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財政(予算・公共事業), 金融(銀行・保険・証券) (不良債権処理, 予算案)

2002年02月27日 第154回 通常国会 予算委員会≪公聴会≫ 【159】 - 質問

公聴会で、不良債権処理問題などで質問

 2002年2月28日、予算委員会で公聴会1日目が開かれ、佐々木憲昭議員は、二宮厚美神戸大教授、小池俊二大阪商工会議所副会頭に不良債権処理問題などで質問しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 公述人の皆さん、本当に御苦労さまです。余り質問の集中していない二宮公述人と小池公述人に、特にバランスのために集中してお聞きをしたいと思います。
 まず、二宮公述人でありますが、昨年の秋ごろから景気が急に悪くなってまいりまして、その理由ですけれども、これは政治、政策と非常に関連があるのではないかと私は思っております。とりわけ小泉改革、構造改革あるいは不良債権処理、これはまだ初期段階でございまして、不良債権処理は2、3年で最終処理というわけですから、まだ始まったばかり。これがこれからかなり深刻な影響が広がるのではないかと思いますけれども、現在の景気の実態、それから今後の展望について、二宮公述人にまずお聞きをしたいと思います。
○二宮公述人(神戸大学発達科学部教授) 御指摘のように、小泉政権が発足後、景気は、統計的に見ましても悪化の色をさらに濃くしている。
 森政権の当時までは、大ざっぱに言って三つぐらい景気を支える要因があったと思います。一つは、アメリカが好調でありましたので、輸出が、日本のお家芸でありますけれども、それが多少日本経済を支えた。それから、大盤振る舞いでありましたけれども、公共事業のばらまきが行われた。それと、ITの投資ブームがまだ、残り火でありますけれども残っていた。これらが、小泉政権の発足の後、文字どおり総崩れでありまして、一切なくなってしまった。
 そこへ、構造改革というのは、さっきも申し上げましたように破壊でありますから、一切、先ほどから話題になっているような需要面から景気回復を図るというそのやり方を放置して、それで供給サイドで破壊をしていく。したがって、投資も消費も伸びない。それを不良債権の処理でさらに強化するということであります。
 私は、今度の国会の冒頭の経済演説で竹中大臣が、アメリカの景気回復に伴って今年後半に輸出が回復すれば、日本の経済成長が辛うじてゼロ%ぐらいに終わるんじゃないかというふうなことを述べていらっしゃいましたけれども、まさにそれは本音だろうと思うんですね。つまり全く見通しがないという状況でありますから、まず視点を内需の回復というところへ置きかえて、構造改革とは違う道を選択すべきだというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 その内需の回復でありますけれども、その際に、やはり財政の役割というのは非常に大きいと思うんですね。ところが、来年度予算が提案されましたが、財政構造、とりわけ公共事業は、1兆円マイナスとはいいますけれども、今年度の補正予算を合わせますと逆にふえるという形で、長期にそういう状況が固定化しているというふうに思うんです。その理由はいろいろあると思いますが、例えば政官財の癒着構造、こういうものがあるために、そしてまた、そこにしっかりメスが入らないために、この構造が依然として続いている。
 二宮教授は福祉型財政への転換の必要性を先ほどお話しになりましたけれども、そういう方向へ転換しようという場合、この構造そのものを深く究明し、メスを入れるというようなことが必要ではないかと思うんですが、その点、どのようにお考えでしょうか。
○二宮公述人 まさにおっしゃるとおりだと思います。
 今回の公共事業関係の予算は、御指摘のように、来年度の予算案では1割削減、名目でありますけれども、それから、補正予算で2・5兆円積みましたので、総額としてはやはり公共事業依存型の財政構造を続けている。これはなぜそうなったかということは、これまでの経過からすると、いわゆるマスコミ流の言い方からいたしますと、構造改革派と抵抗勢力との妥協といいますかなれ合いというか、結果がそういうことになったと思うんですね。
 ですから、そこに根本的にメスを入れないと政官財癒着の構造を断つことができない。では、それを真剣にやっているかといったらば、予算委員会で佐々木議員がODA疑惑について質問している姿をテレビ等々では拝見しておりますが、そのほかの分野でももっとやっていかなければいけない。
 その際に、福祉型財政への転換といいますのは、先ほどの言葉で言いますと、投資依存型の今までの経済構造を、財政を引き金にして、消費依存といいますか消費掘り起こし型の内需に切りかえていかなければいけない。そのときに、消費は個人消費と公共消費と二つに分かれますけれども、公共消費は主に社会保障、福祉分野に回っているお金でありますから、ここを差し当たり拡充すると、先ほども質問がありましたけれども、人々の将来見通しが安定しますので、例えばスウェーデンのように福祉国家が確立していると、国民の貯蓄率がゼロといった、つまり安心して消費ができる。だから、個人消費の拡大とそういう社会保障を中心とする公共消費の拡大を、まさに現在の癒着構造にメスを入れながら、結びつけて達成するということが今最も日本に求められているのではないかということを申し上げておきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。
 小池公述人にお聞きしたいと思います。
 企業の経営で大変御苦労なさっていると思うんですけれども、不良債権処理ということでかなり強力に推進をされているように思いますが、日銀の量的緩和が過去最高レベルで、いわばじゃぶじゃぶと銀行の前のところまではお金が来ている、銀行までは行っている。ところが、その先にはなかなか行かない。その理由ですけれども、それは私は、資金需要が低迷している、つまり、景気が悪い、実体経済が悪いからだというのが一つ。それから、銀行の側が不良債権処理によって貸し出し姿勢が非常に厳しくなっているのではないか、そういう感じがいたしますけれども、実態的にはいかがでしょうか。
○小池公述人(大阪商工会議所副会頭) まさにおっしゃるとおりでして、日銀がじゃぶじゃぶ金融緩和しても、中小企業、先ほどちょっと私申し上げましたけれども、雇用も80・6%を中小企業が引き受けているわけなんですね。大企業は、リストラということで1万人、2万人というものを簡単に解雇する。リストラするということで何千億の債務処理をするわけなんですね、債権を放棄していただくと。ところが、実際に倒産の3分の2は中小企業なんです。要するに、そこにはお金が全然流れません。
 というのは、特に大手行は統合、合併等で自分のことで精いっぱいでございます。現実に、支店の担当者がぐるぐるかわって、過去の経緯なんて一切彼らは存じていないということで、極めてマニュアル的に、どちらかというと非人道的と思われるような措置をするんですね。長期の計画を持っていっても、ちゃらちゃらと見て、私どもの支店ではこれ以上どんな担保があったって上げられませんとか、8日前に手形の銘柄を持ってきてくれ、そうでないと選別して手形割引もできないという、お互いに合併する金融機関同士の台所を締めているようなものでして、要するに、彼らのレベルにおいては自分たちのいわばそれぞれのポジションを確保するのに精いっぱいでございまして、もう余力がないと見ていいわけですね。それほど今大手行の中身は劣化しているわけです。これから具体的に合併していくようなところ、つい最近したところなんかは特にそうでございます。
 したがって、そういう意味で、中小企業にはほとんど、どんなに日銀がじゃぶじゃぶ流しても回ってこないというのが現状でございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。
 終わります。

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