金融(銀行・保険・証券), その他 (同意人事)
2008年06月03日 第169回 通常国会 議院運営委員会≪聴聞会≫ 【461】 - 質問
日本銀行政策委員会審議委員候補の所信聴取と質疑
2008年6月3日、衆院・参院の議院運営委員会で、国会同意人事である日本銀行政策委員会審議委員候補の池尾和人慶応大学教授から所信聴取し、質疑ををおこない、佐々木憲昭議員も質問しました。
この国会同意人事は、6日の衆参本会議で採決がおこなわれる見込みでしたが、見送られました。
議事録
【佐々木議員の質問部分】
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
金融機関のあり方についてお尋ねします。
日本の金融機関のROEは5%ぐらいで低過ぎると言われています。アメリカのヘッジファンドなどは場合によっては100%を超える、こういう状況ですが、これが正常かどうかというのが一点。
それから、サブプライムローンで債務の証券化ということなんですが、プロの市場同士ではなかなか利益が上がらないけれども、プロがアマチュアをだますというようなやり方ですね、被害者が低所得者に及ぶわけですが、こういう現象についてどのようにお考えか。
最後に、世界的な投機マネーが非常に広がっておりますが、どのような規制方法があるか。
以上です。
○池尾参考人(日本銀行政策委員会審議委員候補者(慶應義塾大学経済学部教授)) 今の御質問は、私がかつて述べたこと等を踏まえて御質問いただいたというふうに思いますが、日本の金融機関のROEに象徴される収益性は、私は低いと思っております。
それで、収益性の改善に向けての努力をすべきだというふうに思っておりますが、他方、金融サービス業において継続的に4、50%のROEあるいは100%、200%のROEが上げられるというのは、これは不思議なことといいますか、それはそれで極めておかしなことだというふうに思っております。
金融資本市場が、初期の段階といいますか、いろいろなゆがみを抱えていた段階においては、そうした利益を上げる機会もたくさんあったんだと思いますが、近年、世界的に見て金融資本市場は急速に効率化してきておりますから、そうした中で100%を超えるようなリターンを継続的に上げるというのは極めて困難になっていると思います。
そういう状況の中で、しかしながら収益を上げなければならないという強いプレッシャーにさらされていたアメリカの金融サービス産業が、結果として適正でないような形の利益機会を追求するということはあったと思います。そのことが今般のサブプライムローン問題の一つの背景をなしているというふうに思います。
だから、利益を上げる努力をするのは当然ですが、それは一定のルール、規律のもとで秩序を持って行われるべきものだというふうに私は考えております。日本版ビッグバンの際に、フリー、フェア、グローバルということが言われましたが、私は、まさにフリーとフェアを両立させることこそが、金融サービス産業が長期的に成長し繁栄していくための必須の条件だと思っております。
そういう意味で、絶対に強力な投資家保護、消費者保護ということが金融資本市場の一つの大きな条件だというふうに考えており、これはアメリカ政府もそういうふうにはっきりと言っていることでありまして、私は、そういう形で、長期的に健全な金融サービス産業の発展ということを期待しております。