アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

金融(銀行・保険・証券) (消費者金融・サラ金・ヤミ金)

2009年03月31日 第171回 通常国会 消費者問題特別委員会 【506】 - 質問

ヤミ金被害者の通報を警察が放置 消費者問題特別委員会で質問

 2009年3月31日、佐々木憲昭議員は、消費者問題に関する特別委員会で質問しました。
 佐々木議員は、ヤミ金融に悪用されている携帯電話の情報を提供されていたにもかかわらず、警察が対策をとらずに放置していた問題をとりあげ追及しました。

 2005年に施行された携帯電話不正利用防止法では、他人名義の携帯電話がヤミ金に使われることを防止するため、警察が携帯電話会社に要請して契約者確認を行うことが可能になりました。
 確認に応じない場合は、使用を停止することができます。
 佐々木議員は、大阪クレジット・サラ金被害者の会(いちょうの会)が08年7月に提供したヤミ金の携帯談話番号、約1500件を大阪府警がどのように扱ったかただしました。
 佐藤勉国家公安委員長は、「契約者確認の求めをおこなうなどの措置はとっていない」と答弁し、放置していたことを認めました。
 佐々木議員は、政府の多重債務者対策本部への08年8月の警察庁の報告(07年実績)では、ヤミ金の携帯電話の契約者確認件数は、全国でわずか206件しかないと指摘し、「本人確認ができないときは、法律上はすぐ(利用を)停止でき、被害拡大を防ぐことができる。しっかり対応すべきだ」と追及しました。
 佐藤国家公安委員長は、「被害者の方から具体的な申し出があり、法の要件が満たされる場合は、契約者確認の求めを実施する」と答弁しました。
 野田聖子消費者担当大臣も「いまの取り組みが不十分であるならば、しっかり検討していただく」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、野田大臣にお伺いをいたします。
 消費者被害、とりわけ、私はきょうはやみ金の被害の問題を取り上げたいと思いますが、被害は後を絶ちません。警察との連携を密にして対応するということも大変重要だと思っております。
 消費者行政を推進する大臣として、やみ金対策で警察に何を期待されているか、まず答弁を願いたいと思います。
○野田消費者行政推進担当大臣 消費者庁を創設させていただきましたらどういうことになるかと申し上げたいと思います。
 やみ金融につきましては、暴力団との関係も指摘されることから、消費者への注意喚起に加えて、警察との連携協力が大変重要であるということは論をまちません。
 消費者庁ができますと、やみ金融のような問題が発生した場合、政府一体となった迅速な対応の一環として、消費者利益の擁護の観点から関与させていただくことになります。
 具体的には、消費者安全法に基づきまして、まず、一元化された情報集約ルートをたどって地方公共団体等から消費者庁に事故情報が寄せられる、届けられることになります。
 そして、消費者庁は、集約、分析された情報を消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、消費者に対して速やかに注意喚起を行わせていただきます。
 そして、これとあわせて、所管する出資法、高金利の処罰や、貸金業法、無登録営業に違反する疑いがある場合には、消費生活相談に訪れました消費者に対して警察への通報を促すとともに、消費生活センター等を通じて警察への情報提供も行わせていただきます。
 さらに、犯罪が行われたと認められる場合には、警察への告発を行いまして、迅速な捜査を促してまいります。
 このような形で警察との連携協力を進め、被害の未然防止及び拡大防止に努めてまいります。
○佐々木(憲)委員 迅速な捜査を促すということでありますが、佐藤大臣にお聞きをいたします。
 やみ金業者の中でも、090金融という携帯を使った悪質なやみ金の被害というものが広がっております。やみ金が利用している携帯というのは、本人名義ではなくて、他人名義の携帯なんですね。被害者から奪った携帯などを使っているという場合もあるわけです。したがって、被害者が、この電話番号はやみ金の電話番号だ、こういうふうに情報提供をするということが捜査を前進させる上では大変重要だと私は思うわけです。
 そこで、やみ金が使っているという携帯電話の番号の情報の提供を受けた場合には、警察というのは一体どういうふうに対応するのか、それを伺いたい。
○佐藤国家公安委員会委員長 お答えを申し上げます。
 警察におきましては、やみ金融事犯に使われているとされる携帯電話の電話番号を認知した場合、被害関係者等から事情を聴取するなどいたしまして事実関係の把握を行い、犯罪であると認められるものについては捜査を推進するなどして、厳正に対処しているところでございます。
 また、被害拡大の防止の観点から、やみ金融事犯に使用されていることが判明したときには、警察において、相談者の要望に応じて、当該電話に架電して警告を実施しているほか、携帯電話不正利用防止法に基づく契約者確認の求めを行い、事業者において利用停止の措置をとっていただいているところでございます。
