2010年05月24日 第174回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【572】 - 討論
倫選特で国政選挙執行経費基準法案について反対討論
2010年5月24日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、国政選挙の執行経費基準法の改定に関して、野党の審議不十分との指摘の中、与党は採決を行い、与党と公明党の賛成多数で可決しました。日本共産党は、この改定に反対しました。
21日に引き続いて、採決に先立ち討論に立った佐々木憲昭議員は、この改定が民主党政権の「事業仕分け」の評価を反映し、党・開票所経費を2〜3割も大幅削減するものだと指摘。「投票所数や時間が自治体によって不均衡になれば、全国一律で行われる国政選挙で、投票の機会の公平性が確保されなくなる」と批判しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。
今回の改正で、執行経費の基準は07年改定よりさらに大幅な削減となり、地方公共団体委託費は、衆議院総選挙で83・5億円、13・5%の削減、参議院通常選挙で81億円、15・6%の削減となります。とりわけ、投票所経費、開票所経費は2割から3割の大幅な削減となっております。
その理由は、事業仕分けの評価を反映したからであります。事業仕分けの議論では、コスト削減のため投開票の時間を削減すべきだという意見が多く出されました。これは本末転倒であります。
この間、私が質問で確認したように、投票所数は著しく減っており、投票所が遠くなった有権者も少なくありません。しかも、98年から投票環境向上のためということで投票時間が2時間延長されたにもかかわらず、逆に投票時間を短縮している投票所がふえ、09年衆議院選挙では約3割もの投票所で閉鎖時間の繰り上げが行われています。
投票時間変更の理由として、地域住民の生活パターンや交通状況が挙げられていますが、期日前投票を挙げる市町村もあると言われています。しかし、これらの理由は成り立ちません。期日前投票を創設した目的は、有権者が投票しやすい環境を整えることだったのであり、投票時間の短縮はそれに逆行するものであります。しかも、投票所数や投票時間が自治体によって不均衡になれば、全国一律で行われる国政選挙において、投票機会の公平が確保されなくなると言わざるを得ません。
開票所についても、市町村合併の影響で激減しております。開票所が遠くなったことを投票時間繰り上げ閉鎖の理由に挙げている市町村もあります。これも本末転倒であります。
今回、開票時間の基準を4時間から3時間に短縮することが盛り込まれています。07年の参議院選挙で開票時間が3時間以内であった自治体は、わずか25・56%にすぎません。これを見ても、今回の改定が実態に即しているのかどうか疑問であります。
公職選挙法にも明記されているように、選挙管理委員会が開票を迅速に行うことは当然のことであり、合理的な方法を広げることは必要であると考えます。しかし、コスト削減ありきで選管をあおるのはいかがなものでしょうか。
開票作業は、何より正確さが求められております。それなくして、選挙の公正性、信頼性は確保されません。
今回の改定で、投票所、開票所経費が大幅に減らされれば、投票所、開票所の減少、投票時間の短縮、開票時間短縮の競争にさらに拍車をかけることは必至であります。民主主義の根幹である選挙の公平性、公正性を担保できなくなるおそれさえあり、今回の改定には反対であります。
以上で、討論といたします。