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財政(予算・公共事業)

2000年04月21日 第147回 通常国会 大蔵委員会 【110】 - 討論

資金運用部法等改正案に対し反対討論

 2000年4月21日、財務金融委員会で、資金運用部法案等改正案の討論・採決が行われ、佐々木憲昭議員が反対討論を行いました。
 この法案について、佐々木議員は、19日に質問しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の資金運用部資金法等の一部改正案に反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、財政投融資制度を民主的に改革するのではなく、事実上解体に導くからであります。
 財政投融資制度は金融的手法を使った財政政策の一環であり、予算と並び公共政策の重要な政策手段であります。ところが本法案は、その財源部分と使途とを切り離し、市場原理にゆだねることによってこれを事実上解体に導こうとするものであります。
 財政投融資の現状は多くの問題を抱えており、そのあり方が大きく問われております。しかし、問題は制度それ自体にあるのではありません。この制度を利用して、専ら浪費的な大型公共事業や大手企業のための産業基盤整備などに大規模に投融資し、また一般会計の赤字を当面糊塗するために財投資金を利用した結果、本来の姿から大きくゆがめられたことが問題なのであります。したがって、この制度を解体するのではなく、ゆがみにメスを入れ、正すことこそ必要であります。
 第二に、郵貯、年金の預託義務廃止と全額自主運用がもたらす問題であります。
 本法案によって、従来の自主運用の何倍もの約500兆円もの巨額の資金が金融市場で自主運用されます。アメリカでも、クリントン大統領が公的年金資金を株式に運用する提案を行いましたが、さまざまな問題があるとして撤回されました。また、年金や簡保事業団等の資金がこの間多大な損失を受けたことは既に明らかになっています。この教訓から学ばず、安全であるべき郵貯、年金などの国民の財産を危険なリスクにさらすことは断じて容認できません。
 第三に、国民生活関連の財投機関の縮小整理につながる問題であります。
 個々の財投機関が公的な機関として必要かどうか、また、どの程度の国の関与や財政的な援助が必要かは、国の政策判断で決めるものであり、市場が決めるものではありません。本法案により個々の財投機関に資金の自己調達を求めるなど市場の評価にさらすことは、もともとその力が弱い国民生活金融公庫、住宅金融公庫などの政府系金融機関、福祉、教育関係など国民生活関連の財投機関を破綻に追い込む結果を招くのであります。
 第四に、ディスクロージャーの重大な後退になるからであります。
 今後、財政投融資計画の国会提出は、確かに法律上義務となります。しかし、財投原資の大宗を占める郵貯と年金積立金が預託義務を解除されることなどによって、財投計画の範囲は縮小します。そのため国民から財投の全体像が見えにくくなり、同時に国会への報告や議決の範囲も全体として縮小され、国民によるチェックも困難になるのであります。
 第五に、巨額の財投債の発行が新たな深刻な問題を引き起こすことであります。
 財投債は、従来の国債とその性格を異にするとはいえ、国が最終的に償還責任を有する点では同じものであります。数十兆円を下らない巨額の財投債という新国債の発行は、我が国財政を一層危機に追いやるものであり、その償還は国民の負担になります。また、その消化問題をめぐって新たな深刻な問題を引き起こすことは必至であります。
 最後に、本改正案は、50年に一度あるかないかの重大な制度改革法案であるにもかかわらず、短時間の審議で国会を通過させるやり方に遺憾の意を表し、私の討論を終わります。(拍手)

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