○佐々木(憲)委員 ここに、携帯電話不正利用防止法という法律の解説をしたリーフ、これは総務省、警察庁が共同でつくったものでございます。これを見ますと、「警察から携帯電話が犯罪利用されている等の通知を受けた場合、携帯電話事業者は契約者の確認を行うことができます。」そして、「本人確認を行い、確認ができないときはサービスの停止等の措置をとることができるようになりました。」こうなっているわけです。つまり、本人のものではない、あるいは本人確認が不可能であったという場合は、この電話の使用を禁止するということができるわけですね。つまり、それ以上被害をふやさないというためにはこのことが必要なわけであります。
 それから、政府の多重債務者対策本部が決定をした多重債務問題改善プログラム、これを見ましても、「警察は、ヤミ金による取立てを少しでも早くストップさせるよう、携帯電話不正利用防止法に基づく携帯電話の利用停止の制度を積極的に活用すること」、こういうふうに書いてあります。
 こういう立場でやるということでよろしいですか。
○佐藤国家公安委員会委員長 そのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 そこで、具体的にお聞きしたいんですが、2005年にできました携帯電話不正利用防止法の施行後、この法律に基づいて警察が本人確認のために携帯電話会社に照会した件数、これは何件あるでしょうか。
○佐藤国家公安委員会委員長 都道府県におきまして契約者確認の求めを行う準備が整ったものとして、警察庁が事前に調整するために把握した件数は、法の施行以来本年3月30日までに約2万1千件でございます。
 このうち、実際に携帯電話不正利用防止法に基づく契約者確認の求めを行ったことによりまして停止した携帯電話の件数は、同法の施行以来本年2月20日までに1万456件であると伺っております。
○佐々木(憲)委員 ここに「多重債務問題改善プログラムの実施状況について」という、これは実績をまとめた、多重債務者対策会議でつくったものですけれども、この中にこういうことが書かれているわけです。「平成19年中のヤミ金融事犯に係る電話警告件数は1万557件、同じく携帯電話契約者確認要求件数は206件を実施。」と書いているんですよ。これは206件なんですね。さっきの1万件と、これはどういう関係にあるんですか。たった206件。どうしてこういう数字になっているんですか。
○巽政府参考人(警察庁生活安全局長) お答え申し上げます。
 先ほど国家公安委員長が申し上げました数字につきましては、これはやみ金に限らず、携帯電話不正利用防止法に基づいて行った本人確認調査ということで照会した件数でございまして、先ほど委員がおっしゃられた206件というのは、やみ金に関連して携帯電話不正利用防止法の契約者確認を行った件数でございます。
○佐々木(憲)委員 ですから、私が聞いているのは、やみ金にかかわって具体的に携帯電話契約者確認要求件数は何件かと聞いたわけですよ。これは206件、非常に少ないんですね。やみ金被害というのは4万件以上あるわけですよ。
 その中で、今、090やみ金というのは非常に大変な被害を広げているわけですけれども、この問題についての対応というのは法律ができてもまともにやっていないんじゃないかということが、私がきょう問題提起をしたい点であります。
 具体的にお聞きしますけれども、大阪でやみ金の被害に遭った方々が、こういう携帯電話番号のやみ金から私は被害を受けました、そういう人たちを全部集計しまして、1500件あったわけです、これを大阪府警に提供しました。この新聞記事にもはっきりとそのことが報道されて、こんな大きな活字で書かれているわけです。そういうことに対して、例えば今のこの大阪府警の対応というのは、具体的にどのようにされたんでしょうか。
○佐藤国家公安委員会委員長 お答え申し上げます。
 平成20年の7月18日に、いわゆる携帯電話不正利用防止法に基づく契約者確認に資するものとして、大阪府警察において、御指摘の団体からやみ金融事犯に使用されているとされる電話番号等の情報提供を受けたというふうに伺っております。
 提出を受けた資料には、名称等、屋号等々と電話番号のみが記載されておりまして、大阪府警察においては、当該携帯電話がやみ金融事犯に利用されていると認めるに足りる相当の理由の存否についての判断ができないため、携帯電話不正利用防止法第八条に定められた契約者確認の求めを行うなどの措置はとっておりませんで、必要に応じ、捜査その他の警察活動を行う上での参考資料として取り扱っていると伺っております。
 今後、これらの情報のうち、被害者の方からの個別具体的な申し入れがありまして、携帯電話不正利用防止法の要件を満たす場合には、契約者確認の求めを実施するものというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 大体、多重債務者を、被害を救済するということで政府が立ち上げた会議でも、被害を広げないためには迅速にやらなきゃならぬと書いてあるわけですよ。ところが、1500件も、被害を受けた方々が、私はこの番号で被害を受けました、こう言って大阪府警に届けたら、判断ができない、何もやっていないと言う。
 具体的に、携帯電話会社に対して、1500件のうちどのぐらいの数を照会したんですか。何もしなかったということなんですか。
○巽政府参考人(警察庁生活安全局長) この件につきましては、ただいま国家公安委員長が申し上げましたとおり、携帯電話不正利用防止法の八条、「契約者確認の求め」というのがございますが、この求めを行うに当たっては、一定の罪について「罪に当たる行為に利用されていると認めるに足りる相当の理由がある場合」という要件がございます。
