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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), 金融(銀行・保険・証券) (予算案, 社会保障・税一体改革, 「成長戦略」)

2013年02月05日 第183回 通常国会 本会議 【707】 - 質問

「庶民の懐温める政策に転換すべき」と代表質問で求める

 2013年2月5日、佐々木憲昭議員は本会議で、2012年度補正予算案に関する代表質問にたち、「庶民のふところを温める政策に転換すべきだ。家計消費が増えれば、内需が拡大しデフレ克服への道が開かれる」とのべ、政策の転換を求めました。
 佐々木議員は「デフレの原因は家計消費が落ち込んだことにある」とのべ、10年間で雇用者所得が22兆円も減少したことを指摘。その背景に政府が労働法制の規制緩和で非正規雇用を増やしたことや、小泉・安倍内閣が社会保障連続改悪で国民負担を7年間で13兆円増加させたことをあげ、「今日のデフレをつくった自らの責任を自覚し、これまでの政策を根本的に改めるべきだ」と主張しました。
 佐々木議員は、安倍政権が2%の物価上昇目標の実現を日銀に迫っていることにふれ、「デフレ脱却の責任を日銀に押し付け、インフレをあおるのは本末転倒だ」と批判。国民の所得を奪ったままインフレが進めばどうなるかと不安が広がっており、雇用や賃金の改善こそ行うべきだと求めました。
 佐々木議員は、「公共事業の拡大で増発した大量の建設国債を日銀に引き受けさせるつもりか」と追及。大企業向けの「成長力強化」策や大型公共事業で国債発行を膨らませる一方、社会保障のいっそうの削減を進めることを批判し、「いま必要なのは、消費税増税の中止など国民の所得を奪うあらゆる政策をただちにとりやめること。財界・大企業のリストラ賃下げを許さず、内部留保を労働者・下請け企業に還元させることです」とのべました。
 安倍晋三総理は、不況の原因について「成長期待の低下やデフレ予想の固定化」などと国民の気持ちのせいにし、反省のない姿勢を示しました。雇用や賃金の改善については、「成長戦略を実行する」として、大企業を支援すればそのうち雇用や賃金につながっていくという破綻した路線に固執しました。

