2004年08月04日 第160回 臨時国会 財務金融委員会 【256】 - 質問
民主党の「改悪共済年金廃止法案」について質問し、法案に賛成
2004年8月4日の財務金融委員会で、年金改悪法案の国家公務員版となる国家公務員共済年金法を廃止する民主党案が審議されました。
今回、民主党から出された法案は、基本的には、5月に衆議院を通過した国家公務員共済年金法の改悪部分を廃止するというものです。
日本共産党は、詳細についてはいろいろ違いがあるけれども、廃止という一点に着目して賛成しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
先ほどの提案理由説明の中で、参議院選挙の結果は、政府・与党が強行した年金改悪法案に対して国民がノーという審判を示したものだという認識を示されましたけれども、我々もそのとおりだと思っております。また、選挙後の世論調査の中でも、約8割の国民の皆さんが、年金改革法について白紙に戻してやり直せ、こういう答えを出しているわけであります。
今回、民主党から出された法案は、この改悪部分を廃止するというものでありまして、改めてここでお聞きをしたいのは、この廃止法案を提案するに至った経緯、それからこのねらいを説明していただきたいと思います。
○野田 佳彦議員 今委員からも御指摘がありましたとおり、選挙の結果というのは、今回の年金改革関連法についてノーという意思表示だったと思います。
考えてみますと、昨年の11月の総選挙のときに、各党が年金の抜本改革を公約として語りました。このとき私は、恐らく年金について余り絵そらごとを言っても通用しない時代になったんだろうと思ったんです。そして、給付がこれからべらぼうにふえるとか負担が軽くなるなんということを思っている人は多分余りいないはずであって、現実的に本当に持続可能な制度とは一体どんな制度なのかということを求めていたはずでありますけれども、中身あるいは経緯を含めて、今回の民意はそうではなかったという意思表示をされました。
だから、これは白紙に戻して、特に改悪部分は廃止をして、御党もいろいろと年金の抜本制度改革のプランがあるかと思いますが、白紙に戻しながらちゃんと議論をしていこう、信頼にこたえていこうというのが趣旨でございます。
○佐々木(憲)委員 今の説明で廃止法案のねらいということがわかりました。我々としては、いろいろな違いはありますけれども、廃止、こういう一点で、そこに着目をいたしまして賛成できると考えております。
さきの国会で通されました国家公務員共済組合法について見ますと、国家公務員の負担増、それから給付の削減、これは大変な内容でありまして、到底賛成できるものではありませんでした。私は、この点について、この委員会の質問で、山本副大臣がこういうふうな答弁をされているのを非常に鮮明に記憶しております。
2025年における所得代替率を試算してみると、夫は40年間国家公務員、妻は40年間専業主婦の世帯、モデル世帯の場合、給付は49.8%。国家公務員の場合は、最初から50%を切っているわけであります。夫、妻ともに国家公務員として40年間共働きの世帯の場合は39.1%、40年間国家公務員である単身男子世帯の場合は38%、40年間国家公務員である単身女子世帯の場合は40.4%と。こういうふうに最初から50%を切りまして、家族構成によりましてもっと下がっていく、4割前後と。最初の出発点がそこである。
そこで、さらに私聞いたんですね。その後もこれが維持されるという保証はあるのかというふうに聞きました。そうしましたら、山本副大臣は「その保証はございません。」と明確に答弁をされたわけです。つまり、5割、4割台というこの水準自体も、これは保証ではないんだ、さらに下がりますということなんですよ。
では、どう下がるのかというのを聞きましたら、70歳のときには47.2%、80歳のときには42.3%、85歳になりますと40.1%と。つまり、モデル世帯の場合でも、5割弱ではなくて四割に下がるということなんですね。
それから、負担の方はどうかということで聞きましたら、保険料率を毎年0.3%ずつ上げていくという前提でやりますと、最終保険料率は20.3%、それから、毎年0.354%ずつ引き上げる場合は19.9%、そういうようなお答えだったわけです。
大変負担がふえていく、毎年毎年ふえていく。これはやはり国民、公務員にとりまして大変厳しいものであって、改悪であるということで我々反対をいたしました。
この政府の法案の給付の削減、負担増、この点について民主党はどのような認識を持っているか、改めてちょっとここでその認識を聞いておきたいと思います。
○五十嵐文彦議員 特に厚生年金においてあるいは国民年金において深刻だと思うんですが、14年連続して保険料を引き上げるということは、これは資本の論理からいって、会社側はその負担が大変競争力の邪魔になるわけですから、できるだけ正社員を減らして社会保険料負担を減らそうとするだろう。これはある程度政府側の推計によりましても推計ができまして、これをやりますと、私どもの試算では、75万人以上の新たな失業者といいますか、正社員から追い出される人が新たに出てくるだろうというふうに推測をされます。
そうすると、結果としてこの負担ではさらに済まなくなってくる。保険料を払う人たちが少なくなるわけですから、さらにまた保険料の引き上げか、あるいは給付率の削減をしなければいけなくなるというイタチごっこが起きてくると思います。
ですから、政府の案は、机上の空論でありまして、特殊出生率のインチキだけではなくて、あらゆるところで数字が合わなくなってきて、100年安心どころか、2、3年のうちに数字的な破綻が明らかになってくるというふうに思います。まさに、過去に約束をした給付を一方的に削減し続け、保険料を一方的にただ上げ続けて、自分たちの過去の失敗や責任は問わないというその政府のやり方では、国民は到底納得しない、ますます年金不信というのが高まって、結果として年金制度は崩壊するだろうというふうに思っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 基本的な認識は共通をしていると思います。
そこで、時間がもうありませんので余り議論できませんが、年金の一元化という議論ですね。これは、一元化といいましても、いろいろな内容、やり方というのはあり得ると思います。我々としても、年金制度の格差をなくす、国民から見て公平な制度を目指すというのは、これはそのとおりであるというふうに思うわけです。
この一番具体的で現実的な方法は何かということなんですけれども、今の制度を前提として一元化というのは、なかなかこれは矛盾が出てきて大変難しい面がある。そこで、現実的な方法としては、例えば最低保障年金という制度を創設しまして、それを共通の土台として国民年金や厚生年金の低い部分の底上げを図っていく、全体として格差を縮小していく、そういうことが国民の生存権を保障する下支えの、安心できる年金制度への一歩になっていくのではないかというふうに思うわけです。
今のこの議論がそういうことになっているのかどうか、我々は危惧を持っておりまして、どうもそうなっていないのではないか。年金制度を一本化するというのは、内容、制度を貧しくしてしまっては意味がないわけでありまして、本当に充実した内容にしていくということが必要だと思うので、詳しくはその後これからも大いに議論をしていきたいと思います。もう時間がなくなりましたので、もし何かコメントがあれば、簡単なコメントをいただければと思います。
○五十嵐文彦議員 私どもも、基本的には最低保障年金という考え方、それに所得比例年金をプラスするという考え方をとっているので、佐々木先生の御意見とほとんど違いはないだろうというふうに思っております。ただ、その水準についてはあるいは財源については御党とは考え方が違うかなというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 終わります。