 先般いちょうの会からいただいた資料につきましては、単に名称と電話番号だけが書いてあるということでございますので、果たして今申し上げました法律に定める相当の理由がある場合に当たるかどうかという点について判断ができないということでございまして、お越しになられたときに、あわせてさらなる資料を出していただきたいというようなことも申し上げたというふうに聞いているところでございます。
 そういうことで、被害者の方の具体的な話、あるいはいろいろな疎明資料等をもとにこの契約者確認の求めというのは行わなくちゃならないというふうに考えているところでございまして、そういった資料がそろった場合には迅速にこの求めを実施するものと考えております。
○佐々木(憲)委員 大体、まともな対応をしていないということですよ、それは。利用されていると認めるに足る相当な理由があるかないかというのは、被害者が、利用されて、私は被害を受けましたと言っているわけですよ、相当なる被害を受けているわけですよ。本人がそうだと言って申し出ているんですよ。それにもかかわらず、判断できないと。
 判断できるかどうかというのは、照会したらわかるじゃないですか。この番号はだれのものですかと本人確認すればいいんですよ。本人確認して、本人のものではない、あるいは確認できない、法律上はすぐ停止できるんですよ。それをやれば被害は広がらないんだ。何もしていないじゃないか、去年の7月から。1500件のうち何の調査もしなかったということですよ。そんなでたらめな警察があるか、一体。私は、その対応は本当にひどいと思うんですよ。
 佐藤大臣にお聞きしますけれども、この1500件をこのままいつまでも棚上げして、放置しておいていいんですか。やはり再調査して、本人からきちっと、書類が整っていないというのなら書類を出させるとか、何らかの対応をするべきじゃないんですか。大臣の見解をお聞きします。
○佐藤国家公安委員会委員長 大阪府警察が提供を受けた情報だけでは当該携帯電話がやみ金融事犯に使用されているかどうかが判然とせず、仮に警察といたしまして十分な事実関係のないまま契約者確認の求めを行うと、不正利用されていない携帯電話を過って利用停止してしまうおそれがあることから、受領した情報のみで契約者確認の求めは行わなかったものと伺っております。
○佐々木(憲)委員 十分な確認ができないというなら確認できるように、警察に情報を提供した方に確認をする、その上で携帯会社にこの番号の本人確認をしてくださいとやればいいじゃないですか。一切やらないというんですか。これは、放置したままで、そのままで警察は対応できたというふうに考えているんですか。
○佐藤国家公安委員会委員長 今後、これらの情報につきまして、被害者の方からの個別具体的な申し出があり、携帯電話不正利用防止法の要件を満たす場合には、契約者確認の求めを実施するものと考えております。
○佐々木(憲)委員 大体、警察の中の手続がおかしいんですよ。今のこういう206件にしかならないような、何万件も被害が起こっているのに、申請を具体的に電話会社にやるのがたった206件。何でそうなるのか。
 まず、警察署長が契約者確認をすることを求めようとするときは、あらかじめ都道府県警本部長に報告をする。報告を受けた警察本部長は、当該都道府県のほかの警察署長による契約者確認の求めと重複しないように調整の上、警察庁長官に報告し、警察庁長官が、当該都道府県以外の都道府県における他の警察署長による契約者確認の求めと重複しないように調整する。こういうことをやって、ぐるぐる回ししているだけなんですよ。この中の処理というのはこういう手順でやられているんじゃないんですか。
○米田政府参考人(警察庁刑事局長) 先ほど、最初に大臣からお答えいたしましたとおり、法施行以来約2万1千件が警察庁において事前に把握している件数でございます。それは、そのような手順でもって、契約者確認の求めを事業者に対して、県警から、警察庁がオーケーをしたので、それで行ったというものでございます。
○佐々木(憲)委員 だから、警察の中でぐるぐるぐるぐる、情報をいいでしょうかと確認して、ほかと調整して、また今度は上の方と調整して、そんなことをやっているから迅速な対応ができないんですよ。こういうことを改革しないで、なぜ国民の、消費者の被害が防げるんですか。
 野田大臣に最後にお伺いしますけれども、やはり被害を受けた方の申し出があった場合は、迅速に対応する。対応できない場合には、どこに原因があるかを明確に調査をした上で、前向きに国民の声にこたえるというのが本来の筋だと思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたい。
○野田消費者行政推進担当大臣 今ちょっと、このことについて通告がなかったので、十分な答えが用意されていませんけれども、いずれにしても、今の取り組みで不十分であるならばしっかりと検討していただいて、消費者庁ができた暁には、相互に連携をして、私たちは消費者の立場に立ったいろいろな意見具申をさせていただくことになりますので、それは前向きに進められるのではないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる