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金融(銀行・保険・証券) (銀行公的資金注入, 中小企業融資)

2008年10月28日 第170回 臨時国会 本会議 【469】 - 質問

新金融機能強化法案 麻生総理大臣に質問

 2008年10月28日、金融機関に公的資金を投入するための新金融機能強化法案が、衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の佐々木憲昭議員が質問に立ち、金融危機の背景にある米国の金融自由化と、これを手本に「金融立国」を推進した日本政府の路線の根本的転換を強く迫りました。
 その上で、法案にもとづく金融機関への資本注入について「最終的な損失が出たときは国民が税金で負担するしくみだ」「金融機関の経営安定のために公的資金が必要というなら、最終的に銀行業界全体の負担で返済すべきだ」と追及しました。麻生太郎総理大臣は「銀行業界の負担を前提とすることは適当でない」と血税投入を当然視しました。
 今回の資本注入が「貸し渋り対策」とされていることについてとりあげた佐々木議員は、「中小企業への貸出目標」を盛り込み、それが未達成のとき、「経営責任」を明確にするという旧法にあった要件が、新法ではなくなっていると指摘。「これでは中小企業への貸し出しをますますないがしろにすることになる」とただしました。
 麻生総理は法律の根拠も示さず、「実質的に経営者の責任を求めることはある」などと答えました。
 佐々木議員は「いま緊急に求められているのは、銀行の貸し出し姿勢をただすことだ」と強調。とりわけ、信用保証制度が改悪され、「部分保証」になったことで中小企業が融資を受けられない事態をまねいているとし、「ただちに『全額保証』に戻すべきだ」と迫りましたが、麻生総理は改悪前に戻すことを拒否しました。

議事録

○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、金融機能強化法等の一部改正案について総理に質問します。(拍手)
 アメリカ発の金融危機は、世界経済に大きな混乱をもたらし、日本経済に深刻な影響を広げています。
 今回の金融危機の背景に、アメリカにおける金融バブルの極端な膨張がありました。この10年来、金融自由化のもとで、銀行の貸出債権が売却され、証券化され、他の金融商品と組み合わせた金融派生商品が次々とつくられ、投機的な売買を通じて価格がつり上げられてきました。グラス・スティーガル法の銀行・証券分離の原則を後退させたことを背景に、巨大複合金融機関が大規模な投機的取引に手を出し、今日、巨額の損失を発生させたのであります。
 10月23日に行われた米議会公聴会で、FRB前議長のグリーンスパン氏は、金融派生商品の規制に消極的だったと指摘され、間違っていたと認めました。アメリカの金融自由化を手本に金融立国を推進してきたのが、日本政府であります。麻生総理、これまでの自由化一辺倒の路線を反省し、根本的に見直すべきではありませんか。お答えをいただきたい。
 この間、政府は、対米協調の名のもとで、日銀とともに異常な低金利政策を進めてきました。こうしてつくられた日米間の金利差が、円キャリートレードによる大量の投機資金を生み出す土壌となり、投機を一層増幅させたのであります。麻生総理は、金融バブルを加速させてきた日本の責任についてどう感じているのでしょうか。
 4月のG7では、国際展開する大手金融機関に対する各国当局の協力による共同監視が強調されました。一体、それはどこに行ったのでしょうか。10月のG7では、その姿勢を180度転換し、公的資金の投入に踏み出しました。バブルに踊った経営者の責任をまともに問わず、なぜカジノ経済のツケを国民に回すのでしょうか。
 法案の内容に即してお聞きします。
 第一は、金融機関への資本注入についてであります。
 法案では、その資金は、預金保険機構が政府保証によって調達し、最終的な損失が出たときは国民が税金で負担する仕組みになっています。しかし、金融機関の経営安定のために公的資金が必要というなら、それは最終的に、銀行業界全体の負担で返済すべきではありませんか。
 メガバンクはもちろん、農林中金、信金中金までもサブプライムや不動産関連など投機的な資金運用に傾斜し、多額の損失を出しています。公的資金による資本注入は、損失の穴埋めに使われるだけではありませんか。総理の答弁を求めます。
 第二に、今回の資本注入が貸し渋り対策だと言っていますが、その保証があるのかという問題です。
 従来の法律には、資本注入を申請する際に提出する経営強化計画に中小企業への貸し出し目標を盛り込むことが義務づけられ、それが未達成の場合、経営責任、株主責任を明確にすることが要件となってきました。ところが、今回の改正案では、これらの要件は必要ないと外してしまったのはなぜでしょうか。目標も掲げず、責任も問われないなら、中小企業への貸し出しをますますないがしろにすることになるのではありませんか。
 今、緊急に求められているのは、銀行の貸し出し姿勢を正すことであります。この12年間、公的資金による銀行への資本注入は12兆4000億円も行われてきたにもかかわらず、中小企業への貸し出しは、96年3月からことし8月までの間に、実に84兆円も減らされてきたのであります。全銀協会長は、それを反省するどころか、貸し渋りをしている意識はない、貸せないところには貸していないと開き直っているのであります。中川財務・金融大臣は、これを正す姿勢を示しておりません。これでは、貸し渋りを容認するようなものではありませんか。
 総理、金融機関は、信用保証協会の保証つきでなければ貸さないのであります。この姿勢こそ正すべきであります。これを放置したまま、政府が信用保証制度に部分保証を導入したため、中小業者にとって命綱というべき保証つき融資すら受けられない事態を招いています。直ちに全額保証に戻すべきではありませんか。
 これまでの政策を見直し、公的金融制度の改善、拡充を行うべきであります。総理の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 佐々木議員から8問ちょうだいしました。
 まず最初に、今般の金融危機の背景についてのお尋ねがあっております。
 今般の米国発の金融危機は、証券化商品に代表されます新しいタイプのビジネスモデルが急速に拡大していく中で、金融機関がそのリスクを適切に管理できず、金融市場が機能不全に陥ったものと理解をいたしております。
 我が国の金融機関は、サブプライムローン関連商品の保有額が限定されておりますなど、欧米に比べれば、金融システムは相対的に安定はいたしております。しかしながら、金融市場の規律の確保は重要であります。引き続き、米国を初めとする関係各国と緊密に連携をしつつ、国際金融市場の安定化に努めてまいる所存であります。
 次に、ゼロ金利政策及び過剰流動性についてお尋ねがありました。
 日本銀行は、バブル崩壊後のデフレという極めて厳しい経済、物価情勢に対応するため、御指摘の金融政策を講じたものと考えております。
 なお、金利水準が投資行動、市場の流動性にどのような影響を及ぼすかについては、国内外の経済や金融市場の動向によってさまざまな面が考えられるところであります。
 いずれにせよ、日銀において適切な金融政策運営が行われるものと考えております。
 次に、G7の取り組みについてのお尋ねがあっておりました。
 サブプライムローン問題に端を発します国際金融資本市場の混乱に対しましては、本年4月に金融安定化フォーラムが報告書をG7に提出しておりますのは御存じのとおりです。その結果、当局間の情報交換、連携の改善のため、本年末までに、グローバルに活動する大手金融機関ごとに国際的な監督当局間グループを設置する方向で作業が進められております。
 また、10月のG7では、現下の危機的状況についての共通の認識のもとで、金融市場を安定化させ、信用の流れを回復するための五項目の行動計画をまとめ、明確なメッセージとして打ち出しました。
 日本としては、これに着実に取り組んでいくとともに、金融システム安定化のための国際的なルールづくりの議論に引き続き積極的に参画する所存であります。
 次に、国の公的資本参加の場合の損失負担についてのお尋ねがあっております。
 世界的な金融市場の混乱という外的な環境変化のもと、地域経済、中小零細企業が厳しい状況に直面をいたしております。本法案は、我が国金融機関全体のリスクテーク能力の低下が懸念されている中で、中小企業金融を初めとする適切な金融仲介機能の発揮を確保するためのものであります。金融機関の負担を前提とすることは、全体としてのリスクテーク能力の向上につながらず、適切ではないと考えております。
 金融機能強化法による国の資本参加の目的についてのお尋ねがありました。
 現在、サブプライムローン問題に端を発する世界的な金融市場の混乱という外的な環境変化のもと、地域経済、中小企業が厳しい局面に直面をいたしております。こうした中で、金融機関のリスクテーク能力の低下というものが懸念されておりまして、そのため、国の資本参加によって金融機関の資本基盤を積極的に強化するというのを目的として、本法案を提出したものであります。
 資本注入の要件緩和と中小企業貸し出しへの影響についてのお尋ねもあっております。
 本法案において、資本参加を受ける金融機関に対し、中小企業向け貸し出しの円滑化のための方策の策定を求めるとともに、金融庁がその計画を審査、フォローアップして、必要に応じ監督上の措置を講じていくことといたしております。フォローアップの過程で問題が発覚した場合には、監督上の措置として、実質的に経営者の責任を求めることはあり得ると考えております。
 次に、銀行の貸し出し姿勢についてのお尋ねがありました。
 中小企業の業況は厳しい状況にあろうと存じます。政府としては、10月15日に、金融機関の代表者を集めて、中川大臣から中小企業金融の円滑化に向けた要請を行ったところであります。また、中小企業金融の実態把握のため大臣目安箱を設置するなど、政府としても借り手の声を直接聞くことに努めております。
 各金融機関におきましては、適切かつ積極的な金融仲介機能を発揮することを期待しておりまして、本法案がそのために大きな役割を果たすことと存じております。
 最後に、公的金融制度についてのお尋ねがありました。
 金融機関と信用保証協会が適切に責任を分担し、中小零細企業に対し、金融機関が主体的な経営支援を行うことを促すために、昨年10月より責任共有制度を導入したところであります。導入に際しましては、困難に直面しております中小零細企業に配慮し、小規模企業への保証やセーフティーネット保証は例外としております。
 今月末から開始する緊急保証制度も、責任共有制度の例外として、100%保証といたします。これにより、対象業種がほぼ3倍の545業種へと拡大され、全中小零細企業の3分の2が100%保証が受けられることになります。
 今後、年末に向け、従業員への冬のボーナス支給など、中小零細企業の資金繰りというものはさらに厳しさを増すものと考えております。情勢を注視し、中小零細企業の資金繰り対策に万全を期していかねばならぬと考えております。(拍手)

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