2000年04月18日 第147回 通常国会 大蔵委員会 【108】 - 質問
信金の天下り、大蔵省の組合に対する人事介入問題について質問
議事録
○佐々木(憲)委員 佐々木憲昭でございます。
預金保険法、保険業法、この二つの法案の質疑の最後の質問になると思います。もっとやりたいのですけれども、残念ながら打ち切られてしまうということでありますので。
提案されている預金保険法の改正案は、これまでの質疑を通じまして、国民の税金を金融機関に投入する仕組みを延長し、さらに固定化するものであるということがいよいよ明らかになりました。護送船団方式からの脱却が求められているにもかかわらず、税金投入の仕組みを温存するというのは逆行ではないだろうか、私どもはそう考えます。これでは、行政と金融機関との癒着、政治と銀行業界との癒着を断ち切るということはできないと思います。
振り返ってみますと、ちょうど2年前に、大蔵省は接待汚職で大変大きく揺れました。そのとき、監督下にある金融機関と大蔵省の癒着、とりわけ金融検査を実施する側とされる側の接待というのが大問題になったわけであります。その後、不十分ながら一定の処罰が行われ、ことしの4月1日からは公務員倫理法も施行されて、倫理規程も閣議決定されました。
まず、大蔵大臣にお聞きしますけれども、それぞれの公務員に全体の奉仕者としての自覚が求められると思いますが、これは言うまでもないことだと思いますけれども、同時に大事なのは、大蔵省として、組織全体として、関係業界との癒着あるいは腐敗、こういう問題が進まないように常に自己点検を心がけるというのは大変大事なことだと思います。
この点について、初めに大臣の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
○宮澤大蔵大臣 公務員が憲法のもとに、公務員をやめました後も自分自身の生活を支えていくために職を見つけなければならないということ、そういう憲法上の権利は当然持っておりますし、また、公務員のそのような経験あるいは才能を社会が有効に使うということも大事なことである、これは申し上げるまでもありません。
しかし、そうではありますけれども、そのようなことが公務員にとって具体的な期待権になるような状況を、大蔵省のメンバーであるがゆえに、あるいは在職中にした仕事のゆえに生ずるということは、これはまた弊害の生ずるもとでございますから、前者は前者として、しかし後者は後者としておのずから慎まなければならない規範というものが、個人にとってもまた組織としての大蔵省にとっても存在しているということは、私も同感でございます。
○佐々木(憲)委員 関連業界との癒着を正すという点で公務員倫理法がつくられたということであります。しかし、それだけではまだ足りないと思うのですね。やはり関連業界に対する天下り問題というのがもう一つございます。天下りについては、国民の批判も非常に強いわけでございます。
そこで、総務庁にお聞きをいたしますけれども、天下りについては、この間具体的にどのような改善が行われたでしょうか。
○中川政府参考人(総務庁人事局長) 国家公務員のいわゆる天下り問題につきましては、行政に対する国民の信頼確保の観点から重要な課題と考えております。
政府といたしましては、昨年3月に公務員制度調査会から答申が出ております、また昨年4月には中央省庁等改革の推進に関する方針というものを定めましたが、これに基づきまして、本年度から幹部職員の再就職状況を公表いたしますとともに、公務員の人材情報と企業等からの求人情報の調整等を通じて再就職を支援する仕組み、人材バンクと申しておりますけれども、この人材バンクを導入いたしまして、再就職の公正性、透明性の確保を図るということにいたしております。
今後とも、中央省庁等改革の推進に関する方針に基づきまして、政府として、公務員の早期退職慣行の是正、再就職の公正性、透明性の確保を図っていく必要があると考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 人材バンクということもお話がありましたが、問題は透明性というだけではなくて、このような天下りそのものに対して規制を加え、基本的にこの方向を是正していく、なくしていくということが大事だと私は思うのです。
天下りの害悪につきまして、今から4年前の96年2月9日付の朝日新聞の天声人語に、住専のドンと言われた、日本住宅金融、これは住専の一つでありますが、その設立時から社長として君臨してきました庭山慶一郎氏は、記者会見でこう言っております。記者が庭山氏に、あなたが社長当時、大蔵省の立入検査を一たんは拒否したそうだがと、こう尋ねたのですね。そうしましたら、庭山氏は、自分の後輩に自分の会社を指導してもらうようなそんな見識のないことは私はやりません、こう言った。大蔵省の課長補佐が来たが帰った、次に銀行局長が来た、君が来たのなら、君のやった政策のせいで困った結果が当社に起こっているからと、そういう意味で検査することを許可したわけです、こういうことを住専のドンと言われた庭山さんが語っていた。検査に来た人間を追い返したり、私が検査を許可したんだということを言うに至っては言語道断であります。天下りした元大蔵省幹部がこういう姿勢をとっていた、その実態がここによく出ていると私は思います。
そこで、人事院に具体的にお聞きをしたいのですけれども、大蔵省から金融機関への天下りは、平成11年に何人いたでしょうか。この数年、傾向としてふえているのか、それとも減っているのか、御報告をいただきたいと思います。
