ら税金に依存しようと構わない、こういうことになってしまったわけです。
総理、このような経緯、御存じでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 経緯については私は余り詳しく承知をしておりませんが、基本的に、我が党においても、さまざまな議論が行われる中において、政党助成金にどれぐらい頼るべきかどうかということは議論になっていたことは承知をしております。
○佐々木(憲)委員 国民の自発的な浄財に依拠して自立すべき政党が党の財政を税金で賄う、これは本来の政党のあり方としてはあってはならないと私は思うんです。
確認をしたいんですけれども、1995年に政党助成金の制度が導入されてから2013年末までに政党助成金が幾ら交付されたか、総額をお答えいただきたいと思います。
○新藤総務大臣 政党助成制度が創設された平成7年、1995年分から、平成25年、2013年分までの政党交付金の交付総額は、5996億円余であります。
○佐々木(憲)委員 6千億円、相当な金額になるわけですね。これを各政党に配分した。我々はこれを受け取っておりませんし、この制度に反対をしてまいりました。
自民党は累計で幾ら受け取っているか、数字はわかりますか。
○新藤国務大臣 うち、自由民主党への交付総額は、2716億円余であります。
○佐々木(憲)委員 ということは、全体の45%を占めている。半分近いのが自民党であります。
これまで、国民の血税である約6千億円という巨額の税金を、政党では33の政党、これが配分をして、山分けした。しかも、この19年の間に消えていった政党が25もあるわけですね。
我々は政党助成金を受け取っておりません。それは、支持する政党を持たない国民に一律に献金を強制するようなものでありまして、思想、信条の自由を侵すものだからであります。
そこで、お聞きしますけれども、自民党の収入に占める政党助成金は何%なのか、最近、12年の数字を教えていただきたいと思います。
○新藤国務大臣 政治資金規正法に基づく平成24年、2012年分の政治資金収支報告書によれば、自由民主党本部であります、自由民主党の収入総額158億円余に占める政党交付金の割合は、約64%となっております。
ちなみに、民主党が84%、社会民主党が42%、みんなの党が79%でございます。
○佐々木(憲)委員 自民党の場合は64%。ほかの党も今説明がありましたけれども、庶民から浄財を集めるという努力をせずに税金で党財政を賄うというのは、これは庶民の感覚からいうと理解できない。庶民の痛みがわからなくなってくるんじゃないかと私は思うんですね。
政府は、4月から消費税率を8%に増税しようとしているわけです。国民に増税を押しつけて、税金の山分けである政党助成金を懐に入れる、こういうやり方をして、総理自身は胸が痛みませんか。
○安倍内閣総理大臣 政党助成制度は、政治改革の議論が行われたときに、さまざまな意見を集約する形でこの制度ができたわけでありますが、政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくことは、いわば民主主義のコストを国民の皆様全体に負担をしていただくという制度であるわけでありまして、政党がその運営においてどの程度政党交付金に依存するかの選択については、政党の自主性に委ねるのが適当だろうというふうに考えているわけでございますが、まさに我々は、国民の皆様からいただいた大切なこの政党交付金を、正しい、法にのっとった目的のために使っていくという大きな義務を背負っているものと思います。
○佐々木(憲)委員 余り胸が痛むような話ではなかったと思いますね、今のお話では。
20年前に、リクルート疑獄など、金権腐敗政治の横行に国民の批判が高まったことがありました。そのときに、企業献金は禁止しよう、こういう世論が高まりまして、これに対して、自民党など政治改革を進めた方々は、企業・団体献金は禁止する、そのかわりに政党助成金を導入する、こういう話をしていたわけです。
ところが、政党助成金は導入したんだけれども、企業・団体献金の方は、政治家個人に対してだけ禁止で、事実上、存続なんですよ。廃止すると言っていた企業・団体献金は一体どうなったのか。
自民党は、企業・団体献金を幾ら受け取っているんでしょうか。総務省と都道府県選挙管理委員会に届けられた、自民党本部と支部、党の政治資金団体国民政治協会について、それぞれ額をお答えいただきたいと思います。
○新藤国務大臣 法人その他の団体からの寄附金額について、総務大臣届け出分及び都道府県選挙管理委員会届け出分を合計したところ、平成24年分については、自由民主党本部と支部に63億903万円、国民政治協会に13億7172万円の寄附があったところでございます。
○佐々木(憲)委員 結局、合わせますと76・8億円ということになるわけですね。77億円であります。
やめると言っていた企業・団体献金は温存されて、しかも、このほかにも、政治団体からの寄附、あるいは企業、団体によるパーティー券の購入、こういうのはここから除かれているわけです。これを入れますと膨大な数になりますよ。
政党と、党の財布である政治資金団体が抜け穴になっているわけですよ。政党には党支部も含まれるわけですから、今度は政治家が党支部をたくさんつくる、そこに企業・団体献金を受け付ける、こういうやり方をするようになったわけですね。党支部は政治家個人の財布のようになっているわけです。
ところで、安倍総理、自民党には支部が今幾つありますか。わかりますか。
○安倍内閣総理大臣 通告をいただいておりませんので、そこまでは把握をしておりません。
○佐々木(憲)委員 総裁だからそのぐらいはぱっと出ると思ったんですが、まことに残念であります。
日本の全ての政党の支部の総計は、9114あるんですよ。その中で、自民党は7356。圧倒的に自民党の支部が多いんです。ほかの党のことは言いませんけれども、ほかの党は大体百単位なんですね。これだけの支部が企業・団体献金を受け付ける、こういうふうになりますと、大変な規模になるわけであります。
