金権・腐敗政治, 景気回復, 雇用・労働 (不良債権処理, 鈴木宗男議員疑惑, 予算案)
2002年02月28日 第154回 通常国会 予算委員会≪公聴会≫ 【160】 - 質問
公聴会で、雇用対策や政官業の癒着問題について質問
2002年2月28日、予算委員会で公聴会2日目が開かれ、佐々木憲昭議員は、評論家の佐高信氏、成川秀明連合政策局長に、雇用対策や政官業の癒着問題について質問しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 公述人の皆さん、御苦労さまです。
時間が短いので、お二人にお聞きをしたいと思います。成川公述人と佐高公述人にお聞きをいたします。
まず、成川公述人ですけれども、デフレ対策の問題についてお聞きしたいと思いますが、昨日、政府がデフレ対策ということで政策を出しましたけれども、その主な柱は、一つは不良債権処理をかなり強力にやっていく、二つはそのために銀行に対する公的資金投入などの支援策を一層強める、この二つが大きな柱になっていると思うのです。
しかし、これはこれまで政府がやってきたことの延長線上であると私は思います。つまり、こういう政策を推進する、不良債権処理を強力に推進するとなりますと、当然失業や倒産というのがふえてくるわけでありまして、つまり、デフレになった原因がまさに不良債権処理でありまして、なぜそれがデフレ対策なのか、デフレ加速策ではないかというのが私の感じでございます。
昨年6月の骨太方針でも、これはデフレ圧力になると述べているわけで、それをデフレ対策と言っているのはおかしいじゃないかと私は思うのですけれども、成川公述人はどのようにこの政策を評価されていますでしょうか。
○成川公述人(日本労働組合総連合会総合政策局長) デフレ対策の基本は、やはり需給ギャップをどういうふうに解消するかというのが基本でなければならない、こう思っております。特に、その中では、供給側だけを整理いたしますと、まさにまた需要が減退するということでありまして、やはり需要をどうやってしっかり支え、伸ばしていくのかという政策が欠かせないと思っておりますが、残念ながら、今回の、一次でありますか、デフレ対策にはそれが見えないということは、基本的にデフレ対策としては全く力がないのじゃないか、私はそう見ております。
ただ、不良債権処理につきましては、やはりしっかり処理すべきものは処理をするということをしませんと金融システムに対する信頼感を取り戻せない、こう思っておりまして、しっかりした情報開示をする中で、不良債権と言われるものがあれば、それを処理するというのは必要であると思います。ただし、その際、それが職場の具体的な雇用に結びつく可能性大というふうに我々は見ておりまして、この点に対しては組合とのしっかりした話し合いが不可欠でありますし、その際、経営側の責任を明確にする中で企業再建策をしっかり講ずるということが雇用の安定のためには欠かせないと思います。
現在までの企業再建処理は、民事再生法等を見ますと、大変経営側に甘く、労働者に厳しく、労働者だけ首を切られるという形になっておりまして、これは、我々としては問題である、早急に労使対等の中で経営再建を図る、そしてこれに対して社会的な支援が必要なものは支援をつけるという体制をつくった上でやるべきだ、こう思っております。
○佐々木(憲)委員 そこで、雇用ですけれども、失業者を出さない、出た失業者に対する十分な対策、それから新しい雇用の創出、これは、成川公述人がほかの雑誌でお話をされているのを私拝見をしまして、そうだと思っております。
そこで、最近の失業増の原因としては、非自発的失業者が非常に多い。その原因が二つありまして、一つは、中小企業者が営業ができなくなって失業者になっていく。もう一つは、企業のリストラ、とりわけ大手企業のリストラの非常に激しい進行が雇用不安を拡大しているというふうに思うんです。
したがって、対応策として、一つは、不良債権処理を時間を区切って大量に一気にやってしまうというやり方、不良債権処理は一定程度私は必要だと思いますが、そういう手法をやはり見直す必要があるんじゃないかと思っております。それともう一つは、企業の社会的責任という面からも雇用の責任というのを果たしてもらわなければならぬと思いますが、この二点についてどのようにお考えでしょうか。
○成川公述人 不良債権処理を進めるに当たりましては、先ほど述べたとおり、しっかりしたルールでやるという必要がありますし、逆に、不良債務を出している側の企業の再建ということでは、労働組合あるいは従業員としっかり話し合う中で再建策を講ずる、その際、労働者が一方的にしわ寄せを受けるということのない体制をつくった中で進めるべきだ、こういうことでございます。
それから、雇用に対する社会的責任ということは全くそのとおりでございまして、まさに雇用を維持できないということは、次の社会の活力を失う、こういうことでございますので、企業家、組合、従業員並びに政治の場でも、本当に国民が力を出すという社会をつくるためには、失業をこれ以上ふやさない、あるいはむしろ失業率を下げる、この手だてを本当に全力を挙げて政治の中心課題に据えてやっていただきたい、こう思っております。
○佐々木(憲)委員 佐高公述人にお伺いをいたします。
来年度予算は今年度の第二次補正とワンセットというふうに見られておりまして、例えば公共事業などは、そういうふうにしますと、前年度からさらにふえていくという形になっておりまして、決してマイナスにはなっておりません。それからODA予算、これも相変わらず1兆円規模であります。外務省分がその半分。そういうふうに従来型の予算が組まれていっているわけです。
なぜこういうふうに組まれているかということですが、やはりそこは、財界、業界、それと政界と行政、このトライアングルの相互依存関係といいますか、もっと言いますと癒着関係というのが私はかなり背景としては大きなもの、深いものがあると思うんです。今回の鈴木宗男さんの問題はその一環だと思いますけれども、こういう政官財の関係にしっかりメスを入れるということが大事だと思いますけれども、佐高公述人はこの点についてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
○佐高公述人(評論家) その辺も私はある種、小泉さんに少しは期待したんですけれども、公共事業の問題でも、具体的に諫早の問題とか熊本の川辺川の問題とか、そういうものをやめるんだということでなければ公共事業の見直しをするということにはならないんだろうと思うんですね。ですから、私がかけ声を呪文のように唱えているだけだと言うのは、そういう意味で申し上げたわけです。
それから、おっしゃるように、政官業の癒着をどういうふうに断ち切るかというのは、私は今まで、官僚でそれなりの頑張ってきた官僚、あるいは保守の政治家の中でも石橋湛山とか松村謙三とか、それなりの良識を発揮してきた人の伝記を書いたりしてきたんですけれども、そのそれぞれの場でそれぞれが頑張ってそういうものをなくするということでなければならないんだろうと思うんですね。
私は、今度の鈴木さんの問題でふっと思うのは、ムネムネ会とかいうのがあったといいますけれども、いざとなると冷たいものだなという感じが非常にしております。企業のリストラ以上に冷たいのかもしれませんし、日本の企業というのは終身雇用だと言われるけれども、一番肝心のときに、今みたいなときに守るのでなければ終身雇用にならないわけですよね。そういうものと自民党の派閥も似ているのかなという感じがいたしました。
○佐々木(憲)委員 終わります。