○中橋政府参考人(人事院事務総局職員局長) 私どもが、公務員法103条に基づきまして営利企業等への就職承認をいたした者の中で、大蔵省で、かつ金融・保険業等に就職した者の数でございますが、平成7年が39人、平成8年が14人、平成9年が13人、平成10年が十人、平成11年が七人、かようになっております。
○佐々木(憲)委員 数字としては、確かに傾向として減っております。
ただ、問題は、ここに抜け道があるのですね。離職後2年を過ぎてから営利企業に天下りする場合は結構ですと。それから特殊法人に天下る、あるいは公益法人または業界団体、こういう場合も、形式上は営利企業ではないということで、ここに天下るのはノーチェックである。さらに、在職していた国の機関と密接な関係がない営利企業であればオーケーだ。在職していた国の機関と密接な関係がある営利企業でも、その在職が離職前5年より前である場合にはオーケーだ。こういうふうに、天下りを規制するということを言いながら、そしてまた人事院が承認した数は減ってはいるけれども、実態的にはどうなっているのだろうか、変わっていないのではないかということがいろいろと指摘をされているわけであります。
そこで、私の手元に、大蔵省が一昨年の3月11日に大蔵委員会の理事会に提出をいたしました天下り一覧表の資料がございます。証券会社、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、生命保険会社及び損害保険会社の役員のうち大蔵省出身者、その一覧表であります。
これを見ますと、集計いたしますと、皆さんに配付いたしました資料の一枚目のようになります。証券会社69社に80人、都市銀行1行に1人、長期信用銀行3行に3人、信託銀行2行に2人、地方銀行32行に41人、第二地銀51行に70人、信用金庫234金庫に286人、信用組合8信組に9人、生保11社に13人、損保6社に9人、合わせまして417の金融機関に514人が天下っております。これは今から3年前の資料ですから、新しい資料があれば提出していただきたいわけですけれども、今手元にあるのはこの資料であります。
大変驚きましたのは、この中で信用金庫が大変多い。全体の6割近くが信用金庫に天下っております。
信金だけを取り出したのが、次の2ページから19ページまでのリストでございます。個人名はここでは白く抜いておきましたけれども、しかし、これだけ大量の天下りが信用金庫に対して行われております。信金の名前が一番左にありまして、検査年月日、天下りした者の氏名、これは消してありますけれども、それで一番右側に最終官職が書かれております。その結果、234金庫に286人が天下っているという、これが実態であります。
平成9年3月末時点の日本の信金は約400でありましたから、6割の信金に天下っている、天下りのない信金は逆に少数派である、こういう驚くべき状況になっております。
そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、なぜ信金にだけこんなに大量に大蔵省から天下りが行っているのか、その理由は何だというふうにお思いになりますか。
○宮澤大蔵大臣 なるほど多いので私もちょっと驚きましたが、大体、財務局に勤めていた職員、財務局には財務事務所がまたございますから、そういうところにいた人たちが多いのだろうと思います。
実情を申しますと、信用金庫というのは信用組合と違いましてかなり近代化された組織でございます。したがって、その運営には、もともとからいえば、代々お家柄の人が常務理事長とかなんとかそういうことになるわけでございますけれども、あとエキスパティーズに当たる部分は、かなり実務の知識を持った人でないとやれない。もともと地域のあれでございますから、大きな人の異動というようなものはもともと難しゅうございまして、役職員も事務方も難しい、しかし結構専門的な知識が要るという社会でございますものですから、勢い、財務局なり財務事務所にいた人たちが、長い間仕事の上では行き来がございますし、多くはその地域に住んでおる、そしてその地域で生涯を送るというようなことがございますものですから、自然にそういうところから望まれて入るというケースが多いというのは事実と思います。よほどすぐれた人ですと、理事長になるというケースはないわけじゃございませんでしょうが、余り聞きませんで、まあ専務それから常務あたり、実際のところはかなり仕事のエキスパティーズを買われて入ったということが、私の見ております限りでもどうも多いようでございます。
多いようでございますが、しかし、佐々木委員の御質問の裏っ側は、何となくその土地のそういう財務局にいた人の期待権になっているんじゃないか、どうも、たまには、たまにはと申しますが、だれかがやめた後はだれかみたいな、そういうこともあるかもしれない、全く弊害がないとは申し上げにくうございますけれども、地域の、しかもその仕事について専門的な知識を持った人が、かなりそれも長いこと就職してその金庫のために働くというケースが、これは比較的自然に多いのではないか、私の知っております範囲ではそういうふうに思います。
○佐々木(憲)委員 常務、専務だけではなくて、理事長もかなりおりますよね。それから、おっしゃるように、地方財務局の天下り先という点で、相当網の目の細かな配置が行われているというふうに私はこの表を見て思いました。
信用金庫に対する検査というのは、これは金融監督庁が本庁から直接行ってやるわけじゃありませんね。監督庁にお聞きしたいのですけれども、信金に対する検査というのはどのような体制でやっているのでしょうか。財務局はどうかかわっているのでしょうか。
○五味政府参考人(金融監督庁検査部長) お答えいたします。
