2014年02月04日 第186回 通常国会 議院運営委員会 【770】 - 質問
人事官候補者の所信聴取・質疑
2014年2月4日、議運委員会が開かれ、政府が提案した人事官候補者の所信聴取・質疑がおこなわれ、佐々木憲昭議員が質問ました。
人事官候補者の立花宏氏は、長いあいだ日本経団連の事務局で働き、規制改革、国家公務員制度改革を含む行政改革を担当し、専務理事や参与を勤めました。その後、内閣官房参与・国家公務員制度改革推進本部事務局長に就任(2008年7月〜2009年12月)しています。
人事院の位置づけについてだが、最も重要なのは、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割です。
憲法28条が保障する労働基本権、すなわち、団結権、団体交渉権、争議権は、本来、公務員にも保障されるべきですが、現在の国家公務員法では、公務員の地位の特殊性を理由に、それを制約しています。そのことから、人事院が代償機能を求められているのです。
人事院は、政府から独立して、中立の立場で、国家公務員の身分、任免、服務、さらに、賃金や労働時間などの労働条件を定める役割を担っています。同時に、人事院は、中央人事についての準司法的権限もあわせ持ち、公務員の中立、公正、公平を確保する役割を担っています。
したがって、こうした任務の重要性を自覚して、政府から独立し、中立の立場で職務を遂行しなければなりません。
佐々木議員が、その認識を質したところ、それには同意しました。
しかし、立花氏は、これまで民間企業の立場から、経団連で規制改革、国家公務員制度改革を含む行政改革の問題を担当してきました。その後は、政府の立場で、公務員制度改革を推進する立場にありました。
人事官は、中立、独立の立場から独自の判断をしなければならず、そのときどきの政府の意向によって、簡単に左右されるべきではありません。
佐々木議員が、「これまでの立場と一線を画し、中立の立場に立つ決意があるか」どうかときいたのですが、立花氏から「政府からの独立」という言葉は聞かれませんでした。
最後にきいたのは、公務員制度改革で一番大事な、労働基本権の回復問題です。ILOは、日本が進めている公務員制度改革にかかわって、監獄職員の団結権、一般の公務員についての争議権、労働協約締結権を保障するなど、国際労働基準に従った改革を進めることを求める勧告を、これまで繰り返し行っています。
「この勧告を、どのように受けとめているか」ときいたのですが、「労働基本権制約の代償機能があればよいという見解もある」と答え、ILO勧告を正面から受け止めるという姿勢は見られませんでした。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
最初に、人事院の位置づけをどう捉えるかという点でありますが、一番大事なのは、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割であります。
憲法28条が保障する労働基本権、すなわち、団結権、団体交渉権、争議権というのは本来公務員にも保障されるべきでありますが、現在の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性を理由に、それを制約しております。そのことから、人事院が代償機能を求められているわけです。
人事院は、政府から独立して、中立の立場で、国家公務員の身分、任免、服務、さらに、賃金や労働時間などの労働条件を定める、そういう役割を担っているわけです。
同時に、人事院は、中央人事についての準司法的権限もあわせ持っておって、公務員の中立、公正、公平を確保する役割を担っております。
したがって、こうした任務の重要性を自覚して、政府から独立し、中立の立場で職務を遂行しなければならないと思うんです。
まず、その姿勢を伺いたいと思います。
○立花参考人(人事官候補者(株式会社情報通信総合研究所特別研究員・元社団法人日本経済団体連合会専務理事)) 今佐々木先生がおっしゃった点は、私、全くそのとおりだろうと思っています。
繰り返しになりますけれども、人事院の機能、役割は、国家の基盤を支える公務員人事行政について、いかにして公正さを確保するか。それと、もう一つは、今先生が繰り返し強調されました、労働基本権制約の代償措置としての機能。もちろんそれ以外にもございますけれども、これが二大眼目で、これをきちっと果たすことが人事官としての責務かなというふうに私は受けとめております。
○佐々木(憲)委員 その場合大事なことは、政府からの中立、独立であります。
立花さんは、これまで経団連で、規制改革、国家公務員制度改革を含む行政改革の問題を担当してこられたようでありまして、民間企業の立場からの対応だと思うんです。
その後、2008年7月から2009年12月まで、内閣官房参与、国家公務員制度改革推進本部事務局長という役割を果たしてこられたわけです。政府の立場で公務員制度改革をいわば推進する立場にあったと言っていいと思うんです。
人事官は、独立して、独自の判断をしなければなりません。その時々の政府の意向によって簡単に左右されてはならないというふうに思うわけです。
したがって、立花さんは、これまでの立場と一線を画して、中立の立場に立つ、こういう決意があるのかどうか、その点を確認したいと思います。
○立花参考人 非常に大事な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
今、先生、ちょっと私の経歴を御紹介いただきましたが、私は、国家公務員制度改革推進本部の事務局長に内閣から任命されたときに、私のよりどころは一体何なんだと、いろいろ、各省から事務局に出向された方も、それから民間から来た方々もおられて、その中で私は一体何をよりどころに仕事をしていくべきなのかということを考えたときに、私は、一つは、国会の御意思である国家公務員制度改革基本法、この基本法にできるだけ忠実に、これを御旗に掲げて戦っていくしかないかなという点、それから、その当時、内閣のもとでの仕事でしたので、担当大臣でありました渡辺喜美さんなり、あるいは茂木大臣なり、あるいは甘利明大臣なり、政権交代では仙谷由人大臣でしたけれども、そういった大臣のもとで、大臣に、事務局が独走しないように、きちっと事前に御報告申し上げて御指示いただくということで、私としては、わきまえてきたつもりです。
今度、人事院ということで、ある意味では攻守ところを変えたという先生の御指摘かもしれませんけれども、そういうふうになったとしても、私は、そこでの職責といいましょうか、まさに先生がおっしゃった二大眼目を実現するために、法律に基づいて身分保障もされている非常に高いポストということですので、それなりの、そういう高い身分保障に支えられただけに、きちっと政府に対して言うべき点は申し上げていく。そういう精神を失ったら、自分の存在価値はないかなというように考えております。
○佐々木(憲)委員 公務員制度改革で一番大事なのは労働基本権の回復の問題だと思っておりますが、ILOが、日本が進めている公務員制度改革にかかわって、監獄職員の団結権、一般の公務員についての争議権、労働協約締結権を保障するなど、国際労働基準に従った改革を進めることを求めております。
これをどのように受けとめておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
○立花参考人 先生御案内のとおり、基本法の12条に、与野党修正合意して、労働基本権の問題について、政府としてきちっと検討した上で結論を出して、全体的な考え方を国民に示して、そのもとで、国民の理解を得て措置するということになっていますので、基本的にはそういうことだろうと。私は、基本的な考え方は、今も、それで変わりありません。
ただ、私の漏れ聞くところでは、ILOも、国の仕事に直接従事している者については、きちっと代償措置が講じられているのであれば、基本権を制約することも、それは別に法律違反にならないと。そういう解釈もあるというふうに聞いていますので、基本的には、私も、それだけに、なおさら、労働基本権制約の代償措置としての機能の発揮というのは非常に大事だなというふうに私自身受けとめております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。