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金融(銀行・保険・証券) (公認会計士, 粉飾決算)

2005年10月28日 第163回 特別国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【330】 - 質問

日本公認会計士協会会長、四大監査法人理事長を招致し参考人質疑

 2005年10月28日財務金融委員会で、公認会計士の問題について参考人質疑が行われました。
 参考人として招致されたのは、日本公認会計士協会会長の藤沼亜起氏、あずさ監査法人理事長の佐藤正典氏、新日本監査法人理事長の水嶋利夫氏、中央青山監査法人理事長の奥山章雄氏、監査法人トーマツ包括代表社員の阿部紘武氏です。
 この参考人質疑は、カネボウの粉飾決算で、青山中央監査法人所属の公認会計士が逮捕された事件、西武鉄道の「有価証券報告書虚偽記載事件」などが頻発しているため、おこなわれたものです。
 佐々木議員は、監査対象の法人と公認会計士の癒着をどう断ち切るかが重要という観点から、監査のローテーション問題や、法人からの報酬受け取り問題などをただしました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 先ほど来の足利銀行の件につきまして、私もこの財務金融委員会で一昨年の12月に取り上げまして、金融庁の責任ということが非常に大きいという点を指摘したことがございます。時間の関係で、その点きょうは別にここで詰めるつもりはございませんが、ぜひ参考にしていただければと思います。
 そこで、中央青山の奥山理事長にお聞きしますけれども、一昨年、公認会計士法が改正されました。その際に、当初金融庁は同じ企業を担当できる期間を米国並みの5年という案を検討していたと思います。それに対して当時の公認会計士協会は与党に猛烈に働きかけたというふうに報道されていまして、協会のこの自主ルール並みの7年にしてもらいたいというふうに主張されたと。
 当時の会長は奥山さんでありますが、今この自主ルールは7年から5年へという改定を行うということになったようですけれども、今から振り返りまして、当時の、7年というふうにしてもらいたい、そういう働きかけというのは、やはりこれはまずかったというふうに考えておられるのかどうか。この点について御見解をお聞きしたいと思います。
○奥山 参考人(中央青山監査法人理事長) 私は、企業が日本の土壌の中である限りは、やはり5年よりは7年の方がいいのではないかというふうには思っています。
 それはなぜかといいますと、日本の企業の育ち方といいますのが、やはり従業員を大事にして、従業員からなった方が重役になって会社を経営しているという姿が非常に多いように思います。そういう中で監査が対抗していくためには、その企業に対する理解とその企業における状況というものをしっかりと認識しながら経営者と対等にやっていくというためには、やはり5年よりは7年の方がいいのかなというふうには今でも思っておりますが、癒着という問題からするとこれは短い方がいいに決まっております。
 そういう意味で、現在7年という、2年前に主張してきたことが、癒着構造がいろいろできたことによって、やはりそれだけではどうだったのかなという思いはありますけれども、しかし、癒着という問題は7年と5年という形で考えられる問題ではなくて、もっと違う視点、つまり倫理という構造から考えられる問題で、企業に対するしっかりした認識をしてしっかりした意見を言っていくためには、やはり7年がいいのかなという思いはあります。
○佐々木(憲)委員 これだけ事件が重大な展開を見せて、しかも法人としてかかわっていたか否かという問題まで議論になっている、そしてまた、自主ルールとして、7年ではまずいから5年にしろ、こういうことも決められている。そういう状況でありながら、現在のお考えはまだ7年でいい、これはちょっと私は納得しかねる思いでございます。
 さてそこで、藤沼会長にお伺いします。
 当時の公認会計士の法案の審議の際に、竹中大臣が、将来5年に見直すことも視野に入れているというふうに述べておられます。私は5年にすべきだという主張をしたんですけれども、仮に法改正で5年にする、こういうことになれば、これは受け入れるのは当たり前だと思うんですけれども、お考えはいかがでしょうか。
○藤沼 参考人(日本公認会計士協会会長) 7年・2年、5年・5年、その前に先ほども少し触れましたけれども、日本の監査人の交代のルールは、監査人で会社に関与している人は全員7年・2年ですので、全員、例えば7年・2年を5年・5年にするかというと、これがアメリカと制度的な違いがあります。それで、5年・5年については、主任会計士が一番影響力を持つということで5年・5年、その他の関与社員については7年・2年、こういう制度でございます。