企業献金、団体献金というのは、私は、個人の浄財とは性格が違うと思うんですよ。主権者は国民ですから、その国民が支持する政党に政治献金を行う、これは自由であります。個人献金は政治参加の一つの手段であり、国民の権利でもある。しかし、企業の場合は利益を求めていく存在でございます。主権者でもないし、選挙権ももちろん持っていないですね。その企業が政党や政治家に金を出して政治に影響を与える、それで自分の利益を図るということになりますと、主権者である国民の基本的権利を侵害することになる。だから、企業・団体献金の禁止が求められているわけでございます。
総理に聞きますけれども、政党助成金も受け取る、企業・団体献金も受け取る、これは最初の出だしからいってもちょっと逸脱していますけれども、二重取りというような状況ではありませんか。どういう感じをお持ちですか。
○安倍内閣総理大臣 民主主義にかかるコストをどのように分け合っていただくかという中において、20年ちょっと前の政治改革の際に、いわばさまざまな問題が起こった、これはやはり国民の皆様にもこの民主主義のコストを税金という形で担っていただいて、そうした問題が起こる、そういう状況をなくしていこうということだったんだろう、このように思います。
一方、全て税金に頼っていいのかどうかという議論も、先ほど申し上げましたように、あったわけでございまして、我が党は、その中におきまして、政党助成金を60数%、そしてそれ以外は、まさに我々の政策、行動に共鳴していただいている皆様から浄財をいただいているということでございまして、つまり、我々の政策に共鳴していただく方が、献金として、企業、団体も含めて、資金を提供していただいている。これはある意味、民主主義の一つの姿の一部ではないか、このように思います。
○佐々木(憲)委員 民主主義の姿とは思いませんね。
個人の献金というのは、これは政治参加の一つの形態でありますけれども、企業の存在というのは個人とは違いますから、その財政力、資金力で政治に影響を与えるということになりますと、国民主権そのものが侵害される、こういうことになるわけであります。だから、我々は、労働組合の団体献金も禁止という立場であります。
国民には消費税増税を行って、また税金から政党助成金をもらうわけだから、増税を押しつけて、上がった税金の一部を懐に入れるようなものですね。その一方で、今度は法人税の減税をやるわけでしょう。だから、減税を受ける大企業から政治献金を受け取って、またその税金を還流させる。二重の還流だと言わざるを得ない。
昨年の参議院選挙前に、自民党と国民政治協会が、ゼネコンの業界団体であります日本建設業連合会、日建連に二つの文書を出しております。自民党の文書では、巨大公共事業を含む安倍内閣の経済政策、アベノミクス、これを説明している。それから、国民政治協会の文書では、自民党は強靱な国土の建設へと全力で立ち向かっている、こう強調しまして、その政策遂行を支援するためということで、4億7100万円もの献金を要請していたわけですね。これは、政治を金で売るような、最悪の利権政治だと私は思いますよ。
政権政党に復帰したからこういうことをやるのか。こういう利益誘導をやっているということは、国民に対して私は説明がつかないと思いますけれども、総理はどのようにお考えですか。
○安倍内閣総理大臣 一般論として申し上げれば、国民政治協会は自民党の政治資金団体でありますが、企業から献金を受けることは法律的に何ら問題がないわけでありまして、その手続も法律にのっとって適切に処理されているというふうに承知をしております。
また、この協会からの寄附の要請は、公共事業予算と何ら連動するものではございません。一般的な政治活動に対する支援要請であるというふうに承知をしております。
○佐々木(憲)委員 こういう政策をやります、国土強靱政策をやって公共事業をどんどんやりますよ、だからぜひ支援をというような話ですからね。そういう文書を出していながら今のような説明は、誰も納得できないと思いますね。これはまさに利益誘導のようなものであります。
20年前の政治改革で小選挙区制が導入されました。この選挙制度は、死に票が大変多くて、得票率と議席に著しい乖離がある、民意が反映されない、そういう性格のものです。
自民党は、今回、勝った勝ったと言っていますけれども、4割の得票で8割の議席というような、虚構の多数ですよ。だから、民意から若干上乗せされたそういう状況を、若干じゃない、かなり上乗せされていますよね、その水増しされた多数を前提にして、今度は、政党助成金もそれを基数にして配分するわけであります。だから、ますます自民党に多額の税金が入ることになるわけですよ。
この間、政治改革を進めてきた方々が、政治の劣化ですとかあるいは政党の堕落、こういうことを指摘するようになっております。政党助成金というのは本部に交付されます。それから各支部に配分されるんですね。配分は、本部、特にその中で中枢を占める方が全権を握ってやるわけですね。それと、小選挙区の公認権、これを政党のトップが握る、こういうわけでありますから、それをめぐる抗争もいろいろ指摘されております。
20年たちまして、その最初の改革をやった方々が今反省の言葉を述べておられるわけです。政党助成金と小選挙区制の害悪というのは、もういよいよ明確だと思うんですね。
私どもは、政党助成金も企業・団体献金も受け取っておりません。党の財政というのは、やはり個人個人の浄財によって支えられるべきものである、そういうことで、政党助成金も廃止し、そして企業・団体献金は禁止する、こういう立場で私どもはやってまいりました。自立した結社としての政党、本来のあり方というのはそういうものではないかというふうに思っております。
以上の見解を述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。