信用金庫に対します検査は、金融再生委員会、金融監督庁長官からの委任を受けて、その指揮監督のもとに、財務局長が厳正かつ公正な検査を実施する、こういう体制でございますが、法律関係を申しますと、信用金庫法89条一項において銀行法の25条、これすなわち立入検査の規定でございますが、これが準用されまして、金融再生委員会が信用金庫に対する検査を行う、こういうことになっております。
ただ、金融再生委員会の信用金庫に対します検査権限は、信用金庫法の88条第一項の規定で金融監督庁長官に委任をされ、この長官の権限についてさらに信用金庫法の88条三項及び同法施行令第十条第二項、さらに同法施行規則27条一項六号、この規定によりまして、金融監督庁長官から財務局長に再委任をされている、こういう形になっておりまして、実際の検査の執行は、先生ただいまおっしゃいましたとおり、財務局の検査官がこれを実施するということで今まで遂行してきております。
○佐々木(憲)委員 監督庁が委任をして地方財務局が実施をしている。そうしますと、天下りとの関係でありますけれども、かなり細かく天下りが行っておりますが、天下りを受け入れている信用金庫と天下りを受け入れていない信用金庫に対して、例えば受け入れていないところに対してはかなりきつい検査をやるとか、受け入れているところは甘いとか、そういうことはありませんか。
○五味政府参考人 結論から申しますと、そういうことはございません。どの金融機関であれ、検査に入りますときには検査に使います指針をそれぞれ確認いたしました上で入ってまいります。OBがいるいないで、検査の内容に厳しかったり緩かったりということが出るということはございません。むしろ、検査官の体験談を聞きますと、金融検査の実務の経験が長いOBさんが行っている信用金庫に行った場合というのは議論が結構沸騰いたしまして、そういう詳しい方がおられないところですと検査官のいろいろな指摘になかなか十分なお答えをいただけないケースもあるのですが、そういう信用金庫の場合には逆に検査に際しましてのいろいろな意見交換で議論が沸騰しまして、かえってその信用金庫の問題点が明らかになるというようなケースも多い、こんなふうに聞いております。
○佐々木(憲)委員 先ほどの住専の庭山さんのような、先輩が相手側の信用金庫にいるとなかなか検査がやりにくい、こういうこともあり得るわけでありまして、したがって、この天下りの問題というのは大変重大な、是正の対象となるべき課題だと私は思います。
東海財務局の事例を皆さんにお配りした資料の20ページから22ページまで、紹介をしておきました。これは、平成1年から11年度にかけて、東海財務局の課長以上の幹部が金融・証券関係の会社にどのように天下っているかを示したものであります。この時期の勧奨退職者、いわゆる肩たたきを受けて退職した幹部ですが、51人います。そのうち、金融・証券関係の会社に再就職し、現に勤務している者は40人であります。その退職時の平均年齢は51・3歳であります。定年よりも九歳も若くして天下りしているという実態であります。
重要なのは、過去の関係部署でありまして、金融・証券検査、こういうところに関連をしている方々がこのうちの27人、67・5%、約7割に上っております。大蔵大臣にお聞きしますけれども、こういう関係、これは大いに好ましいというふうにお思いでしょうか。それとも、これはちょっと行き過ぎだというふうにお思いでしょうか。どちらでしょうか。
○宮澤大蔵大臣 それはなかなか何とも言えないところがございまして、先ほど申し上げましたように、信用金庫となりますとかなり専門的な知識がありませんと実務の運営が難しいものでございますから、そういう人が地域にざらにいるわけではない。当然のことですが、やはり財務局なんかにおりまして、それも地域に住んでいるということから、地域の縁もできている、よくも悪くもお互いに顔見知りでもある、そういうことでございますから、あそこにあなたは勤めていらっしゃるが、おやめになったらうちへ来てくださいませんかといったような関係が比較的自然にできやすい。無論、そうばかりじゃございません。そうばかりじゃございませんが、できやすいということがあって、私は、人物経済からいうと比較的いい方の関係ではないだろうか。
無論、あの人がいるから検査を手控えするなんということは、とてもとてもそんなことができるこの世の中じゃございませんから、そんな心配はございませんけれども、金庫がうまく、法令に従ってえこひいきなく運営されているということには、私は、こういう人事関係が貢献している場合の方が多いのじゃないかと。一般には申し上げられないことですが、そういう面もごらんいただきたいという気はいたします。
○佐々木(憲)委員 私は逆の面から見ておりまして、専門的な知識というのは当然必要でありますが、何も外から呼んでこなくても、それぞれの信用金庫の中からそういう能力のある方を役員にすればいいわけでございまして、その信用金庫に人材がいないから全部外から持ってこなきゃいけないということではないと思いますね。そういう意味で、私は、このような状況は大変好ましくないと思います。やはり、ここはしっかりと規制をするということがお互いの関係にとって好ましいことだと思うのです。
4月から、信用組合が約300、都道府県の管轄から監督庁、財務局の管轄に入るということになりますね。そうしますと、これは谷垣大臣にお聞きしますけれども、今は都道府県との関係が深いわけで、大蔵省との関係が薄いということでしょうか、天下りは九人しかございません、先ほどの数字を見ますと。しかし、監督庁の管轄に入りますと、これは信金のように6割、7割という規模で天下りの対象になる、天下り先になるんじゃないかと私は危惧するのですけれども、そういうふうにならない保証はありますか。