 当初は、制度そのものの設計がちょっと違うので全部一斉にかわってしまわなくてはいけないということと、あと監査人の中でどういう形でスケジュールをつくって交代していくか、そういうようなことがあったから7年・2年という形でずっと続いてきた、その間に徐々に監査人を交代していこうということだったと思います。
 今回5年ということを視野に入れてというのは、将来交代の状況を見た上で決めていこうということだというふうに私は理解しております。
 ちなみに、海外で5年・5年でやっているところは、これは主任会計士だけですけれども、アメリカ、イギリス、あとカナダでございます。ただ、ヨーロッパでは7年・2年というルールで、EUのルールが7年・2年でございます。また、私が前に会長をやっておりました国際会計士連盟のルールも7年・2年ということで、そういう面では、必ずしも5年・5年がすべていいということではないのではないか。
 これは、やはり社会が監査人に対して、外観の上で5年・5年に変わった方がいいというふうに思っているのか、それとも、7年・2年でやっても、それの中身が充実していれば、独立性が保たれていれば、それはそれで構わないというふうに見るか、それを考えながらいくべきではないかというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 一番大事なことは、企業からの独立というのが大事なことでありまして、私は、同時に行政からも独立すべきだと思います。
 いずれにしましても、企業との癒着をどう断ち切るかということを制度的に保障するということが大事で、その観点から、7年よりも5年が制度的にはより前進であるという認識だというふうに思うんですね。それをどのように徹底するかということは運用の問題ですけれども、しかし、観点は、企業との癒着をどう断ち切るかという、ここが非常に大事だという点。
 それで、具体的にもうちょっと聞きますけれども、例えば、現在、企業から報酬をもらう、それで監査を行う、こういう仕組みになっていますね。マスコミなどは、どうしてもそれが顧問的な性格に陥る土壌になるのではないかという指摘もあります。これをどのように改善するかというのはなかなか難しい問題があると思いますけれども、何らかの対応策といいますか、特定の企業と報酬の面での直線的な結びつきというものをどのようにして改善していくか、この点も一つの角度だと思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○藤沼 参考人(日本公認会計士協会会長) 公認会計士が監査をやるに当たって企業からお金をもらっている、こういうような見方、それで本当に独立した監査意見が言えるのかどうか、これは昔から、支払い方法あるいはその受け取り方法については、議論は百出しております。ただ、ベストな解決策というものはまだ見出しておりません。今のところの解決策として皆さんが納得しているのは、これは諸外国に多いわけですけれども、やはり企業のコーポレートガバナンスの強化だということでございます。
 現在、米国では、オーディットコミッティーという、外部の取締役からのみ構成するオーディットコミッティーが、監査契約あるいは監査契約以外のアドバイザリーワークとかそういうような契約をすべて承認する、そういう面で監査役会は経営者から独立して、株主その他のステークホルダーのためにベストな監査法人を選んだりあるいは契約をしたりする、こういう形、立てつけになっております。
 日本の場合には監査役会、あるいは監査委員会もありますけれども、今の段階では、実態問題としましては、経営者からの監査役、監査委員会の人たちの独立性の問題、だれがその人たちを選んでいるのかというような独立性の問題だとか、あるいはそういう監査役、監査委員会のメンバーの方の専門性の問題、それと同時にスタッフですね、人だけがいてスタッフがいないというのはできませんから、スタッフの充実の問題。こういうような独立の監査役会あるいは監査委員会が、経営者という視点ではなしに、株主だとかその他の広範な利害関係者のためにベストな監査法人を選ぶということであれば、監査人がいい業務をしていなければそれは交代してもらえばいいということで、そういうようなメカニズムをつくるということが大事なのではないかというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

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