2010年05月13日 第174回 通常国会 議院運営委員会 【568】 - 発言
「政治主導確立法案」の審議入りについて議運委員会で意見表明
2010年5月13日、本会議で、国家戦略局設置を盛り込んだ「政治主導確立」法案の趣旨説明と質疑が行われました。
本会議に先立つ議院運営委員会で、佐々木憲昭議員は、審議入りに対して反対の意見を表明しました。
「政治主導確立」法案は民間人起用を念頭に首相補佐官の枠を5人から10人に増員し、官邸の体制を強化。内閣官房の国家戦略室を「局」に格上げし、権限など法的位置付けを明確にします。行政刷新会議も法的に位置付けます。
また、官房副長官を1人増員し、4人置くとし、官房副長官を国家戦略局長と兼務させます。行政刷新会議の下に専門委員会を設けることを可能とし、国会議員や有識者を委員に起用できる規定も盛り込みました。内閣官房と各省庁に政務調査官を置くことができるとしています。
佐々木議員は意見表明で、「政治主導確立」法と内閣法制局長官の国会答弁禁止などを盛り込んだ「国会改革」関連法案が一体で構想されていることを指摘し、「実体は、強い政府主導で国会審議を弱体化する国家改造にほかならない。国民主権、議会制民主主義という憲法の基本原則に反するものである」と批判しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 本日の本会議において、政治主導確立のための内閣法等改正案を議題とし、趣旨説明、質疑を行うことに反対の意見を述べます。
初めに、与野党の合意がないにもかかわらず、委員長が職権で本会議を立て、委員会を開いたことに厳しく抗議いたします。議会運営は、与野党合意のもとで円滑に進めるべきであります。
本法案は政治主導の確立を掲げていますが、政治主導というなら、今緊急になすべきは政治の信頼の確立であります。
そのために、まず第一に、政治と金の問題で、鳩山総理と小沢幹事長が国民に対し説明責任を果たすことであります。
鳩山総理は、9億円の資金使途について約束どおり資料を提出して説明すること、小沢氏は、国会の証人喚問に応じ、みずからの政治資金疑惑について証言すべきであります。
第二に、普天間米軍基地の無条件撤去を政治決断することです。
鳩山総理は、移設先探しで迷走を続けたあげく、県外、国外は公約ではないと言い逃れ、結局、沖縄と徳之島に負担を押しつけようとしており、国民の大きな怒りを呼んでおります。予算委員会の集中審議でこの公約違反と政府方針の混迷をただし、国民、県民の求める方向に政治を主導することが求められているのであります。
本法案は、民主党小沢幹事長の主導のもと、いわゆる国会法改正案と一体で構想され、進められてきたものであります。
その内容は、内閣官房、内閣府に新たな機構を設け、副大臣、政務官、総理補佐官を大幅に増員し、さらに政務調査官を新設するなど、要するに、総理官邸を中心とする内閣機能の権限を強化するものであります。
その一方、国会に対しては、政府参考人制度の廃止、法案審議と国政調査の切り離しなどによって官僚答弁を排除する方向をとっていますが、これでは、国会が必要とする行政実態についての審査や調査ができず、予算や法案の充実した審議を阻害し、国会の行政監視機能を弱体化させ、国政調査権能を形骸化させることは明白です。
とりわけ、内閣法制局長官を政府特別補佐人から除外し、国会審議の場から外し、九条の解釈改憲を政治主導で進めることをねらっていることは断じて容認できません。
政治主導の確立、国会審議活性化といいますが、その実態は、強い政府主導で国会審議を弱体化する国家改造にほかなりません。国民主権、議会制民主主義という憲法の根本原則に反するものであります。
こうした国家機構や国会の仕組みの重大な変更は、政府・与党、民主党の一存で強引に進めるべきものではありません。当然、時間をかけた国民的議論が必要です。
また、民主党は、国会法改正のため、議会制度協議会の開催を要求していますが、そもそも議会制度協議会は、議長の諮問機関として、国会のあり方、運営ルールについて与野党合意で円満に進めるための協議機関であり、その場で形だけ協議すればいいというものではありません。
与党側が一方的に国会法改正案の提出などという挙に出た場合には、重大な決意で臨むことを表明しておきます。
以上で、意見表明を終わります。