○谷垣金融再生委員会委員長 金融再生委員会、金融監督庁は、まだ歴史の新しい役所でございますので、幸か不幸かと言ってはいけないかもしれませんが、まだ一人も天下りを出したという経験はないわけでございます。
しかし、今委員が御指摘のように、この4月から信用組合が国の権限になってきた。それで、一番大事なことは、大蔵省から我々は分かれてきたわけでございますけれども、先輩がいるということで手心が加えられるなんというようなことがあってはならないわけでございまして、もうこの委員会でもたびたびお答えをしておりますが、こういうふうに行政の組織が変わってきたということは、行政の手法も変えていって、透明な手法で、ルールに基づいてきちっとやっていこうということでございますから、そこは我々、決意を込めて、必ずきちっとやるということを申し上げたいと思います。
ただ、先ほどの宮澤大蔵大臣がおっしゃったことと同じでございますけれども、私も天下りが全部悪であるというような見方はやや狭いのではないかなと思っておりまして、これだけ高齢化にもなってまいりますと、お年をとってもまだまだ元気だという方の働き場所というのは私は必要だろうと思っております。
私も、ある金融機関の方に聞いたことがございますが、なかなかこの分野で練達な人を求めるのが難しい、むしろ、経営している立場からいうと、どこに問題点があるか専門的立場から指摘をしてくれるような人がいるとありがたいんだというお話、私、この職につく前でございますが、そういう話を聞いたこともあります。
そんなにきれいにばかりいっているかという御批判がありましょうが、私はやはりそこのところは、金融機関に行っていただいたら、その金融機関の経営を少しでもよくしていく、透明なものにしていく力になっていただきたいし、また、私たちも、先輩がいるからといって手を緩めずにきちっとやる、そういういい関係をつくるように努力をしたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 まだまだ元気だという人がいてというお話がありましたが、平均51歳で肩たたきして、やめなさいと。それは元気ですよ、51歳は。60でやめて別なところという場合は今おっしゃったようなことは成り立つでしょう。しかし、組織的にこれだけの大量の人たちをみんな見ていただきたい、先ほどの東海財務局の年齢は、51、52、全部そういう年齢であります。一斉にその年齢になったら天下り先にもう既にポストが用意されている、こういうやり方というのが大変問題なわけであります。
ここに衆議院の決算行政監視委員会に提出された公務員制度改革・天下り問題に関する関係資料というのがあります。これは平成10年3月に提出されたんですけれども、この中に、人事院の新たな時代の公務員人事管理を考える研究会というのがありまして、そこの委員の意見の中間整理というのが出ております。それを見ますと、「組織的な再就職斡旋が制度として定着していることがおかしい。これをどのようになくしていくのかを考えるべきではないか。」というふうな意見が出ております。私は、ここで言っている「組織的な再就職斡旋が制度として定着している」という表現、これは一体どういう意味なのか。先ほど言ったように、大蔵省が50を過ぎるともう一斉に肩たたきをやって、天下り先も全部用意して、それで関係業界にどんどん天下りさせていく、こういう制度が定着しているのですか。この点をお聞きしたいのです。
○宮澤大蔵大臣 非常に言葉の正確な意味でお答えするのは難しゅうございますけれども、今ここにこれだけの人が就職しているというようなことは、もとより一朝一夕にできることではございません。やはり長い間そういう、制度とは申しませんが、慣行のようなものがあって、そして、あるときまでは余り疑わずにお互いがそういう関係ででき上がっておったと申し上げるのが、恐らく正直なお答えだろうと私は思います。
だから、それはいいのかとおっしゃられれば、まさに問われなければならないことでございましょう。ただ、偶然にこんなことができてしまったというお答えは、どうも正直でないと思います。
○佐々木(憲)委員 宮澤大蔵大臣にお聞きしますが、このような日本的天下り制度は日本独特のものではないかと思うのですけれども、国際経験豊かな大臣の知識からいって、このような天下りの仕組みというのは欧米ではありますでしょうか。
○宮澤大蔵大臣 存じません。寡聞にして存じません。
○佐々木(憲)委員 これも決算行政監視委員会の資料を見ますと、こういうふうに書かれておるのです。簡単に結論だけ言いますと、欧米ではないのです、こういう仕組みといいますか天下りという現象は。
アメリカは、政治任命以外の公務員は、年金支給開始年齢、大体57歳から62歳であります。そこまで勤めて年金による老後生活に入る場合が多い、転出するケースでも組織的に支援されることはない、こういうふうに報告されています。イギリスの場合、上級ポストにおいて普通退職年齢60歳で退職する者は、退職年金を十分支給されるので、民間等に再就職することは一般的でない。具体的なポストの世話をすることはない。イギリスの場合、彼らはその生涯をほぼ行政の世界で送る。これはイギリスです。フランスは、年金支給開始年齢後の再就職はまれである。年金支給開始年齢まで大体勤めて、その後の再就職がまれである。ドイツは、一般的には定年年齢である65歳、本人の申し出では62歳ですけれども、そこまで勤務し、再就職はせず、恩給生活に入る。
大体、国際的には日本のようなこういう天下りの制度というのはないのです。これはやはり日本的な特殊な状況だと思うのですけれども、そうお思いになりませんか。
