2001年06月13日 第151回 通常国会 財務金融委員会 【134】 - 討論
特定融資枠契約法一部改正案への反対討論
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、特定融資枠契約法一部改正案に反対する討論を行います。
出資法並びに利息制限法のみなし利息規定を適用されることなく、通常の貸出金利に手数料を上乗せすることができる特定融資枠契約は、金融機関が貸し手としての立場の優位性を利用するならば、相対的に立場の弱い借り手に対して手数料稼ぎなどを目的とした不当な契約を強要するおそれを持っています。
一昨年の特定融資枠契約法制定時に法律の適用対象を大企業に限定したのは、弱者保護の観点からであり、当時、法律の提出者は、今後の適用対象の拡大を念頭に置きつつ、弱者保護の手だてを検討することを明言していました。ところが本法律案では、中堅企業に対象を拡大しようとする一方で、借り手保護策の検討は置き去りにされています。提出者は、中堅企業ならば金融機関と対等な立場で交渉できるとしていますが、貸し渋りの横行の中で中堅企業もその被害を受けていたことに照らせば、その保証はありません。
その上、本法律案には、施行後2年をめどに検討を加えるとの条項が改めて盛り込まれており、引き続く中小企業への対象拡大に道を開いています。本法律案による中堅企業への対象拡大は、中小企業を含む近い将来のコミットメントライン契約の全面的な解禁に向けたステップの一つであり、認められません。
コミットメントライン契約について、資金調達の機動性の確保など企業側のメリットが強調されていますが、その恩恵を受けるのは、銀行と対等に交渉し得る財務基盤を持った一部の優良企業に限られます。そのような力を持たない企業にとっては、金融機関主導の融資契約を強いられ、事実上の高金利を甘受せざるを得ないこととなります。今金融機関は、収益至上主義の経営姿勢を強めており、収益性を物差しとした貸出先の選別を強めています。コミットメントライン契約は、そのてこともなり得るものです。
従来、銀行は、当座貸し越し約定に基づき企業の機動的な資金需要に対応してきましたが、貸し渋り姿勢のもとでそれを後退させてきました。コミットメントライン契約は、融資からも手数料収入を得ようというものであり、その拡大は、収益第一の経営方針をとる大手銀行の要求でもあります。我が党は、このような方向を推し進めることには賛成できません。
以上の理由から、本法律案には反対であることを表明し、日本共産党を代表しての討論といたします。(拍手)