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金融(銀行・保険・証券), その他 (災害支援)

2011年07月13日 第177回 通常国会 財務金融委員会≪日銀報告質疑≫ 【620】 - 質問

日銀の景気認識 「被災地の実感とかい離」と批判

 2011年7月13日、財務金融委員会は、日本銀行から報告を受け質疑を行いました。
 佐々木憲昭議員は、東日本大震災後の景気の現状について日銀の認識をただしました。

 佐々木議員は、日銀が被災地の景気を「持ち直しの動きが見られる」と上方修正したことに関して「実感からかけ離れている」と批判しました。
 山口広秀副総裁は「被災地の現状は非常に厳しい。(金融面でも)復興に向けて企業などの資金需要が出てきている状況ではない」との認識を示しました。
 佐々木議員は、日銀の金融緩和策による潤沢な資金が、中小企業や家計など末端に流れていないことが問題だと指摘しました。
 日銀の白川方明総裁は大企業や金融機関のカネ余りを認めた上で、「それが有効に使われるように、政府も民間も力を合わせる必要がある」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 初めに、景気の現局面と見通しについてお聞きしたいと思います。
 先ほどの白川総裁の概要説明では、我が国の経済は震災の影響による供給面の制約が次第に和らぐ中で持ち直しています、こう述べておられます。7月4日の日銀支店長会議でも同様の見解を述べておられますし、6月末のオランダでの講演、ここでも、東日本大震災直後に落ち込んだ生産活動について、徐々に回復し、7―9月のいずれかの時点で震災前の水準に復帰する、こういうことを述べたそうでありますが、その根拠を説明していただきたいと思います。
○白川参考人(日本銀行総裁) お答えいたします。
 経済活動の中で、これは製造業の生産活動ということで申し上げているわけでございますけれども、議員御案内のとおり、3月の震災によって日本の鉱工業生産は15%も落ちました。これは、この統計を開始以来、単月では最大の落ち幅でございました。リーマン・ショックのときにも単月ではこれだけの落ち込みはなかった、それぐらい急激な落ち込みでありました。言うまでもなく、これは、生産設備が毀損する、あるいはサプライチェーンが障害を起こす、あるいは電力が調達できないということによるものでございました。この後、企業は懸命の努力を行い、特にサプライチェーンについては修復の努力を重ねた結果、徐々にサプライチェーンの障害も弱まってくるということでございます。
 そうしたことをどういう方法で確認したのかということでございますけれども、一つはマクロのデータでございます。日本の企業は経済産業省に対して生産の数字を報告するという統計上の義務がございまして、その統計を集めたのが鉱工業生産指数でございます。この数字は、4月、5月とふえておりまして、それから、6月、7月についても、これは企業自身の予測の数字が出ております。そうしたものを積み重ねますと、先ほど申し上げたことになりますし、それから、別途、日本銀行は、本店、支店を含めまして、膨大な量のヒアリング調査を行っております。そうしたことを総合しますと、この7―9月期には震災前の生産水準に戻すということでございます。
 ただ、あくまでこれは生産水準ということでございまして、製造業の生産でございます。非製造業については、例えば旅行であるとかあるいは飲食を見てもおわかりのとおり、これは全体にやや弱目という状況がなお続いております。したがいまして、経済活動についてどうなのかといいますと、これはまだまだ注意すべき点がございます。
 私どもは、どうしても短期の経済見通しを毎回毎回発表していく必要がございますけれども、そうした短期の見通しとは別に、先ほど来議論になっています中長期的なリスク要因、特に電力の不足という問題、これは原発をどう考えるかという問題とは別にしまして、とりあえず経済活動にどういう影響が出てくるのかということを考えた場合に、これは大きな要因でございます。そうしたことも含めて、短期それから中長期と分けて考えております。
○佐々木(憲)委員 そこで、地域のそれぞれの状況ですけれども、日銀の地域経済報告では、七つの地域が上向きで、近畿と四国のみが横ばい、こういうふうに評価されていると聞いておりますが、震災、原発事故の被災地域も上方傾向といいますか、あるいは上方修正というふうにされている、こういう認識と理解していいんでしょうか。
