2011年01月27日 第177回 通常国会 議院運営員会 【587】 - 質問
会計検査官候補の聴聞会で質問
2011年1月27日、議院運営委員会では会計検査官候補の聴聞会が開かれ、佐々木憲昭議員が質問しました。
内閣から、検査官に公認会計士・公認情報システム監査人・有限責任監査法人トーマツ・パートナーの森田祐司氏が提案されています。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず第一点は、会計検査院の役割ですけれども、憲法90条の規定、それから会計検査院法でも明らかなように、会計検査院というのは、何よりも、内閣から独立する、そういう独立性を保持することが大事でありまして、国の決算を初め、すべての行政機関に対してタブーなく検査のメスを入れる権限があります。それを期待しておりますけれども、森田さんは検査院の役割をどのように御認識か、まずこれをお聞きしたい。
二点目は、会計検査院の改革の問題です。
会計検査院法では、「検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる。」「求めを受けたものは、これに応じなければならない。」大変大きな権限が与えられております。それから、「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」こういう規定もあります。
こういう大きな権限を持っているわけですが、これまで、いろいろな官製談合事件あるいは官庁と天下り企業との癒着、こういう不祥事が後を絶っておりません。こういう事件について、これまで会計検査院が独自に摘発をしたということはほとんどなかったのではないか。それは、会計検査院のどこに問題があって、どう改革すべきか、お考えがあればお聞かせをいただきたい。
三点目は、公会計と自治体の役割です。
公会計に大変お詳しいようでありますが、企業会計方式を自治体の経営に適用するというお考えをお持ちというふうに伺っております。ただ、企業は利益を追求するものでありまして、自治体というのは住民の福祉の増進というのが目的でありますから、これは本質的な違いが私はあると思います。その点をどのように認識されているのか。
それから、財政健全化というのはもちろん必要だと思いますけれども、受益と負担というふうになりますと、だれが受益をし、だれが負担をするか、その構造に立ち入って考えなければならぬというふうに思います。
福祉や医療という公的な住民サービスの場合は、単純に受益と負担ではかることはできないと思うんです。健全化を理由にして福祉とか医療の切り下げが行われる、あるいは負担がふえて住民生活が非常に圧迫される、職員の削減、非正規化、こういう問題も起こっております。これは本末転倒だと思うんですけれども、こういう点をどのように考えておられるか。
この三点、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○森田参考人 御質問ありがとうございます。三点にわたって御質問をいただきました。
一つ目が、会計検査院の役割ということでございます。
今、先生も御指摘のとおり、やはり、独立性というものが、検査院が出します意見といいますか、報告の信頼性のもとになっている、大きな基礎になっているということでございます。
独立性につきましては、二面がございまして、外見的な、あるいは形式的な独立性、外から見て、あのような立場なんだから、そういうことというのは包み隠さずすべて指摘しているんだねというふうに、周りから信頼できる。もう一点は、実質的な、別の言い方をしますと、精神的な独立性ということだと思います。こんなことを言ったら嫌われるんじゃないかとか、困られるんじゃないかとか、そういうようなことがない。
この二面というものが、これは民間の監査法人の監査におきましても同じでございまして、そのような考え方、あるいはその対応につきましては、30年の経験の中で培ってきたものを、ぜひこれから会計検査院の中で、どのようにされているかということを勉強させていただきながら務めていきたいというふうに思っております。
それから二点目、会計検査院、非常に強い権限を持つ中でということでございます。
どのように変えていくべきかということにつきましては、いろいろ仄聞する限りで考えるところはございますけれども、まだ中に実際入ったことはございませんので、今後勉強しながら、そこの部分についても留意しながら務めていきたいというふうに思っております。
最後に、公会計の御質問をいただきました。私のメーン、専門でございますので、お時間さえ許せば幾らでも御説明したいところではございますけれども。
やはり、民間企業は利益を目的とする。ですから、売り上げ、収益というものが目的であって、そのための手段が費用、コストである。それに対して、国や自治体、公的機関というものは、収入、これは税収が主でございますけれども、税収が目的ではございません。今も御指摘があったように、福祉の増進でありますとか安全、安心、これが目的でございます。
ただ、ここの部分は、会計的に安心、安全を幾らかという評価をすることはできませんので、まずは、そのための手段としてのコストというものがどれだけかかっているのかということを明確にし、そこの成果、行政が負うべき成果の部分は、政策評価でありますとか、いろいろなところでチェックをしていく。そこが官民の会計の大きな違いかというふうに思っております。そこのところを肝に銘じながら、今後とも進めてまいりたいと思います。
もう一点いただきました受益と負担の関係につきましても、先生御指摘のところも踏まえて、さらに、世代間負担の問題、受益と負担なんかの問題もございましょうし、これからさらに勉強しながら務めてまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○佐々木(憲)委員 どうもありがとうございました。