○宮澤大蔵大臣 一つは、やはり老後の年金と申しますか、そういうものの整備の問題があるように思いますね。各国で確かに公的年金あるいは私的年金、それが多うございますから、それで暮らせる、そういうことが一つございますと思います。
それから、割に日本人はやはり働きバチですから、50になったらどこかで牛でも飼おうなんていっても、そういう場所もそうございませんし、やはり何か働きたいという気持ちももう一つある。
それからもう一つは、駐在のお巡りさんが村の人と仲がいいように、お役人と住民というのは日本は仲がよろしゅうございますよね。敵でないということがやはり一つありますので、したがって、やめた後、そういうコミュニティーに入りやすいということもあるのだろうと思います。
いろいろありまして、恐らく日本的な、かなり日本的なしきたりだろうと思っておりますが、やはり一つは年金のようなものの不備ということが関係しているということは間違いないだろうと思います。
○佐々木(憲)委員 今の大臣の御答弁でありますが、これはちょっと私、納得できないのですね。つまり、行政の側が組織的に天下る仕掛けをつくっているわけですよ。だから、そういう日本的な天下りの状況というのが延々と続いているわけです。何も51歳でやめなければならぬということはないので、60まで勤めればいいわけです。上がつかえるからという話もあるけれども、そんなのは関係のない話でございます。
そういうことを、今は方向としては人事院もそういう方向に切りかえようということを先ほどおっしゃいましたが、やはり抜本的に、このような天下り先をたくさんつくって次から次へと入れかえるというようなやり方は、これは業界と行政、あるいはもっと言えば政治との癒着の一つの典型的な形式になっていると私は思うのです。そういうことのないように、ここにやはりメスを入れて天下りそのものを禁止する、基本的にはそういう腹構えで癒着を断ち切るということをぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、大蔵省の内部の人事政策についてお聞きをしたい。
国家公務員法の第108条の七では、「職員は、職員団体の構成員であること、これを結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと、又はその職員団体における正当な行為をしたことのために不利益な取扱いを受けない。」とされております。また、人事院規則8―12、第二条では、「いかなる場合においても、」「法第108条の七の規定に違反して職員の任免を行つてはならない。」こう定めております。これは当然のことで、憲法14条の法のもとの平等、信条による差別禁止ということから出てくる要請でもあります。当然大蔵省もこれを遵守しなければならないと思いますけれども、人事院としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
○中橋政府参考人 国家公務員法108条の七、人事院規則8―12等につきましては、今先生がお読み上げになられましたような規定でございます。そのような趣旨を当然各省庁においても人事管理の上において遵守し、厳正、公正に運用されていかなければならない、かように考えております。
○佐々木(憲)委員 大蔵大臣も当然そういう立場だと思いますけれども、一度確認しておきたいと思います。
○林政府参考人(大蔵大臣官房長) お答え申し上げます。
大蔵省は従来から、職員団体との間に正常な労使関係が保たれるように努めてきたところでございます。職員団体の健全な発展を望んでおりまして、したがって、職員団体の正当な活動に制限を加えたり、あるいは介入したり、あるいは不利益な取り扱い、こうしたものは行っておりませんし、また行う考えもございません。
○佐々木(憲)委員 では、大蔵省は正規の業務として、職員団体の組合員がどんな動きをしているか、これをひそかに調査したり、組合活動の情報を収集する、こういうことを大蔵省の仕事として、大蔵省の業務としてはやっていないということでよろしいですね。
○林政府参考人 先ほど申し上げましたように、職員団体との間に正常な労使関係が保持されるように努めてきたところでございまして、職員団体の正当な活動に制限を加えたり、介入したり、あるいは不利益な取り扱いは行っておらないし、また、行うつもりもないということでございます。
○佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、職員団体の組合員の動きや、あるいは職員団体そのものの情報を収集するということを業務としてはやっていないかということを聞いているのです。
○林政府参考人 先生の御指摘は御配付になられました資料についてだと思いますが、この御配付になられました資料の「静岡支部臨時大会の開催結果について」の業務記録を今拝見いたしますと、財務事務所の総務課長が、職員団体の窓口の担当として所内で開催された静岡支部の臨時大会の結果を聞いたもので、備忘録としてメモしたものであると思っております。
したがって、職員団体に対する不当な干渉を行っているものではないというように私どもは理解しております。
○佐々木(憲)委員 今、先に資料のことをおっしゃいましたが、これは、静岡財務事務所が業務記録として残しているものであります。平成8年7月31日付で、区分は「情報」という区分でありまして、件名「静岡支部臨時大会の開催結果について」。この中には、大会の参加者31名、ほかに委任状五名というようなことまで書いてありまして、そして、支部長がどんなあいさつをしたか、修正案等の説明、採決、代議員の選出などの内容が詳しく書かれております。
