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金融(銀行・保険・証券) (中小企業融資, 金融消費者保護)

2000年04月04日 第147回 通常国会 大蔵委員会≪参考人質疑≫ 【105】 - 質問

杉田全銀協会長に中小企業向け融資実績ただす

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 私は、まず中小企業向け貸し出しの問題についてお聞きをしたいと思います。
 全銀協の杉田会長にお伺いしますけれども、日銀の統計では月別の統計が出ておりますね。その中で、中小企業向け都市銀行の貸し出しは、この間ふえていますか、減っていますか。
○杉田参考人(全国銀行協会会長) 手元に詳細なデータがございませんが、月別では減っていたかというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 中小企業向け貸し出しは、昨年の4月の時点では95兆8千億という数字がございます。9月は94兆6千億であります。1月は94兆であります。つまり、昨年の4月から9月、ことしの1月にかけてどんどん減っております。約1年間に1兆8千億減っております。1・8%マイナスであります。
 そこで、先ほど配付をされました「中小企業向け貸出の見込み」を拝見いたしますと、3月末の達成は大変大きな金額となっております。ざっと計算いたしますと、3月から9月の時点ではプラス6873億円でありました。したがって、達成率は23%であります。ところが、9月から3月、今この数字で大ざっぱに計算をいたしますと、約4兆1600億から4兆6千億、この半年で上積みされているわけですね。
 つまり、この1年間の前半では6800億だったのが、後半の六カ月では4兆円をはるかに超える。いわば、前半と後半に分けますと、6・1倍から6・7倍、六倍から七倍の貸し出し増になっているわけです。これは極めて不思議だと私は思うのですね。先ほどの日銀の統計では、1月までずっと減っておりました。そうしますと、これだけ、4兆円も上積みされたのは、2月、3月で4兆円上積みした、こういうことになりますね。なぜそうなったのですか。
○杉田参考人 下半期に融資残高の増加が大きかった理由といたしましては、各行が上半期に実施しました施策等が浸透してきたことと、それから経営健全化計画の達成について各行とも懸命に努力したということがあろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 質問に答えていないじゃないですか。日銀の統計では1月までずっと減っているのですよ。そうでしょう、私、これは手元にありますが。しかし、後半六カ月で4兆円ふえているのですよ。そういうことは、4兆円以上、2月、3月でふえないとそういう結果にならないじゃないですか。なぜそうなるのかと言っているのですよ。先ほどの質問では、施策が浸透した、では1月まで施策が浸透して何でマイナスになるのですか。2月、3月になぜふえたかという、この理由をはっきり言ってください。
○杉田参考人 本日お配りしております資料の定性的な部分につきましては、今回、私どもの全銀協としましては、数字を取りまとめるということで、とりあえず速報値ということで提出させていただいております。したがいまして、他行の状況等については、特に実情については、つぶさに承知しておりません。
 そういう前提で申し上げさせていただきますと、先ほども申し上げましたが、やはりこうした数字の比較につきましては、いわゆる四半期ベースあるいは半期ベース、年度ベースという、年度末あるいは半期末には、それぞれ不良債権の処理の関係がございますので、数字が相当異例な動きをするということでございます。したがいまして、相関ベースの月次の比較を中間で行うよりも、年度末あるいは半期末ベースで比較していくのが、私としてはその傾向を見るにはよろしいんではないかというふうに思っています。
 そういう意味で、私どもの個別銀行の例で申し上げましたが、年間6400から6900にふえますが、上下で言えば、上期が2530で、下期、10月から3月の間に3052の増加を予定しているということでございます。
○佐々木(憲)委員 全然答えていないじゃないですか。不良債権の処理などがあると言いましたけれども、なぜそれがそれと関係あるのですか。中小企業向け貸し出しが2月、3月で4兆円ふえた理由を聞いているのですよ。1月までずっと日銀統計で減っているのです。しかし、達成率は162%、177%、これだけ大変な達成率になっているのですよ。合理的な説明をしてください。
○杉田参考人 この2月、3月にふえた理由につきまして、各行の状況については、私としましては承知しているところではございません。
