2012年02月23日 第180回 通常国会 議院運営委員会 【655】 - 発言
公務員賃下げ法案 緊急上程は言語道断
2012年2月23日、佐々木憲昭議員は、議院運営委員会で、国家公務員の給与引き下げ法案の本会議採決について「人勧制度さえふみにじり、公務員労働者に不利益を押し付ける法案を、わずか半日で採決し緊急上程まで押し通すという暴挙に断固抗議する」と述べ、反対の意見表明をしました。
佐々木議員は、民自公3党の密室合意にもとづく法案が示されたのは22日の午後8時すぎであり、十分な審議もなく押しつけることは「議会制民主主義を破壊するものだ」と強調。労働組合代表からの参考人質疑もせず強行することは言語道断だと主張しました。
消費税増税を国民に押し付けるために公務員の生計費である給与を再来年まで削減することは容認できないと指摘。「内需をさらに冷え込ませ、財政のいっそうの悪化をもたらす」と批判しました。
議事録
○小平委員長 次に、本日総務委員会の審査を終了した国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案について、委員長から緊急上程の申し出があります。
この際、発言を求められておりますので、これを許します。佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員の給与改定及び臨時特例法案の本会議上程に反対であります。
そもそも、労働基本権制約の代償措置である人勧制度さえ踏みにじり、公務員労働者に重大な不利益を押しつける本法案を、総務委員会では、わずか半日、極めて短時間のうちに趣旨説明から討論、採決、緊急上程まで押し通すという暴挙に、断固抗議するものであります。
本法案は、民主党、自民党、公明党三党の密室協議の結果であり、そもそも法案の形でその内容が明らかにされたのは、昨日の夜、午後8時過ぎであります。にもかかわらず、十分な審議なしに、初めに出口ありきのやり方で押し通すことは、議会制民主主義を破壊するものと言わなければなりません。
しかも、当事者である国家公務員の労働組合代表からの参考人質疑が不可欠であるにもかかわらず、それさえも行わず採決を強行したことは、言語道断であります。
憲法28条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」としており、勤労者に公務員が含まれることは歴代政府も認めているとおりであります。この永久不可侵の権利が長期にわたり不当に制約されている違憲状態に終止符を打って労働基本権の全面的な回復を図ることこそ、国会のやるべきことであります。
今回の公務員給与削減を、消費税増税のための身を切る改革と位置づけていることも重大です。
国民に増税を押しつけるために、公務員の生計費である給与を見せしめのように来年も再来年も削減するなど、到底容認できるものではありません。
また、復興財源のためという理由も成り立ちません。
本法案は、被災地である東北地方の国家公務員にも例外なく適用されるのであります。被災者の国家公務員からも平均7・8%の給与を長期に奪い、生活を破壊するものであります。
国家公務員給与は、地方公務員や独立行政法人職員、民間保育園、病院労働者など、約600万人もの労働者の賃金に影響を与えるものであります。民間企業でも国家公務員給与を踏まえた賃金決定の仕組みがつくられており、その影響は極めて甚大であります。
国家公務員給与の大幅な引き下げは、国民全体の所得減少の悪循環を招き、内需をさらに冷え込ませ、ひいては財政の一層の悪化をもたらすものであります。
以上、緊急上程に反対の意見表明とします。
○小平委員長 服部良一君。
○服部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律案を本日の本会議の議題として緊急上程することに、反対する立場から討論を行います。
そもそも、公務員は労働基本権を制約されており、その代償措置として人事院勧告が存在します。その人勧を大幅に上回る給与削減は、江利川人事院総裁も指摘しているように、憲法違反のおそれがあります。労働基本権の回復、自律的労使関係の確立がないままに人勧を実質的に無視することは、順序が全く逆の、暴挙と言わざるを得ません。
しかも、その理由も、復興財源のためなのか、消費税増税の地ならしのためなのか。国会議員定数削減の議論にも言えますが、身を削るというレトリックばかり先行させ、公務員たたきの風潮に乗るばかりで、行政がどうあるべきかという理念や行政サービスの質をめぐる議論は、全くもって不在です。無駄の削減は当然ですが、何でも削ればいいというものではありません。
さらに、提出された修正案は、地方公務員給与について国が事実上圧力をかけるものであり、到底容認できません。
このように問題だらけの法案が、民自公の密室協議でまとめられ、3時間足らずの委員会審議で通されてしまうことは、とても許されるものではありません。国会軽視であり、強く抗議いたします。
最後に、私ども社民党は、公務員制度改革四法案の成立と公務員の労働基本権回復に引き続き全力を尽くすことを申し上げ、反対討論といたします。
○小平委員長 それでは、本法律案は、本日の本会議において緊急上程するに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕
○小平委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。