これは備忘録だというふうにおっしゃいましたが、まさにこれは業務として記録をし、業務として情報を報告しているのじゃありませんか。これは備忘録じゃないですよ。しかも、起案者がいて、総務課長の判と所長の判がある。これを大蔵省に正規に報告をしているということじゃないのですか。
○林政府参考人 先ほども申し上げましたように、「業務記録」と書いてありますが、財務事務所の総務課長が職員団体の担当の窓口であるということで、所内で開催された静岡支部の臨時大会の結果を聞いたものということで、備忘録としてメモしたものである。
先生の御指摘の、業務かどうかというのはなかなか難しゅうございますが、私どもは、これは備忘録としてメモしたものでありまして、これ自体、職員団体に対する不当な干渉とかそういうことではないというように理解をしているということでございます。
○佐々木(憲)委員 これは、業務記録として本庁に報告されているのですか。
○林政府参考人 「業務記録」となっておりますが、性格としては今申し上げましたような備忘録でございまして、なお、私ども本省の方にはこれは報告されておらない、そういう性格のものでございます。
○佐々木(憲)委員 このようなことを出先の財務局が勝手にやるということは考えられないわけでありまして、地方財務局を担当している大蔵省の地方課が、地方財務局の総務課に対して、組合の情報を収集し報告するよう意識的に指示をし、そして提出をさせているとしか考えられないわけです。これを大蔵省が指示してやらせているのじゃありませんか。
資料を見ていただきたい。次の24ページの資料であります。
ここには、地方課職員補佐から各局総務課長というふうに、これは指示文書であります。上の方に読後破棄と書かれておりまして、何で読後破棄しなきゃならぬのか。よっぽど後ろめたい文書だと思うのですけれども、一つは平成10年11月2日付、もう一つは平成10年10月30日付であります。
こういう裏通達を出して、11月2日付の指示文書には、組合幹部や一般職員に対する特定の文書の伝達の方法、質問、当局回答、その後の反響等、「(含む情宣紙・添付)」などと書いてありますね。しかも、この裏通達が出されたのが11月2日であります。そのわずか2日後の「11月4日(水)午後5時までにファクシミリにて、報告されたい。」こういうふうに書かれている。先ほど業務報告は受けていないと言っていましたけれども、これは明らかに、情報をとり、そしてその情報を中央に報告するようにという文書であります。
重大なのは10月30日付の通達であります。
ここには、「情報の収集等については、日頃から留意していただいているが、」ということはこれは常にやっているということですね、「今後、下記事項には十分配意願いたい。」と書かれている。「合同庁舎入居官署の組合の動向」として、「合同庁舎入居の他官署組合の動向を入手した場合には速やかに報告。」何でほかの組合のものをこのように報告しなきゃならぬのか。「また、掲示板に行革関連の情宣紙の掲示があった場合には、可能な限り要旨を把握し報告(対応には十分注意)。」と書かれております。
しかも、「職場集会」として、「力量を客観的に見る重要な情報にて、集会結果は原則当日中に報告。 幹部の発言内容は後刻で可(情報収集に努めること)。」となっております。また、「他の単組との接触状況 署名活動等で加盟共闘以外と接触していないか注視。」と書かれております。
つまり、情報を収集し報告するよう大蔵省が指示し、その指示文書は読後破棄で、いわば裏通達を出してこういう組合活動の情報を積極的に収集しているということが明らかではありませんか。そういうことをやっているのですね。
○林政府参考人 先生のただいま御指摘になられました二つの資料につきましては、当時の中央省庁等改革におきます公開資料、これは職員の勤務条件にも大きく影響するところでございますので、組合に対して提供をし、そのときの反響を把握しようというものでございます。
あくまで、省庁改革の中の職員の心情把握といいますか、職員にも影響するところであるからということで組合にこうした資料を提供した、そのときにどういうふうに組合が反響したかというものを把握するためのものでありまして、職員団体に対する不当な干渉とかいうようなものを行うためのものでは全くないということでございます。
○佐々木(憲)委員 反応を見ただけだと言うけれども、この文書の内容を見ますと、「他の単組との接触状況」、何もこれは反応じゃありませんよ。「署名活動等で加盟共闘以外と接触していないか注視。」「集会結果は原則当日中に報告。」こういうふうになっているわけですね。これは何も反応を見ただけじゃありませんよ。組合活動そのものの具体的な動きを把握し、それの対応策を考える、当然その前提となる資料収集をやっている、そういうことになるのじゃありませんか。まさに干渉のための情報収集であります。
しかも、こういう指示文書が何で読後破棄というふうになるんですか。読後破棄にした理由は何ですか。
○林政府参考人 読後廃棄にした理由というお尋ねでございますが、これは、この文書を、一時的に情報収集するということでやっておりますもので、この文書自体を長期間にわたって保存するものではない、そういう趣旨で読後廃棄ということにしておるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 これは全くの言い逃れにすぎません。こういう文書が表に出たらまずいから読後破棄になっているはずであります。書かれている内容が、まさに組合に対する事実上の干渉であります。干渉、監視であります。