 したがいまして、私どもの個別の銀行の例を申し上げて御推察いただくということになりますが、私どもとしましては、中小企業の資金需要にこたえる、あるいは資金需要をやはり血眼になって探すような努力もいたしまして、なおかつ、その資金需要に見合うような商品開発を事前に行い、新規の開拓班も充実させて、いろいろ営業活動をやる中で、こういう達成見込みであるということが生まれたわけでございます。
○佐々木(憲)委員 全然理由にならないですね。
 では具体的に、第一勧銀のこの2月、3月、貸出残高がそれぞれどの程度ふえたのですか。
○杉田参考人 お答えいたします。
 2月ということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、年度末の月で、決算調整、不良債権の処理を行いますので、四半期末ベースで比較、あるいは半期ベースで比較するのは、動き、姿、形を見るのによかろうという趣旨で申し上げております。
 2月、3月の数字は、今持ち合わせしておりません。
○佐々木(憲)委員 それでは資料を要求したいと思います。
 第一勧銀の中小企業向け貸出残高の月別の数字、それから15行の月別の数字を当委員会に提出していただきたい。約束していただきたい。
○杉田参考人 私どもとしましては、年度末、半期末の数字をもって比較するのが妥当であるということで、御提出につきましては御容赦いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 半期ごとではわからないから月ごとの数字を要求しているのです。昨年の4月からずっと毎月貸出残高が減っているのです。都市銀行の残高も減っていますし、地銀の残高も、第二地銀は別として、減っております。
 しかし、この提出された資料は急激に残高がふえることになっているのです。2月、3月に急激にふえたということでしか説明がつかない。なぜふえたのか、理由の説明になっていないのですよ。これは何か計算上のからくりがあるのじゃありませんか。私は、この理由についてきちっとした説明がない限り、この預金保険法の審議自体に重大な影響があると思います。
 昨年3月に、15行に対して7兆4600億円の資本注入が行われました。各銀行が中小企業向けの貸し出し計画を提出いたしました。それが達成されているのかどうか大変な疑問を持っておりましたところ、きょう出された資料は極めて大きな超過達成になっている。その根拠はどこにあるのかの説明がない。これでは新しい枠組みをつくってまた税金投入というわけにはいかないです。具体的な根拠のある数字を月別に出していただきたい。調査の上出していただきたい。
○杉田参考人 繰り返すようでまことに恐縮でございますが、経営健全化計画では、半期末、年度末の数字を御提出させていただくようになっているわけでございまして、その趣旨も、これまた繰り返すようで恐縮ですが、それぞれ年度末に決算調整を行った数字同士で比較するというのが実態的の意味を持つということかと思っております。したがいまして、御提出につきましては御容赦いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 容赦はできないです。こういういいかげんな資料をこの権威ある大蔵委員会に出されて、説明が全然つかないような資料を出されて、ああ、そうですか、わかりましたというわけにいきませんよ。何の説明もついていないじゃないですか。説明もついていないし、数字も出そうとしない。
 日銀には全国の銀行の月別の貸出残高の数字は全部報告されているはずです。若干の統計上の差異はあると思いますが、しかし、それぞれの銀行は月別に、この3月末の目標達成のためにどこまで行ったのかという数字は当然持っていなければおかしいわけでありまして、半年に一回計算してみたら大幅に達成していた、そういうことはだれも信じられませんよ。具体的な数字をぜひ出していただきたい。
○杉田参考人 本日御提出いたしました計数は、早期健全化法に基づくベースでの数字でございます。不良債権の処理、調整を行ったいわゆる実勢ベースということで出させていただいております。そうした意味で、それなりの意味のある数字かというふうに思っておりまして、月次の計数提供につきましては御容赦をいただきたい、このように思います。
○佐々木(憲)委員 これは押し問答しても全然進まないので、委員長にお願いをしたい。各銀行の、15行の月別の貸出残高の推移を、実勢ベース、インパクトローンを除いたベースで15行それぞれ提出をしていただきたい、このことを理事会で協議をしていただきたい。
○鴨下委員長代理 先ほど委員長は、預からせていただく、こういうようなことでありましたので、後ほど理事会で検討をさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 個別の銀行でいっても、例えば、富士銀行は9月の達成はマイナスでありました。マイナス1668億円。ところが、後半では、1兆2658億円から1兆3158億円へ、下がっていたのが急激に上がっております。大和銀行は、前期は53億円のマイナスでありましたが、後期になりますと4653億から4853億、これも急激に伸びております。東海銀行も、マイナス1139億円から、プラス5300億から5800億。三井信託も伸び方は非常に激しい。個別にいいましても、マイナスだった銀行が特別伸びが高いです。