議事録

○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、財政演説に対し質問します。(拍手)
 安倍総理は、所信表明で、経済の再生を最大かつ喫緊の課題と位置づけました。それを達成するため、2%の物価上昇目標の実現を日銀に迫り、大企業に対して手厚い財政支援を行い、公共事業を大規模に展開しようとしております。
 アベノミクスなどと持ち上げる議論もありますが、それで本当に暮らしがよくなるのか、国民の中に不安が広がっております。
 具体的にお聞きをいたします。
 第一は、デフレについてであります。
 安倍総理は、デフレからの脱却を掲げていますが、デフレとは何でしょう。政府は、消費者物価が連続して下がることと定義していますが、なぜ物価が下がり続けたのでしょうか。
 最大の要因は、内需の落ち込み、とりわけ、GDPの6割を占める家計消費が落ち込んだことにあります。総理はどのように認識しているでしょうか。
 なぜそうなったのか。
 一つは、賃金が大幅に低下したからです。この10年間で、雇用者所得は22兆円も減りました。
 政府が労働法制の規制緩和で非正規雇用をふやしたこと、多国籍企業、大企業の海外進出で産業の空洞化をもたらしたことが、全体として、失業、雇用不安、低賃金を広げたのであります。
 他方で、資本金10億円以上の大企業には、260兆円もの内部留保がため込まれました。このゆがみこそ、正すべきではありませんか。
 それだけではありません。社会保障の連続改悪が国民の所得を奪いました。小泉、安倍内閣の7年間で、国民負担を13兆円もふやしたのであります。総理にその認識はありますか。
 その上、昨年の民自公三党合意による税・社会保障一体改革によって、今後、消費税の大増税、医療、年金、介護などで、合わせて20兆円もの国民負担をふやそうとしているのであります。
 国家公務員給与の大幅引き下げが、地方公務員ばかりか民間企業の賃下げのてことなり、さらに生活保護までカットしようとしています。
 こうなれば、可処分所得を落ち込ませ、デフレ不況を一層加速させることになるのは明らかではありませんか。
 総理は、このデフレをつくったみずからの責任を自覚し、これまでの政策を根本的に改めるべきであります。答弁を求めます。
 第二は、インフレターゲットについてです。
 安倍総理は、経済財政諮問会議で、2%という目標に向けて大胆な金融緩和を日銀は責任を持ってやってくださいと強い調子で求め、諮問会議で毎回チェックするなどと言っているようでありますが、デフレ脱却の責任を日銀に押しつけ、インフレをあおるのは、本末転倒ではありませんか。
 インフレーションとは、通貨価値の下落に伴う名目的物価上昇であります。国民の所得を奪ったままでインフレが進めば、どうなるでしょうか。
 日銀の生活意識に関するアンケート調査によると、8割の国民が、物価が上がることに否定的であります。雇用や賃金の改善なしに物価だけが上がることに不安を覚えるからであります。総理は、この声をどう受けとめますか。
 インフレターゲットはどの国でもやっていると言いますが、全く違います。他の国では、激しいインフレを抑えるために物価安定目標を定めたことはあっても、デフレ脱却のためにインフレターゲットを掲げた国は一つもないのではありませんか。財務大臣の答弁を求めます。
 第三は、財政出動との関係です。
 安倍総理は、財源がないなら輪転機を回して日銀券を印刷すればよいと発言しましたが、とんでもないことであります。
 公共事業の拡大で増発した大量の建設国債を、今後、日銀に直接引き受けさせるつもりでしょうか。
 歴史を振り返れば、戦争中、政府が日銀を支配下に置いて、軍備調達の資金を無制限に供給させた深刻な前例があります。その結果、激しいインフレを引き起こし、国民生活をどん底に突き落としました。その轍を踏んではなりません。
 安倍内閣は、補正予算と来年度予算を合わせて15カ月予算と位置づけており、補正予算での国債の追加発行は5・2兆円に上ります。年度途中における国債の追加発行は3年ぶりであります。
 今年度の新規国債発行額は、実に50兆円を上回ることになります。その規模は、大企業向けの成長力強化策や大型公共事業によって膨らんでおります。
 補正予算に自衛隊の正面装備として605億円を盛り込んだことも、異様であります。
 その一方で、来年度予算では、財政規律を重視するという口実で、社会保障の一層の削減を進めようとしているのではありませんか。
 誰のための、何のための15カ月予算なのでしょうか。
 デフレからの脱却というなら、庶民の懐を暖める政策に転換しなければなりません。家計消費がふえれば、内需が拡大し、デフレ克服への道も開かれるのであります。
 今必要なのは、消費税増税の中止など、国民の所得を奪うあらゆる政策を直ちに取りやめること、財界、大企業の身勝手なリストラ、賃下げを許さず、内部留保を労働者、下請企業に還元し、不当なため込みを許さない政治を実現することであります。
 日本共産党は、そのために全力を挙げることを表明し、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 佐々木憲昭議員の質問にお答えいたします。
 デフレの定義とその要因についてお尋ねがございました。
 デフレとは、持続的な物価下落と定義しております。
 我が国経済は、長期にわたり、需要が弱い中で、企業などによる、日本経済の将来に対する成長期待の低下やデフレ予想の固定化もあって、デフレが継続してきたと考えております。
 社会保障・税一体改革等の改革とデフレについてお尋ねがありました。
 社会保障・税一体改革は、少子高齢化が進展する中で、給付と負担のバランスを図ろうとするものであり、持続可能な社会保障制度の構築のために必要な改革であります。
 国家公務員の給与削減については、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処するものであり、また、地方公務員の給与削減により、防災・減災事業や地域経済の活性化に対応することとしております。
 今回の生活扶助基準の見直しについては、生活保護を受給されていない方との均衡を考慮しつつ、社会保障審議会における検証結果や物価の変動を勘案し、適正化を図ることとしたものであります。
 これらの必要な施策を進めるとともに、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢で、長引くデフレから脱却して経済を再生させ、雇用や所得の拡大につなげることを目指してまいります。
 デフレ脱却の政策についてお尋ねがありました。
 これまでの延長線上にある対応では、デフレから抜け出すことはできないと考えております。このため、先ほど申し上げたとおり、金融政策、財政政策、成長戦略の三本の矢で、経済を再生させ、雇用や所得の拡大につなげることを目指してまいります。
 特に、金融政策については、共同声明にあるように、日本銀行が、みずから設定した2%の物価安定目標について、責任を持ってできるだけ早期に実現することを期待しております。
 デフレ脱却の責任についてお尋ねがありました。
 長引くデフレからの脱却に向け、大胆な金融政策が必要であると考えており、日本銀行においては、共同声明にあるように、2%の物価安定目標の実現を目指して、責任を持って大胆な金融緩和を推進することを期待しております。
 国民所得の増加を伴わないインフレ、物価上昇に対する国民の御不安についてお尋ねがありました。
 日本銀行による大胆な金融緩和に加えて、政府としても、機動的なマクロ経済政策運営を行うとともに、競争力、成長力の強化に向けた成長戦略を実行することとしております。
 また、企業の収益力向上の成果が適切に労働者にも分配されることが重要であり、このため、平成25年度税制改正において、企業による給与等支給の増加を促進する税制措置を創設したところであります。
 こうした取り組みによって、雇用や所得の拡大を伴う景気回復を目指してまいります。
 建設国債の日本銀行による直接引き受けについてのお尋ねがありました。
 日本銀行による国債の直接引き受けについては、財政規律が失われるものであり、財政法で禁止されており、そうしたことを求めることは考えておりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) インフレターゲットについての御質問を頂戴しました。
 御指摘のとおり、諸外国において、デフレからの脱却のためにインフレターゲットを設定した、もしくは掲げた例を承知しておりません。同時に、デフレは、戦後67年間、一回もやった経験がどの国もありませんので、その点は、ある程度やむを得ぬところだと思っております。
 ただし、インフレターゲット自体は、近年、諸外国でも広く用いられている政策手法であります。
 日銀が、2%の物価安定目標を設定し、その早期実現を目指すことを明確にコミットするということは、これは、固定化したデフレ予想というものを払拭し、日本経済がデフレから脱却する上で有意義な方法であろうと高く評価をいたしておるところです。
 補正予算と来年度予算についての御質問をいただきました。
 今回の補正予算では、公共投資の中でも、道路の老朽化対策など、ニーズが高く、早急に執行可能な工事に重点を置き、中小企業、小規模事業者への資金繰り支援などに取り組んでおるところであり、大企業向けの施策や大型公共事業によって膨らんでいるとの御指摘は当たらないと考えております。
 また、自衛隊につきましては、防災、減災や国民生活の安心の観点から、災害対処能力の向上のための経費を計上していると考えております。
 来年度予算では、生活保護の適正化などを行っておりますが、社会保障関係費全体では増加をいたしており、社会保障削減との御指摘は当たらないと考えております。
 また、いわゆる15カ月予算の考え方で一体的に編成をした補正予算と来年度予算は、日本経済と国民生活のために極めて重要なものと考えております。(拍手)

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