私は、このような通達、いわば読後破棄というふうに書かれているこういう通達をすべて調査の上、過去の通達を全部ここに出していただきたい。
○林政府参考人 先生から通達というお話がございましたが、これはあくまで、先ほど申しましたように、省庁改革の中でどういうような職員の人たちの反応があるのかということを把握したいということからやったものでございます。
それから、先ほど答弁し忘れましたが、他官庁の分についても何でそんな情報を収集するんだという御指摘もありました。ただ、これは、地方支分部局を一本化しようというような議論も行革の中ではなされていた、そういうことを踏まえて、他省庁の支分部局、こういうところの反響も同時に把握しておきたいということでなされたものでございます。
職務に基づくあれでも、まさにそういう趣旨で、できるだけの職員の反響を知りたいということでやったものでありまして、通達というか、職務権限に基づいて権力行使をするというような行政のあれではございませんので、そのところは御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 反響を知りたいということで出した文書であれば、そのほかの文書も含めて全部、当委員会に資料として提出していただきたい。それは約束してください。
○宮澤大蔵大臣 そのお約束はできません。読後廃棄なんという公文書はあり得ませんから、私文書だと思います。
○佐々木(憲)委員 私文書であろうが、組合の情報を収集する、そのために、先ほど認めたように、これは反響を知るために出した文書だと。読後破棄というのは、そのときだけのものであるから破棄だと書いたと。要するに、私文書じゃないですよ。公的な業務としてこの文書を出したということは明らかじゃありませんか、先ほどの答弁では。公的な業務の一環として、当然の仕事としてこういう文書を出した、そうおっしゃったんだから、これはぜひ出していただきたい。このことを要求したい。
委員長、これは理事会でも検討していただきたい。
○金子委員長 委員長としては預かれません。
引き続き、政府側に質疑してください。
○佐々木(憲)委員 答えないので、これは理事会で検討することを要求します。
○金子委員長 林官房長。
○林政府参考人 これまで申し上げましたように、当時の中央省庁改革という中で、これは職員の勤務条件にも大きく影響するところなので、組合に対してこういう情報を提供して、そのときの反響を把握しようという、まさに地方課の、これは地方課というところが担当しておりますが、そこの担当職員がいわば個人的にそういう情報収集をする、そういう性格のものでございます。
したがいまして、この中の資料に、これは地方課の職員がつくりましたもので間違いございませんが、先ほどの公文書のような形にはなっておりません。そういうことを御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 答弁が支離滅裂であります。先ほどは、情報を収集するために、反響を知るために仕事としてやったと。今の答弁は個人的にやったと。全然違うじゃないですか。
だから、本当に言い逃れにすぎないんですよ。結局、この文書は、表に出たらまずいという文書なんですよ。だから読後破棄になって、そして、組合の情報をこういうふうに収集しているということが知られると非常にまずい、そういう後ろめたい文書だということを事実上認めたことになる。
次に聞きたいのは、地方財務局についてですが、地方財務局が開いている管内の所長会議、この会議はどんな目的で行われているか、年何回開いているか、参加者はどのような範囲でありますか、答えてください。
○林政府参考人 ちょっと正確に、突然のお尋ねでございますのであれですが、大体、年三回程度実施しております。
地方の財務事務所、大きい財務事務所ではそこの次長も参りますが、財務事務所長と次長、それから財務局の局長以下幹部が集まる会議でございます。
○佐々木(憲)委員 この会議では、組合活動に対して大蔵省財務局がどのように介入するか、その方法について打ち合わせるということはやっていませんか。
○林政府参考人 やっておりません。
○佐々木(憲)委員 そんなことはありません。
お渡しした資料の27、これを見ていただきたい。27ページの資料であります。「管内所長会議所長携行資料」、こういう文書であります。これは私がたまたま入手したものですけれども、作成者は静岡財務事務所の総務課、東海地域の管内所長会議に静岡財務事務所の所長が持っていく資料であります。ここには驚くべきことが書いてある。
「平成11年度静岡支部執行部体制について」という項目があります。こんな項目自体、こういうところに掲げること自体、重大問題であります。そして、「次の三案が考えられる。」こう書いてあります。第一案として、「三役のうち一役を良識派が占める。」何ですか、この良識派というのは。ここで言う良識派というのは、一言で言うと、当局の言いなりになる当局派のことであります。第二案は、「三役のうち二役を良識派が占める。」第三案は、「三役全てを良識派が占める。」この三つの案の可能性を検討しているわけであります。
ここに書かれている「M3S3O」というのは、組合活動家のイニシアルを使った符号であります。第二案のところを見ますと、「三名のうち一名を11年度に転勤させることにより、三名で保持していた力を減少させ、良識派が書記長に加え、支部長もしくは副支部長を占めることとする。」こう書かれています。とんでもないことです。
第三案のところを見ると、「この案を実行するためには、総務課、人事課の次の協力が必要と思われる。」「M3S3O三名のうち一名を11年度に転勤させる。」「二役の対抗馬を人事異動で静岡へ転勤させる。」と書かれております。