 これは本当に私は信じがたい数字でありまして、具体的にどの月にどの程度伸びていったか、その客観的な資料を提出していただかなければこれは納得できない、このことを申し上げたいと思います。
 それから次に、杉田会長が頭取をやられております第一勧銀ですね。商工ローンが大変問題になりました。中小企業向け貸し出しがうまく進んでいないので、どうしても商工ローンに走ってしまう。商工ローンの会社自体のあくどいやり方も問題になりました。第一勧銀は、日栄、商工ファンド向けの融資が一番多いのです、トップであります。大変強い批判を浴びたと思いますが、その点の反省はあるのか。このような社会的批判を浴びている貸出先への融資は今後一切やめるべきだと思いますが、その点についての考え方を聞かせてください。
○杉田参考人 当行では、融資業務の遂行に当たりましては、公共性、安全性、成長性、収益性といった原則を基本理念といたしておりまして、個別の融資に当たりましては、これらを踏まえた上で、その時々に必要な限り調査を行い、最善を尽くして融資判断を行ってまいりましたが、いわゆる商工ローン問題が社会問題化いたしまして、貸金業規制法、それから出資法、利息制限法の改正にまで至ったこと、それから、日栄の元、現社員の逮捕者が五人にも及びまして、うち一名には有罪判決が出されましたこと、そして、日栄に対して一部営業停止等の行政処分がなされたこと等につきまして、極めて重く受けとめております。
 社会の公器たるべき銀行といたしまして、融資してきたお取引先がそのような事態に至るに及びまして、銀行としても極めて厳しい社会批判を受けるに至りましたことは、真摯にかつ厳粛に受けとめておるところでございます。
 いわゆる商工ローン問題が指摘され始めて以降、当行としては重大な関心を持って事態の推移を見守ってまいりました。事態の進展に伴い、さらに一層慎重を期して対応してまいりたいというふうに思っています。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 商工ローンに対する貸し出しは、今後どうしていくおつもりですか。これは縮小の方向ですか、それとも現状維持なのですか。
○杉田参考人 慎重に、厳正に対応してまいる所存であるということにつきましてお察しをいただきたいと思いますし、私どもの発言がお取引先の信用にもかかわる話でございますので、その点お察しいただきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 要領を得ない答弁だと思いますね。あれだけ重大な、社会的な非難を浴びるような暴力的な取り立てをやり、とんでもない高い金利で貸し付けてきた、そういう商工ローンに対してどこが資金を提供してきたか。第一勧銀が一番多いのじゃないですか。もうかるからどこにでも貸せばいいという問題じゃないでしょう。これを打ち切るとかあるいは縮小するということを言われない、ここにあなた方の姿勢がよくあらわれていると思います。
 次にお聞きをしたいのですが、昨年の12月でありますが、銀行、生保など金融機関の行き過ぎた営業活動による個人債務者、契約者の被害に関する予備的調査についてのお願いをしたと思います。これは大蔵委員会で決議をいたしまして、与野党一致して了解のもとで、また議長の了解のもとで予備的調査というのが行われるわけであります。
 ところが、この調査に対しまして、都銀各行の回答は、大型フリーローンの取り扱い商品名ですとか、現在の契約件数、契約高、これは回答をいただきましたが、そのほかの部分についてはほとんど回答はゼロであります。今回の予備的調査というのは、バブル期以降の銀行の過剰融資にかかわる行動の実情を開示するということで求めたものでありました。都銀各行はその中心的部分の回答を拒否しているわけであります。
 私ども、回答を調査しましたところ、多くの地方銀行は、基本的にすべての調査項目に対して詳細な回答を提出しております。ところが、都市銀行は、こういう公式の要請にもかかわらず、例えば、さくら銀行などは、ディスクローズできるデータがございません、富士銀行は、公表しているデータがない、東京三菱は、御要請は任意の調査協力要請と理解しており、一部御要望におこたえできないところもございます、住友、三和などは、データを保有していない、こういう言い方で回答を拒否されているわけですね。
