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その他 (天下り, 同意人事)

2009年02月17日 第171回 通常国会 議院運営委員会≪聴聞会≫ 【490】 - 質問

議院運営委員会で、人事官候補者の所信聴聞会

 2009年2月17日、議院運営委員会で、人事官候補者の所信聴聞会がおこなわれました。
 政府が提示した人事院人事官任命の同意を求める件で、人事官候補者の千野境子氏(産経新聞社東京本社編集局特別記者、元取締役)からの所信聴取と質疑を行いました。
 日本共産党からは佐々木憲昭議員が質問しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 人事院の位置づけについての認識をまずお聞きしたいと思います。
 人事院の最も重要な役割は、先ほどもおっしゃったように、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割であります。憲法第28条が保障する労働基本権、本来、公務員にも保障されるべきものであります。ところが、現行の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性を理由として、公務員の労働基本権を制限している。そのことから、代償機能としての役割を人事院が担うということになっているわけです。
 そのもとで、人事院は、政府から独立し中立の立場で、国家公務員の身分、任免、服務、さらに賃金、労働時間など、労働条件を定める役割を担っているわけです。同時に、人事院は、中央人事についての準司法的権限もあわせ持ち、公務の中立、公正、公平を確保する役割を担っております。
 そのことを踏まえて任に当たられるかどうか、まず確認しておきたいと思います。
 その上で、千野さんは人事院の政策評価懇談会の委員を務められた経験がありますので、お聞きしたいんですが、最近の人事院でいいますと、小泉内閣のもとで、2002年5月に経済財政担当大臣が人事院勧告制度は右肩上がりの時代の産物と批判し、同年6月の骨太方針で総人件費抑制を打ち出しました。そのもとで、公務員定員一律削減、総人件費削減政策が閣議決定され、公務員給与の賃下げへの一連の政府の圧力が加えられました。
 当時、人事院は、この政府の意向に無批判に従って史上初のマイナス勧告を行い、以来、政府方針に沿った給与削減勧告を行ってきたわけです。中立公平な機関であるはずの人事院が政府の圧力に屈したのでは、労働基本権制約の代償機能、これが果たせないと言わざるを得ませんが、どのように評価をされておられるでしょうか。
 国家公務員制度で大きな点は、やはり公務員の労働基本権の回復問題でございます。
 ILOは、日本政府が進めている公務員制度改革にかかわって、監獄職員の団結権、一般の公務員についての争議権、労働協約締結権を保障することなど、国際労働基準に従った改革を進めることを求める勧告を繰り返して行っています。
 ジャーナリストとして国際事情に通じておられるということですので、国際労働基準からいって、日本の公務員制度をどのように考えておられるか、この点をお聞きしたいと思います。
 以上です。
○千野参考人(人事官候補者(産経新聞社東京本社編集局特別記者)) まず、人事院の機能ということでございますけれども、今、佐々木先生がおっしゃいましたように、人事院の大切な役割として、人事行政の中立公正を確保するということ、それからもう一つは、労働基本権が制約されている中での代償機能という、この二つが極めて重いものであるというふうに考えております。
 それから、第二点目の、賃下げという勧告のことに関連してでございますけれども、先ほど申し述べましたように、人事院の勧告というものは、民間に準拠してきているということが基本的にあるということでございます。したがいまして、これに関しては適切ではなかったかというふうに、私が政策評価委員会をやっておりましたのはもう8年も前のことになりますので、そのことを直接そのとき評価の対象にしたわけではございませんが、今の御質問に対してはそのように考えております。
 それから、ILOの国際労働基準と照らし合わせてどうかという問題でございますけれども、現在、労働基本権に関しては、今般進められております公務員制度改革の中でも、一つの大きな問題点であるというふうに承知しております。
 そして、その中で、労使関係制度検討委員会の中で、この基本権についての検討が専門家によってなされているとは聞いております。したがいまして、この検討委員会の議論の成り行きというものを注視するとともに、私としましては、一たん人事官になりましたらば、それに真摯に取り組みたいというふうに考えております。
 以上でございます。
【中略】
○佐々木(憲)委員 天下りの問題についてお聞きします。
 一昨年、公務員法改正で、政府は省庁による天下りあっせんは禁止としましたが、官民人材交流センターをつくりました。これは、新たな天下り、天上がりあっせん機関ではないかというふうに思っております。本格始動するまでの移行期間の3年間は、再就職等監視委員会で天下りを容認するシステムというふうに思います。省庁あっせんはだめだといいながら、内閣あっせんならいい、こういう理屈は認められないと思うんです。
 天下りについて、本来、禁止するのが望ましいというふうにお考えなのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
○千野参考人(人事官候補者(産経新聞社東京本社編集局特別記者)) 天下りに関してでございますが、天下りに対して国民の目が非常に厳しい、もってのほかであるというふうなことは言うまでもないことであると思います。私自身もそのように考えております。
 他方、私が、先ほどの、大半の公務員はまじめであるということとともに、これまでの仕事の中で痛感してきたことがもう一点ございます。それは、優秀に、大変一生懸命に働いている、あるいは今が脂が乗り切っているという、そういう公務員たちが、いわゆる早期勧奨退職ということによって続けることができないというこの問題と天下りの問題というものは、必ずしも無関係ではないのではないかというふうに考えております。
 高齢化社会、一方で人口減少社会になっていく中で、日本人の人材というものが、一人一人が非常に大切になっていく、公務員も同様であるかと思います。したがいまして、天下りということが生まれない素地というもの、そういうものをつくる公務員制度、働き方ということが非常に大事なのではないかというふうにも考えております。

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