これは人事権の乱用であります。人事権を使った組合への明確な介入、不当労働行為であります。財務局管内の所長会議ではこんなことを検討しているのですか。
○林政府参考人 ただいま御指摘になられました管内所長会議所長携行資料でございますが、これは、現時点では、だれが一体どのような目的で作成したものなのか、私ども承知しておりません。静岡財務事務所を所管いたします、これは東海財務局でございますが、そこで事実関係を調査させたいと思います。
いずれにしても、大蔵省としては、先ほど来申し上げておりますとおり、職員団体の正当な活動に制限を加えたりあるいは介入したり、あるいは不利益な取り扱い等は行ってはならないというように考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 ここで提出した資料というのはすべて真実の資料であります。検討している内容を見ると極めてリアルなんですね。
例えば、第二案のところでは、「三名のうち異動に比較的問題がないと思われるのは、11年度の身上申告書「一身上の事情」欄に特に記述のないMが無難である。」「他の二名については、本人、家族の健康問題及び経済問題があり静岡を離れて異動させることは難しいと思われる。」こう書かれているのですね。こういうことは当局でなければ決してわからない内容のものです。だれかが勝手に書いたものではありません。
それだけじゃない。次のページを見ていただきたいのですけれども、29ページであります。上に昨年9月22日の定期大会で決まった新しい執行部体制について書かれております。下の方に「平成11年度の執行体制及び展望」という見出しがあります。そこには、「将来の組合役員候補者を育成するべく有能な若手職員を複数執行委員に参加させている。 なお、10年度執行委員であったN、Yは、職場集会等の場でS、Oの政治的発言に対して牽制と批判を行い、S、Oの発言が健全で正当な組合運動を阻害する要因となることを一般の組合員に知らしめることとする。」こういう方針が書かれている。だれがどんな発言をするのか、そういう方針まで書いてある。これは明らかに組合への不当な介入であります。国家公務員法、人事院規則違反であります。
これは直ちに調査をし、こういう事実をやっていたということであればそれに対してきちっとした処分をしてもらいたい。そして、今後こういうことがないようにきちっとした対応をしてもらいたい。こういうことをやめてもらいたい。いかがですか。
○林政府参考人 先ほども申し上げましたように、この資料は一体だれがどのような目的で作成されたものなのか、現時点では承知しておりません。したがいまして、東海財務局に事実関係をできるだけ早急に調査をさせたいと思います。
○佐々木(憲)委員 答弁としては、今の段階では私が提示したばかりですから、時間的には調べる時間がないと思いますので、直ちにこれは東海財務局に調査をさせ、そしてこのようなことが行われないように是正をしていただきたい。
こういう形で組合に対する介入というのが、これまで何回か繰り返されてきております。人事権を使って、気に入らない組合員をその執行部から外すように転勤させる、その転勤の条件があるのはこの人間だ、こういうことまでやっている。それを財務局管内の所長会議で、この文書を使って検討している。2日あった財務局の所長会議のうちの最初の日は全体会議をやる、2日目には個別に財務事務所の組合の対策をやる、静岡の場合はそういうことをやっているのじゃありませんか。これは、私が知り得た情報ではそういうことが確実に行われている。
このことは、まさに今問題となっている労働組合に対する介入であり、大蔵省の内部のまさに民主主義そのものにかかわる重大な問題であります。内部でこのような監視体制をとり、情報を収集し、上からの指令で情報を集め、そして財務局はそれぞれの組合に対してこういう形で直接介入をし、当局の言いなりになる組合をつくっていくという、とんでもない話であります。
こういうことが繰り返されれば、私は日本の行政というのは内部から腐っていくと思います。対外的に天下りをしたりあるいは銀行業界との癒着を深めていくというような問題も、これまでも繰り返し指摘されてきましたけれども、そういう体質は内部にも反映するわけであります。こういうことが二度と起こらないように、私はしっかりした対応をやってもらいたいのです。
最後に、大蔵大臣と金融担当大臣のこの点についての決意を聞かせていただきたい。
○宮澤大蔵大臣 書類の性格を調べるそうでございますから、それからにいたしましょう。
○谷垣金融再生委員会委員長 大蔵大臣と同様でございます。
○佐々木(憲)委員 それでは、調査をした上、調査結果を当委員会に報告していただきたい。その上でしっかりした議論を私はしていきたいと思っております。具体的な調査の内容の報告を当委員会にしていただくというその約束だけしていただけますね。
○林政府参考人 まず調査をしっかり行いまして、その結果を踏まえた上で対応したいと考えております。何とぞ御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 もう時間でありますから以上でやめますけれども、しっかりした対応をして、正当な組合活動、正当な職員組合の動きに対して干渉をすることのないように、最後に繰り返して申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
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