 ディスクローズしていないデータだから委員会で決議をし要請をしたわけであります。ディスクローズされているデータなら何も要請しなくてもわかるわけですから。なぜこのような横並びの拒否回答をされたのか。これは、示し合わせてこういう回答拒否をしたとしか考えられないわけです。国政調査権をどのように考えておられるのか、この点について回答していただきたい。
○杉田参考人 他行の回答がどうであったかについてはちょっと私も承知しておりませんので、申しわけありません。
 私どもといたしましては、御依頼をいただきました調査項目のうち回答可能なものにつきましてはお答えさせていただきました。
 しかし、例えば取り扱い開始以降直近までの月別かつ資金使途別の販売件数と契約高など、その全部または一部に保有するデータというのはございませんでしたものですから、一部に御回答できなかった項目があったかというふうに思っております。また、監督当局と銀行にかかわる事柄については御回答する立場にないということで御協力できないものもございました。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 地銀の場合は全項目に回答されているのに、都銀はほとんど回答していないというのはどういうわけですか。今の理由では理由の説明になりませんよ。
 一部に回答できなかったのじゃありません。大部分に回答していないのです。これが問題なのです。しかも、全部横並びじゃないですか。都銀全部同じ態度をとっている。談合をして情報開示を拒否したとしか思えない。どうなのですか。
○杉田参考人 そのようなことはございません。
 それで、御依頼がございました一の2、これは取り扱いの開始以降直近までの月別、資金使途別の販売件数と契約高なのでございますが、これにつきましては、取り扱い開始以降直近までということですと、ちょっと我々としてはデータがない。この1年間でということであればそれなりのものはあるというようなことでありましたけれども、取り扱い開始以降直近までということではなかなかお答えができないというのが実情でございまして、そういう意味でデータがないというふうに申し上げたと思います。
○佐々木(憲)委員 データがないはずはありません。取り扱い開始以降直近までの月別、資金使途別の販売件数と契約高、これはないとおかしいじゃないですか。それから、系列保証会社が代位弁済している件数、金額、あるいは月別の競売申し立て件数、こういうものがないというのはもう経営そのものの失格ですよ。当たり前じゃないですか、こういうのがあるのは。
 ただ出す意思がない、大蔵委員会で議決をしてもそういうものは応ずる必要がない、そういう態度なんですね。私はそこに重大な問題がある。先ほども、中小企業向け貸し出しの金額についても、幾ら言っても前向きの答弁がない。しかも、この予備的調査についてまともな回答をされない。私は、そういう姿勢が国民の批判を非常に強く広げているというふうに思います。
 次に、地銀協の会長さんの平澤さんにお聞きしますが、この予備的調査に対して、地方銀行は一応大体お答えになっておりますが、横浜銀行は都銀と同様に部分的な回答しかありませんでした。なぜ出せないのか。データを捕捉していないとか内部報告する体制になっていない、これは競売申し立て件数についてですね。こんな数字も集計していないというのは私は信じられないと思います。一体どんな行内管理になっているのですか。
○平澤参考人(社団法人全国地方銀行協会会長) 当行としましては、出せるものはできるだけということで出しておりますが、例えば大型フリーローンなどは開始されましたのが昭和54年でございまして、それ以降月別の部分も、既に21年前でございますので、資料として月別のそれというのは廃棄されているとか、いろいろそれぞれの事情に基づきまして、出せるものはお出ししたということでございます。
○佐々木(憲)委員 変額保険に関する調査についても、公表していないから回答を差し控える、こういう対応だったですよ。公表していないから国会として報告を求めているわけです。それを公表していないから回答しない、これじゃ全然まじめな対応とは思えません。私は、そういう国民の疑問にあるいは国会からの要請にまともに対応せず、税金だけは投入をどんどんやって、それは受け入れる、公的資金はこの2年間連続して都銀中心に受けてきた、そういう銀行の姿勢に非常に重大な疑問を覚えるわけであります。
 委員長にお願いをしたいのですけれども、このような状況では、代表にだけ来てもらっていただけでは大手銀行の実態はよくわかりませんので、15行の資本注入を受けた銀行の頭取の参考人質疑をぜひ当委員会としてやっていただきたい、繰り返しこのことをお願いしたいと思います。
○金子委員長 再三御要請がある事項でもございます。既に理事会で協議をさせていただくということになっておりますので、そう理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。

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