○山口参考人(日本銀行副総裁) お答えいたします。
 私ども、7月上旬に地域経済報告というものを公表いたしました。その中では、東北地方における景気情勢について、地域差はあるけれども、震災直後の4月の初めに比べれば改善しているという判断をしたところです。
 これについては、二つばかり要因があるなというふうに思っております。一つは、震災の影響から大きく毀損しました社会インフラ、あるいは企業の生産、営業設備の復旧といったようなことが徐々に進んでいるという面がございます。それからもう一点は、震災直後大幅に落ち込みました消費活動が持ち直しの動きを見せているといったようなことがございまして、これらを踏まえた上で、先ほど申し上げたような情勢判断をしたということでございます。
 ただ、そうした改善の動きはもちろんあるわけでありますが、やはり東北地方の景気情勢というのは、震災の被害が極めて大きかったということでありますので、そうした地域を中心にしまして、引き続き厳しい状況に置かれているという判断を私どももしておるところでございます。
 決して被災地を中心にしての現状を楽観視しているわけではないというふうに御理解いただきたいと思います。実際に、地域経済報告におきましてもこういう指摘をしております。東北地方の太平洋沿岸部については、生産設備に甚大な被害を受けたことなどから、引き続き、生産活動の停止ですとか、あるいは減産を余儀なくされている先が多い、このような指摘もあわせ行っているところであります。
 いずれにしましても、私どもとしては、今後とも、本支店の調査機能を十分に生かしながら、被災地を含む日本経済の実態の把握を的確に行ってまいりたい、このように思っておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 確かに4月の初めと比べれば、それは、震災直後のいわばどん底に落ち込んだ状態から必死になってはい上がろうとしている、いわば一番の底になったところから少し上向きになり始めたという程度の状態だと思うんですよ。被災地に行ってみたらわかりますよ、それは。瓦れきのあの状況の中で事業活動というのは、なかなか深刻な事態になっているわけであります。
 ですから、4月の初めに比べて持ち直しているから、近畿その他は横ばいだけれども東北地方は上向きなんだ、そういうふうに言われますと、これはなかなか実感とかけ離れた感じがしまして、何か表現に工夫が要るのではないかというふうに私は感じております。
 実際、日銀の仙台支店長のお話は、伝えられているところによりますと、被災地について、被災者が生活用品を買いかえるなどの需要は強いものの、工場の再建などは少なく、本格復興という段階にないと。金融庁の調査でも、岩手、宮城、福島の三県で、民間金融機関からの企業向け融資は4520億円、これは返済がとまっている。住宅ローンも、融資残高の1割を超える1045億円分が返済できない状態にある。こういう深刻な状況にあるわけですね。
 ですから、横並びで、七つの地域が上向きになっているというふうに東北も入れて表現すること自体、一つは再検討していただきたいと思っておりますのと、金融状況、金融の面でいいますと、これは、まだまだ本格的な設備投資を行って次の段階に進んでいくというところには至っていない。先日も、財務金融委員会で、石巻、仙台を視察に行きましたけれども、そのときの話でも、まだそこまではいかないと。つまり、展望がまだ自分たちで見出せる事態になっていないんだと。当面の資金繰りは、それはもう大変だからお願いをして、何とか回っているけれどもという話を聞きました。
 そういう意味で、この被災地域の金融の現状については日銀としてどのように認識をされているか、次にその点をお聞きしたいと思います。
○山口参考人(日本銀行副総裁) 最初に、地域経済報告について若干補足させておいていただきたいというふうに思います。
 実は、先生もう先刻御承知のとおりでありますが、地域経済報告は、今回の分について言えば、4月の支店長会議と7月の支店長会議との比較という格好で出ておりますので、それを並べたものだということでございます。
 その上で、では現状はどうかということについては、私どもも、さまざまな情報を入手した上で、東北地域の非常に厳しい状況についてはそれなりに理解しているということでありますので、ぜひそのように受けとめていただければというふうに思います。
 それから、被災地の金融ということでございますが、御指摘のとおり、本格的な復興に向けての資金需要が出てきているという状況ではまだまだございません。これからそうしたものが出てくるのかどうか、我々としても非常に注目しているところであります。
 ただ、一点申し添えておきますと、実は私どもも、被災地の金融機関が当面の流動性需要に対して十分に対応できるようにというような観点から、いわば復興に向けての初期対応を支援するという観点から、流動性を供給するためのスキームを用意いたしました。1兆円という枠を設けて、0・1%の金利で提供するということでございますが、今までに二回、私どもはその募集をかけまして、今のところ、2千億円というようなことでございます。まだまだ私どもが設定した1兆円という枠との関係でも大きな動きにはなっておりませんけれども、とりあえず、スタートダッシュとしてはそこそこのお金が動きつつはあるなという感じは持っております。
 依然として、先ほど申し上げたことでありますが、復興に向けての本格的なお金の動きというものが見られるようになっているかというと、そういう状況ではない、お金の面から見ましても、被災地の状況は極めて厳しい状況が続いている、このように思っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 この被災地の状況からいいますと、二重ローンという問題にまだ至っていない、その前の段階で苦しんでいるという状況だと思うんですね。
 今、二重ローン問題で政策的な対応というものを、国会でも、あるいは政府の方でも考えつつあるところでありますけれども、ゼロからのスタートを支援するということになりますと、過去の債務をどうするか、これが一番の焦点になるわけであります。いわば事実上借金棒引きのようにしてもらわないとこれからやれないというような声があるわけです。
 そこで、この二重ローンの解消の問題について、日銀として、これは政策的に何か直接どうこうということにはならないとは思いますけれども、総裁としてこの二重ローンの解消という問題をどのようにお考えか、それから日銀としては何ができるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○白川参考人(日本銀行総裁) お答えいたします。
 先ほど来、被災地の状況についてのお話がございまして、私も被災地を訪ねまして、宮城県、石巻も含めて参りました。金融機関の経営者のお話もお伺いしましたし、それから石巻の本当に言葉を失うような地域にも参りまして、現地の金融機関のトップの方からもお話を聞きました。現地の金融の状況は、先生御指摘のとおりであります。
 それで、日本銀行は二重ローンの問題について、これは直接、政策的な当局者ではございませんけれども、どういうふうに考えているのかというお尋ねですのでお答えいたしますと、被災しました企業や家計が直面している、いわゆる二重債務の問題をどう解決し、今後の被災地の復興につなげていくのかというのは、これは大変重要な課題であるというふうに認識をしております。
 現在、この問題については政府を中心に幅広く検討しているところでありまして、具体的な対応策について私の立場からコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、そう申し上げた上で、大事なことは、被害の深刻さを考慮するとともに、個別の債務者の置かれた多様な状況や、金融規律の維持、債務者の公平性といった観点も踏まえつつ、政府や金融機関、債務者が協力しながら、解決に向けて取り組んでいくことであるというふうに考えています。
 日本銀行として何ができるかということでありますけれども、二重ローンそのものというよりか、被災地の金融機関の置かれた状況を考えて、中央銀行らしい対応は何なのかということであります。
 先ほど山口副総裁がお答えいたしましたように、4月に、これは初期対応として、被災地支援の金融機関向けの資金供給を行いました。これも一つの対応策ですし、それから、この後、復興がもう少し進んだ段階でどういう対応があり得るのかということも、これは検討していきたいということを、既にそういう方針であることをこれは明らかにしております。そのためにも、現地の状況をよく見て考えてまいりたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 この日銀の対応としてはこれまでも、強力な金融緩和を推進とか、金融緩和を一段と強力に推進と、先ほどの概要報告でもそのように述べておられますが、問題は、緩和されてどんどん資金が供給されてはいるんだけれども、末端のところに流れていっていないというのが一番の問題で、例えば日銀集計では4月末の全国銀行の国債保有残高、国債の残高では158兆7800億円、過去最高となっているわけですね。貸出先が、非常に、その資金需要がないと。したがって、金余りになっている部分については、国債を大量に保有するという形で資金が回っているわけですね。
 これは、金融の全体のあり方として、金融緩和を幾らやってもなかなか末端に行かない、それは一体どこに原因があるのか、その原因について、総裁の見解をお伺いしたい。副総裁で、よろしくお願いします。
○山口参考人(日本銀行副総裁) もう先刻、先生御承知のとおりでありますが、銀行貸し出しについては、基調としては弱い動きが続いているということでありますし、銀行の国債保有残高は足元で過去最大の規模になっているということも事実であります。
 こうした事態の背景ということでありますが、三つほど指摘ができるのかなというふうに思っております。
 一つは、銀行預金が安定的に増加しているということであります。それからもう一つは、企業の借り入れ需要が盛り上がってこないということであります。これは企業の手元資金が潤沢だということが一つの背景になっていますし、大企業による社債調達の増加ということもあるんだというふうに思っております。いずれにしましても、企業の借り入れ需要が盛り上がってこないということが二つ目であります。三つ目は、日本の銀行が成長性の高い企業の活動を十分に引き出せていない、言いかえますと、将来性ある資金需要を上手に引き出すことができていないといったようなことも、何がしか影響しているのではないかというふうに思っております。
 特に三つ目の点と関連するところでありますが、今後、我が国の成長力を高めていくという観点に立ちますと、金融機関が成長性の高い企業をうまく選別しながら積極的にサポートしていくことが極めて重要だというふうに思っております。金融機関においては、成長性のある企業を適切に見きわめるということと同時に、融資手法などさまざま工夫を加えていくことによって、企業の前向きな活動を積極的に後押ししていくことが大事だと思っております。
 こうした工夫を多面的に行うことによって、お金の動きが鈍くなっているこの状態を少しでも改善できればというふうに思っているところであります。
○佐々木(憲)委員 今言われた、預金がふえていると。なぜ、ふえているかといえば、将来不安があるから、あるいは、国の社会保障の制度が果たして将来安定的に推移するのかどうかという点で不安があるので、どうしても老後に備えて貯蓄をしなきゃならぬ、こういう傾向が強まっているということ。
 それから、企業の資金需要の面で見ますと、最終消費市場が低迷しておりますから、つまり、賃金も上がらない、下請単価も上がらない、したがって、最終的な家計消費という点ではそう大きく伸びないわけでありまして、したがって、設備投資につながっていかない、つまり、内需の低迷、これが設備投資の低迷を生み出している、そういう状況だと思うんですよ。
 そこで、大企業を中心に今非常に資金は潤沢にあるんだけれども投資先がないという話につながってくるわけでありまして、私は、昨年9月に当委員会で白川総裁にお聞きしたときに、総裁は、大企業については手元資金は非常に潤沢である、問題は資金を使う場所がないことだという答弁をされまして、私は、なるほど、私の実感と非常に合っているなというふうに思いました。その状況は、6月17日の日銀発表の企業の手元資金を見ましてもこれはふえているわけですから、全然変わっていないんですね。これはやはり私は、日本経済全体に対する国の政策運営に非常に大きな問題があるだけではなく、企業の行動にも問題があると。
 例えば、賃金の引き上げとか下請単価とか、もっとそういうところに着目して、労働者の要求、下請企業の要求にこたえていくような企業活動というのがあるべきだと私は思うんです。それを促すために、国は、政策的な誘導、あるいは税制上の措置、さまざまな法的な措置がとられるということによって、そういう流れがつくられていくと思うんです。それが今、十分なされていない。逆に、消費税の増税ですとか社会保障を抑制するとか、そういうものが出てきている、ますます将来不安があおられる、そういうところに問題があるのではないかと感じているところであります。
 日銀の生活意識に関するアンケート調査を見ましても、被害の大きかった四県を除いているんですけれども、結果を見ますと、現在の景気が1年前に比べて悪くなったと感じている人は、3月の調査、これは46・8%だったのが、7月の調査によりますと61・4%、非常に高くなっているわけですね。やはり全体として、国民の生活感覚からいうと、景気の方は、1年前に比べて、3月の時点の調査に比べると逆に悪くなってきているというのが生活実感だと思うんですが、そういう実態についてどのように考えておられるか、お聞きをしたいと思います。
○山本参考人(日本銀行理事) お答えします。
 日本銀行が公表いたしました生活意識に関するアンケート調査の結果は、今先生が御指摘のとおりでございます。
 まず、前回の3月の調査の調査期間というのは、本年の2月から3月7日にかけてでございました。一方、今回の調査時点は本年の5月から6月にかけての調査でございます。
 お尋ねの景況感の悪化の原因につきましては、その調査結果から直ちに確たることは申し上げられませんけれども、ただ、前回調査と今回の調査の間に東日本大震災が発生したということを踏まえますと、やはり震災の影響により生産活動が大きく低下したこと、そうしたことで日本経済に対する厳しい見方が広がったということ、それらが何がしか影響を及ぼした可能性があると見ております。
○佐々木(憲)委員 その根拠として、この調査を見ますと、自分や家族の収入の状況から判断するとそうなる、つまり、1年前に比べて悪くなっているというのが一番多いんですね。それから二番目に多いのが、勤め先や自分の店の経営状況から見て、1年前に比べて悪くなっている。
 ですから、生活実感からいうと、これはやはり雇用対策ですとか、あるいは可処分所得をふやすための対策ですとか、社会保障の充実ですとか、そういうものがあって初めて、消費も最終的な個人消費の拡大につながり、企業の設備投資にもつながり、日本経済全体の好循環に移っていくことができるというふうに私は思うんです。一番のネックはそこにあると思う。政策の根本的な転換を考える場合には、そこに着目した大胆な転換をしていかないと、これはやはり従来型のやり方ではなかなか突破できないというふうに感じているところであります。
 最後に総裁の御意見を伺って、終わりたいと思います。
○白川参考人(日本銀行総裁) 日本の経済がしっかり回復をし、そのもとで国民が安心して暮らせる、そういう状況を実現する、これは非常に大事なことでございます。日本銀行は金融の面から最大限努力していきますけれども、今先生御指摘のとおり、大企業はお金は余っております。金融機関もお金が余っていて、これが十分に有効に使えていないというのが現在の姿であります。
 このために、これは政府も、それから民間も、やはり力を合わせていく必要があるというふうに思いますけれども、その際、これはどうやって成長力を引き上げていくかということを考えますと、やはり私自身は、労働力人口の減少に少しでも歯どめをかけていく、いろいろな努力でございます。
 これは、今でも女性の労働参加率は、いわゆるM字カーブというふうに言われておりますけれども、参加率が低くなる層がありますし、そのことが女性のいろいろな人的なスキルの蓄積という面でも障害になっています。それから、男性、女性は問わずですけれども、現在のシニア層は昔に比べたら随分元気になっていますので、こういう方がいろいろな形で社会に参画をしていくということで、労働力の減少を少しでも歯どめをかけていく。そういう形で、一方で時間をつくりながら、その間に経済全体の生産性を上げていく努力が必要だと思います。
 生産性といいますと、コストをカットしていくというのが何となく生産性という言葉のイメージにありますけれども、必ずしもそういうことだけではなくて、もちろんそういうことも必要ではありますけれども、マーケットをどう大きくしていくかという観点が大事だと思います。
 そういうふうに考えますと、国内の市場は、高齢者の市場は今拡大しているわけですから、この市場をどう開拓するかということもそうですし、それから、いずれにせよ国内の市場はだんだんに縮小しますから、どうやって海外の需要を取り込んでいくか。こういう面ではやはり国内の市場をもっともっと開いていくという努力も、これはまた御意見が違うかもしれませんけれども、大事だと思います。
 いずれにせよ、総合的に経済力、成長力を上げていく力を高めていくということが大事だというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。

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