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その他

2011年12月08日 第179回 臨時国会 福島原発事故両院議運合同協議会 【650】 - 発言

福島原発事故 国会の調査委が発足 “利益共同体”にメスを

 2011年12月8日、国会の東京電力福島原発事故調査委員会が発足しました。
 東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会では、委員長と9人の委員が就任あいさつし、各党から要望や期待の発言が行われました。

 黒川清調査委員長は「憲政史上初の重責に応えるべく、検証の仕方、組織のあり方に知恵を絞っていきたい」と述べました。

 佐々木憲昭衆院議員は、史上最悪の原発事故にたいして国政調査権を背景としてつくられた調査会が「政府から独立し、政治介入を廃し、公開を基本として事故原因の究明に当たることは重要だ」と、その意義を強調しました。
 そのうえで、原発事故で何が起こり、どう対応したのか、事故にかかわる事実関係を逐一、具体的に明らかにすることが原因究明の土台となると指摘するとともに、再三の警告にもかかわらずなぜ過酷事故対策が取られなかったのか徹底究明が重要だと述べました。
 また事故後、政府・東電が原子力災害対策特別措置法にもとづく対応をしなかったのはなぜか、その一方で法律にもとづかない統合本部、日米合同チームがつくられた経緯や具体的対応の詳細を明らかにすべきだと述べました。
 さらに原子力行政と原子力政策の検証を強調。原発推進の経済産業省のもとに保安院を置き、「規制」権限を一元化した経緯と弊害の検証を求めました。
 日米原子力協定と電源3法のもとで「安全神話」をつくりあげ、原発を推進してきた政・財・官・学の構造そのものにメスを入れるとともに、「原発利益共同体」ともいうべき利益構造の解明を求めました。

議事録

○佐々木憲昭君 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 福島第一原発事故の調査委員会発足に当たりまして、私からも意見を述べさせていただきたいと思います。
 3月11日に発生した東日本大震災によりまして、福島第一原発はすべての電源を喪失し、冷却機能を失い、炉心溶融に至りました。その後の水素爆発により大量の放射性物質を大気中に飛散させ、汚染水を海洋に流出させるなど、チェルノブイリを超える史上最悪の原発事故となったのであります。
 このような事態を招いた政府と東京電力の責任は、極めて重大です。事故を収束させ、放射能汚染・被害から住民の命と暮らしを守り、二度とこのような事故を起こすことのないようにするため、事故原因の徹底究明が不可欠でございます。
 事故の当事者であり加害者である東電は、今なお必要な情報、資料を明らかにせず、政府も情報公開に消極的で、政府の事故調査・検証委員会は、その法的権限があいまいなまま、非公開で調査を進め、議事録も公開しておりません。
 このもとで、国政調査権を背景として国会に設置される調査委員会が、政府から独立し、政治介入を排し、公開を基本として事故原因の究明に当たることは、極めて大きな意義を持つものでございます。
 以下、調査に関して幾つか問題を提起しておきたいと思います。
 まず第一に、事故原因の究明で重要なことは、地震、津波による原発設備の損壊の実態を初め、福島第一原発で何が起こり、どう対応し、どのような事態が進行したのか、事故にかかわる事実関係を逐一具体的に明らかにすることであります。プラントデータも含めた事故事実を把握することは、原因究明の土台でございます。
 東電はいまだに想定外の津波が原因だと主張しておりますけれども、地震動のデータのすべてを公表しているわけではありません。プラントの破損状況とともに、それぞれの破損の原因が何なのか、地震か、津波か、あるいは水素爆発なのか、この点を検証すべきでございます。
 また、原発の危険性と過酷事故対策について、国会でも再三指摘、警告されていたにもかかわらず、なぜ対応がとられなかったのか。そもそも、福島第一原発はどのような想定で設計され、建設されたのか、徹底究明が必要であります。
 第二は、事故後、政府、東電が原子力災害対策特別措置法に基づく対応をしなかったのはなぜかという問題です。
 例えば、3月24日、日本共産党の吉井議員が事故にかかわる基礎データの提出を要求しましたけれども、政府は事実を把握しておりませんでした。原子炉規制法に基づき東電に報告徴収命令を出すべきだという質問を受けまして、4月25日にようやく東電に報告を命じ、一カ月後に報告文書を受け取るという状況でありました。
 なぜ、政府はその権限をすべて行使し、法的権限に基づいて事態の把握をしなかったのか。東電は、事故対応マニュアルを知的財産だと称して提出を渋り、黒塗りで提出するという対応で、事実の解明に極めて消極的な態度に終始してきたのであります。
 一方で、法律に基づかない統合本部が事故対応を行い、日米合同チームというのがつくられましたけれども、その経緯、具体的対応の内容も詳細に明らかにすべきだと考えております。
 また、住民の安全確保のためにSPEEDIが活用されなかった問題、安定沃素剤の配付と服用が指示されなかった原因、避難指示をめぐる混乱などの検証も必要であります。
 最後に、原子力行政と原子力政策の検証でありますが、原子力行政では、規制と推進の分離が言われながら、2000年の中央省庁再編の際に原子力安全・保安院を新設し、原発推進の経産省のもとに規制権限を事実上一元化したのはなぜか、その経緯と弊害の検証が必要であります。
 さらに、我が国の原発政策の根幹をなす日米原子力協定と電源三法のもとで安全神話をつくり上げ、地域住民の反対を押し切って原発を推進してきた政官財学の構造そのものにメスを入れる必要があります。地域独占体制と総括原価方式に守られた電力会社を中心とし、原発メーカー、ゼネコン、銀行など、財界中枢で構成する原発利益共同体ともいうべき利益構造の解明に及ぶ調査が求められていると思います。
 以上、委員各位がその職責を十分に果たされんことを求めまして、発言を終わります。(拍手)

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